IDC Japanは9月20日、国内ストレージソフトウェア市場の2011年の売上実績と、2012年から2016年までの予測を発表した。

これによると、2011年の国内ストレージソフトウェアの売上は681億5900万円、前年比成長率は4.2%のプラス成長で、国内ストレージソフトウェア市場の2011年から2016年までの年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は3.6%、2016年の市場規模を811億7000万円と予測している。

国内ストレージソフトウェア市場 売上実績および予測(2007年から2016年 資料:IDC Japan

2011年の国内ストレージソフトウェア市場の前年比成長率4.2%は、3月に東日本大震災があったことを考慮するとストレージソフトウェアに対する堅調な需要を示すものといえる。市場の回復は2011年下半期に特に顕著で、前年同期比売上額成長率は7.0%増となった。成長を支えた要因は、主なものとして2つ挙げることができ、1つは、東日本大震災に影響をうけたデータ保護需要の高まり。データ保護/リカバリーソフトウェア市場は、2011年上半期に一部のソフトウェアベンダーが東日本大震災の影響を受けるなどして業績が下がったが、2011年下半期は主要ベンダー各社の業績が概ね好調だった。

もう1つの成長要因は、サーバー統合が進み、ストレージ運用の要件が高度化するに伴い、ストレージ管理ソフトウェアのニーズが高まったこと。2011年の国内ストレージ/デバイス管理ソフトウェア市場は、2010年のマイナス成長からプラスに転じ、売上額成長率は4.1%となった。2011年は、サーバー仮想化技術の利用が本格化し、システムの柔軟性、可用性、拡張性など本来の仮想化技術の導入メリットを追求するユーザーが増え、それがストレージ/デバイス管理ソフトウェアの売上増につながったと考えられる。

同社では、「今後のストレージソフトウェア市場拡大は、個々のユーザー企業がそれぞれの事業で競争力を高めるために取り組むべきITシステム改革の2つの方向と軸を同じくすると考えられる。1つの方向は、ビッグデータ活用に代表されるような経営判断に有効となるITシステムによるサポートをデータの高度利用によって実現することであり、もう1つの方向は、ビジネス環境の変化に追随するスピード/柔軟性を持つITシステムを経済性を保ちながら構築すること。これらの実現には、管理すべきデータの増大や多様化に対応しつつ、仮想化技術の発達により向上するサーバー環境の可用性、拡張性向上の進化に追いつくべくストレージインフラを改革しなければならず、その中心となるのがストレージの先進機能を実現するストレージソフトウェアへの投資になる」と分析している。