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LinuxネイティブなZFSの登場が話題になっている。CDDLとGPLのライセンスの相性から現在までのところLinuxカーネルにZFSをマージする目処は立っていない。KQ Infotechが取り組んでいるZFS Linuxカーネルモジュールはこうしたライセンス問題を避けつつ、LinuxにネイティブなZFSをもたらすものとして注目されている。

LinuxにはすでにFUSEで動作するZFS-FUSEが存在する。最新のリリースはZFS-FUSE v0.6.9。Zpool v23に対応した実装で、NFS共有やマルチスレッドIO制御ハンドラの実装も提供している。KQ InfotechのZFSがZpool v18対応であることを考えると、ZFS-FUSEは最新のZFSへの追随がだいぶ早いことになる。

ユーザランドでのファイルシステム動作を可能にするFUSEは、カーネル内部に実装するファイルシステムよりも迅速な開発が可能になるといわれている。同様の取り組みにNetBSDのRUMPなどがある。FreeBSDに移植されているZFSやKQ InfotechのZFSカーネルモジュールのZpoolバージョンと、ZFS-FUSEのZpoolバージョンを比較するとそれがよくわかる。

逆に、FUSEを使う場合の最大の問題点はパフォーマンスにあるが、改善も実施されておりパフォーマンスは向上しているという。[Phoronix] Benchmarks Of ZFS-FUSE On Linux Against EXT4, Btrfsにおいて実際にどの程度のパフォーマンスの違いがあるかが報告されており参考になる。(グラフの左上に掲載されている▲または▼の示す方向がパフォーマンスの高い方になっている。)

Benchmarks Of ZFS-FUSE On Linux Against EXT4, Btrfs - Phoronixより抜粋

Benchmarks Of ZFS-FUSE On Linux Against EXT4, Btrfs - Phoronixより抜粋

Benchmarks Of ZFS-FUSE On Linux Against EXT4, Btrfs - Phoronixより抜粋

Benchmarks Of ZFS-FUSE On Linux Against EXT4, Btrfs - Phoronixより抜粋

Benchmarks Of ZFS-FUSE On Linux Against EXT4, Btrfs - Phoronixより抜粋

Benchmarks Of ZFS-FUSE On Linux Against EXT4, Btrfs - Phoronixより抜粋

たしかに、ZFS-FUSEはEXT4やBtrfsの結果と比べてほとんどの試験で低いパフォーマンスを示している。OSが異なるため適切な比較とはいえないが、OpenSolarisでネイティブに動作するZFSと比較してもどのケースでも低い結果を示しており、FUSEを経由することでパフォーマンスの劣化が起こっていることはたしかに言えるようだ。

しかし、ZFSの最新の機能をLinuxで簡単に導入できるZFS-FUSEは興味深い。なお、こうしたベンチマーク結果はあくまでも特定の環境下における参考値にすぎないことに注意する必要がある。H/WやS/Wの条件が違うと性能が大きく変わることがある。