日立製作所は、生産設備の稼働状況や環境情報などのOT(Operational Technology(制御・運用技術))データおよび生産計画や在庫管理などのITデータをデジタル空間上で紐付けることで、継続的かつタイムリーなAI分析やシミュレーションを容易にし、生産工程全体の最適化を支援するというソリューション「IoTコンパス」を11月19日から販売開始すると発表した。

生産現場の各工程に点在する多種多様な現場データを集約して工程全体をデジタル空間上に再現し、全体最適化視点によるデータ分析を継続的に試行することが重要だが、各工程に保管されているさまざまな設備稼働データや個別に構築している各種業務システムのデータを統合し分析するためには、データサイエンティストなどが有する高度な専門知識と膨大な時間が必要であり、工程全体のデータを分析して得られた予測をタイムリーに現場改善に反映する上で大きな課題となっていたという。

今回日立製作所が販売を開始する「IoTコンパス」は、鋳造やプレス加工、溶接、塗装、組み立てなどさまざまな生産工程における業務と、各業務で発生し点在するOT/ITデータを、データ間の「つながり」で定義・連結する独自のデータモデルによりEnd To Endで紐付け、必要なデータの抽出や分析を容易にするというもの。

  • 「IoTコンパス」のコンセプト

「IoTコンパス」では、さまざまな工程に個別に蓄積されているOT/ITデータの集約・整備を容易にし、AI分析やシミュレーションによる継続的な生産業務の改善を可能にするデータ活用基盤を提供する。

これにより、従来は専門的な知識や時間を要していた複数工程のOT/ITデータの利活用を促進し、外部環境にあわせ組み替えが頻繁に行われる複雑な生産ラインにおいても、データ分析から得られる予測を常に更新しながら、生産計画の最適化や安定稼働など現場改善へ適用することが可能になるという。

なお、本ソリューションは、トヨタ自動車との高効率生産モデル構築に向けた協創の一環として、自動車製造を担うモデル工場での共同実証に先行適用しており、現在、さまざまな現場のOT/ITデータを活用し、全体最適に向けた高速PDCAによる改善に取り組んでいるという。