Freescale Semiconductorは6月24日、マイコン「Kinetis W」シリーズの製品ラインを拡充する32ビットプロセッサコアを採用したサブギガヘルツワイヤレスマイコン「Kinetis KW01」を発表した。

現在、屋外や屋内のスマートオブジェクトネットワークを対象として、さまざまな新プロトコルが世界規模で利用され始めているが、そこでは、堅牢な通信と低消費電力性能が必要とされている。「KW01」は、高度な変調方式であるGFSK、MSK、GMSK、OOKを利用した最大600Kbpsの高性能無線通信により、これらの要件を満たすとともに、290~1020MHzの幅広い周波数範囲で動作が可能なため、日本、米国、欧州、中国、インド、ブラジル、メキシコなど、各国のISMバンドをサポートする。加えて、低消費電力のマイコンを搭載しているので、数多くのネットワークプロトコルに対応することができる。

「KW0x」ファミリは、多数のスマートメータを共通のデータ収集ポイントに接続する近隣エリアネットワーク(NAN)や、多数の街灯・屋外センサを接続するメトロポリタンエリアネットワーク(MAN)といった屋外アプリケーション向けに、さまざまな独自プロトコルや業界標準のIEEE 802.15.4e/gプロトコルをサポートする。この他、屋外向けターゲットアプリケーションとして、スマートシティネットワーク(街灯、パーキング・メータ、水道メータ、インフラストラクチャ品質管理センサ)、ビルディングコントロールなどが挙げられるという。さらに、「KW01」は、各種センサや制御装置、ディスプレイ、家電製品、機械類をワイヤレスで接続する屋内アプリケーション向けに、さまざまな独自プロトコルや6LoWPAN、WMBUS(EN13757-4)、KNXといった標準プロトコルをサポートしている。

また、「KW01」は、ARM Cortex-M0+コアを搭載、最大48MHzで動作し、128KBのフラッシュメモリと16KBのSRAMを備え、通常の条件であればわずか40μA/MHzの消費電力で稼働する。スタンバイ時の消費電流は1.7μAにまで抑えられており、4.3μ秒という高速ウェイクアップを実現する。ストップモード時の消費電流は、無線設定データ保持を行いつつ100nA程度である。このような特徴により、ポータブルシステムのバッテリ寿命を最大限に延長できる。

この他、「KW01」は包括的なモデムとして利用できる。「Kinetis KW0」で下位レイヤのワイヤレスプロトコルを動作させ、外部のホストプロセッサで上位のネットワークプロトコルレイヤの処理を実行する構成が可能。また、シンプルなネットワークプロトコルの場合、「KW01」はホストプロセッサなしで動作することも可能。16ビットA/Dコンバータ(ADC)など、オンチップペリフェラルを活用することで、ワイヤレスセンサネットワークアプリケーション向けの1チップソリューションを実現できる。

なお、ワイヤレスマイコン「Kinetis KW0x」は現在出荷中。