企業向けSNSを提供するビートコミュニケーションは11月26日、「つながり時代の創発経営」に関する慶應義塾大学 総合政策学部教授 國領 二郎氏のインタビューを公開した。

ソーシャルメディアを利用したコミュニケーションが当たり前となる中で、日本企業もグローバル化やフラット化といったビジネスのルールが変革していくのに合わせた経営のスタイルが求められている。

そこで、ビートコミュニケーションは、著書「ソーシャルな資本主義」で「つながりの時代」を説く國領氏をインタビュー。「つながり時代の創発経営」についての話を聞いた。

「創発」というキーワードは、様々な学問分野で利用されている言葉で、「主体的に動く個が相互的に作用し、思わぬ動きをすることで新しい何かが生まれる」ことを指すという。

「つながりの時代」においては、様々な人や物がネットワークを介してつながり、相互作用する中で新しい発見が生まれ、そこから新しい価値が想像される現象に「創発」というワードを当てたのだと國領氏は語っている。

これまでの企業は「統制」することに重きを置いていたものの、これからの時代の経営課題が「いかに創発的な価値創造を活性化させるか」が重要になってきているという。

統制が必要とされていた時代は、大きな生産設備を動かしたり、多くの人々が一緒に働くという状況から、人や物を統制・管理する仕組みが必要で、20世紀型大量消費社会にとっては無くてはならない考え方だったと國領氏は分析。

ただ、現在ではオートメーション化が進んでおり、あらゆるノウハウが共有され、付加価値が高くない大量生産品の製造拠点は新興国に移っている。こうした状況は、付加価値の高い商品やサービスを継続的に生み出す能力・創造性が私達に求められる状況に変わりつつあるという証でもあるようだ。

國領氏はこうした現状から、「人々の持つ様々な能力・特徴・創造性を上手に引き出していくことが重要」と説く。これは、新たな人とのつながりや企業連携などで常に組織へ刺激を与え、そこから生まれてきたアイデアを企業の価値に変えていくべきだという。

そのためには、多様な主体が言葉や考え方、価値観を共有しながら、共通の課題に取り組める共通基盤が必要としている。