カスペルスキーは7月17日、SOHOやSMBといった従業員数が10人以下の小規模企業向けセキュリティソフト「カスペルスキー スモール オフィス セキュリティ」を同日より発売すると発表した。

同社はエンタープライズ向けに「Endpoint Security for Business Core/Select」などを提供しているが、ユーザー数が10名以上向けの製品であるため、10人以下の場合にはスモール オフィス セキュリティの利用を推奨している。

ほかに「Linux/Mac OSの対応」や「複数年ライセンス」「Linux Server(Selectのみ)」はEndpoint Security for Businessのみのサポートになるため、そちらを利用する場合にはEndpoint Security for Businessの購入を推奨している。

スモール オフィス セキュリティは3バージョンが用意されており、「PC 5台+モバイル5台版」が1万2800円、「PC 5台+モバイル 5台+ファイルサーバー1台版」は2万4800円、「PC 10台+モバイル 10台+ファイルサーバー1台版」は3万4800円となっている(いずれもライセンス期間は1年)。17日からの発売はカスペルスキーのオンラインショップのみで、量販店における販売は8月以降となる。

日本はハッカーの狩り場に

カスペルスキー 代表取締役社長 川合 林太郎氏

同日、カスペルスキーは東京・秋葉原にある本社で記者会見を行ない、代表取締役社長の川合 林太郎氏とマーケティング本部 コーポレートマーケティング部 部長の松岡 正人氏が登壇した。

初めに登場した川合氏は、現在の日本におけるセキュリティ状況を説明。川合氏はこれまでにも、「日本は言語の壁によってマルウェア被害が少なかったが、これからは違う」とのコメントを行なってきたが、今回の会見でも改めて「もはや言語の壁という問題ではなく、マルウェアが多く発見される『マルウェア先進国』になってしまった」と話した。

多くは、Webサイトの改ざんによるマルウェアの埋め込みによる被害で、「日本語サイトを狙って埋め込んでいることが伺える」(川合氏)という。

また、攻撃者側の行動だけではなく、ユーザー側の意識が足りない点も指摘。IPAの2013年度「情報セキュリティの脅威に対する意識調査」によると2012年度では約3割、2013年度では4割強のユーザーがセキュリティソフトの導入を行なっていないという状況が明らかになっている。

「集計ミスであってほしいが、実際に2012年から2013年にかけてインストール状況が悪化している。攻撃の増加とは決して無関係ではない。2013年に韓国で大規模サイバーテロが起こった際に、私は『韓国はハッカーの遊び場』と話したが、日本の現状は『ハッカーの狩り場』だ。ユーザーには現状を認識してほしい」(川合氏)

今回、法人向けの新たな製品を用意したカスペルスキーだが、2013年4月に開所した九州営業所が好調な売り上げを見せており、九州地区では10倍の売り上げを達成したという。勢いそのままに、今年4月には関西に西日本営業所を新たに開所し「ここでも10倍の売り上げを目指す」(川合氏)としている。

法人販売は、通常直販だけではなく、パートナー企業による販売も行なわれているが、カスペルスキーのパートナー企業は1年で89%増加し、300社を超える企業が同社製品を取り扱っているという。製品販売だけではなく、クラウドベンダーによるカスペルスキー製品の取り扱いも増えており、「インフラとセキュリティサービスを合わせて取り扱う協業が増えている。中小企業のセキュリティ導入拡大を目指していきたい」(川合氏)

同社 マーケティング本部 コーポレートマーケティング部 部長 松岡 正人氏

続いて、松岡氏が登場し、スモール オフィス セキュリティの製品説明を行なった。SOHOなどの小規模オフィス向け製品は2010年に一度発売したものの「言いにくいが、あまり売れずに販売を取りやめた」と苦笑いしながら松岡氏は語る。

今回の製品は、その時の反省点を踏まえた上で、再投入を図っている。SOHO向けではコンシューマー向けを流用するユーザーが多いため、わかりやすいUIの管理コンソールを作り、そして多機能すぎず、取り扱いやすい機能で入手しやすい価格を意識したのだという。

ここのところ急増しているオンラインバンキングの不正送金が行なわれないよう、ネット決済保護機能を用意しており、正規のサイトであるかどうかなどをチェックした上で、キーロガーなどからの保護が行なわれる。

また、中小企業でも利用されているファイルサーバーにもしっかりと対応しており、データの暗号化コンテナを作成してファイルをそれぞれ暗号化することで、機密情報が漏れることを防ぐ。

松岡氏は「どのメーカーも言っているが、中小企業は、大企業の踏み台として攻撃者から狙われるケースが多い。自分たちは関係ないと思うのではなく、しっかりと対策を行なってほしい」と語っていた。

なお、今後は法人向けセキュリティの新製品やアップデートが続く

フェラーリがセキュリティ製品にKasperskyを採用した