キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は11月14日~16日にかけて神奈川県・パシフィコ横浜にて開催されている最先端の組込技術、IoT技術にフォーカスした総合技術展「ET&IoT Technology 2018」にて、IoTに向けた最新セキュリティの提案や、IoTに求められるアプリケーション開発のためのプラットフォームの提案などを行っている。
近年、IoTに向けたセキュリティへの意識が高まりつつある。同社のブースではそうした流れを汲む形で、2018年8月に正式リリースされたインターネット通信を暗号化する技術「Transport Layer Security(TLS)」の最新バージョンである「TLS 1.3」がIoTのセキュリティに最適であるとして紹介を行なっている。
というのも、TLS 1.3はTLS 1.2まで必要であった接続時の複数回のネゴシエートがセキュリティ性を高めつつも1回で済むようになったほか、同一の相手とセッションを再開する際には、ネゴシエートをする必要がなくなるなどの特徴があるため、頻繁にデータを特定のサーバにアップロードする必要がある用途、つまりIoTでの活用に向いているという。
実際にブースにて行っているデモとしては、例えば温度センサがあるしきい値を超えたことを感知した際に、スマートフォンにその旨のアラートを出し、自動的にファンの回転を開始するといったものや、顔認証により扉を開けることができるシステムのデモといったものが展示されており、そのバックエンドのセンサ、ゲートウェイ、クラウド、モバイルの一連のバリューチェーンすべてをTLS 1.3で構築することで、より高いセキュリティを提供できることを見ることができる。
また、IoTに求められるアプリケーション開発のためのプラットフォームとしては、2018年6月より取り扱いを開始したイベント・ドリブン型アプリケーション開発プラットフォーム「VANTIQ」の紹介が行なわれている。
VANTIQは、ノンプログラミングでIoT向けアプリケーションの開発および運用を実現できるプラットフォームで、分散アーキテクチャにより、複数のエッジノードやモバイル端末にアプリケーションを分散させてシステムを構築することが可能なため、大規模なシステムの構築も容易に行なうことができるという。また、そうして各地から収集したデータについては、クラウド/オンプレミスのダッシュボード機能で集中管理することもできるという。
ちなみに同社によれば、近いうちに開発向けと運用向けといったように用途に応じたプラットフォームの提供を行ないたいとしており、それにより、より使い勝手の向上が見込まれる模様だ。
このほか、昨年のET 2017にて紹介していたGPUを用いた画像処理ソリューションの進化系のデモ展示なども行なわれている。
前回は産業用カメラとNVIDIA Jetson TX1の組み合わせであったが、今回は、キヤノンが先般発表した500万画素のグローバルシャッター機能搭載CMOSイメージセンサと、NVIDIA Jetson TX2を組み合わせたものへとアップグレード。しかもカメラとJetsonの間のケーブルは独自の高速転送を可能とするものとするなど、さまざまな面での性能向上が図られている。
なお、キヤノン製センサを搭載したこのシステムそのものは、現在まだ試作段階ということで、参考出展の扱いとなっている。