アマゾン ウェブ サービス ジャパン 技術本部長 岡嵜禎氏

アマゾン ウェブ サービス ジャパンは4月26日、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のアップデートに関する説明会を開催した。説明会では、米国シカゴで開催されたAWSサミットで発表された新サービスを含めて過去数カ月間に発表されたAWSの主要なサービスや技術に関するアップデートが紹介された。

技術本部長の岡嵜禎氏は初めに、AWSは顧客のフィードバックに基づき、さまざまなサービス改善を行っているが、その数は年々増えており、2015年には722に達したことを明かし、「費用をかけずに、これだけの新機能が使えるのはクラウドサービスの強み」とした。

また、AWSは190の国で利用でき、12のリージョンと33のデータセンター群、50を超える接続ポイントがあるが、来年中にさらに5のリージョンと10のデータセンター群が利用できるようになるという。

AWSのインフラストラクチャの概要

4月18日・19日に開催されたAWSサミットでは、数多くのサービスのアップデートが発表された。中でも、注目に値するのは、大容量のデータをクラウドで処理することを目的に行われたアップデートだ。具体的には、Amazon EBS、Amazon S3、AWS Import/Export Snowball、AWS Application Discovery Serviceで、大容量データに関するアップデートが行われている。

AWSサミットでアップデート、新たに発表されたサービス群

まず、Amazon EBSでは、HDDにデータを格納するスループット最適化のためのボリュームとコールドボリュームが追加された。「スループット最適化HDD」は高いスループットを必要とするワークロード向けであり、料金は1GB当たり月額0.054ドル。「コールドHDD」は、同様のワークロードでアクセス頻度が低いユースケース向けで、料金は1GB当たり月額0.03ドル。料金はいずれも東京リージョンを利用した場合のものだ。

岡嵜氏は2つのボリュームを追加した意図について、「さまざまなワークロードをクラウドでサポートする必要性が生じているから」と説明した。

Amazon EBSのボリュームのラインアップ

Amazon S3には、Amazon S3 Transfer Accelerationという機能が追加された。この機能はAWSのエッジロケーションとネットワークプロトコルの最適化を利用し、S3へのデータ転送を高速化するもの。国をまたいで大きなオブジェクトを転送する場合、50%から500%の改善、もしくは特定の環境下ではそれ以上の高速化を見込むことができるという。

Transfer Accelerationの効果は、Amazon S3 Transfer Acceleration Speed Comparisonによって確認することが可能だ。

AWS Import/Export Snowballは、セキュアなアプライアンスを用いてAWSクラウド内外に大容量データを転送できる機能で、今回、 AWS GovCloud (US), 米国西部(北カリフォルニア), EU(アイルランド),アジアパシフィック(シドニー)で利用可能になった。

あわせて、従来アプライアンスの容量は50TBだったが、80TBの容量を持つアプライアンスが発表された。米国東部 (北バージニア), 米国西部 (オレゴン), 米国西部(北カリフォルニア)、AWS GovCloud (US)リージョンにデータを出し入れする場合は、どちらかを選択でき、EU(アイルランド)、アジアパシフィック(シドニー)リージョンの場合は、80TBのアプライアンスを利用できる。

プレアナウンスメントが行われたAWS Application Discovery Serviceは、大規模なクラウド移行の計画を効率化するために、インフラやアプリケーションの情報収集を自動化するサービスだ。

オンプレミスのシステムからクラウドサービスに移行する際、既存の資産をどのようにして持っていくかが課題になっており、その解決策の1つとなるのが同サービスとなる。

ホストベースのエージェントにより、インフラやアプリケーションの情報を収集し、アプリケーションの依存関係を図式化するとともに、アプリケーションのパフォーマンスを測定する。

そのほか、セキュリティ脆弱性診断サービス「Amazon Inspector」が正式リリースされるなど、さまざまな機能がアップデートされている。同社は公式ブログで、アップデートした機能を紹介しているので、ぜひ確認してみてもらいたい。