経済産業省は8月16日、「クラウドコンピューティングと日本の競争力に関する研究会」の報告書を発表した。報告書と合わせて、「クラウドサービスレベルのチェックリスト」、「技術ロードマップ」、「政策のロードマップ」も公開されている。

同省は昨年7月より4回にわたり「クラウドコンピューティングと日本の競争力に関する研究会」を開催してきた。同会では、日本の強みを生かしたクラウドコンピューティング環境の実現に向けて国・ユーザー・提供者のそれぞれが取り組むべき課題の取りまとめを目的に、産学の有識者で検討を行ってきた。

同報告書では、クラウドコンピューティングの普及・促進を図るため、「クラウドを活用したビジネスの国際展開に繋がるイノベーション創出の後押し」、「データの外部保存・利活用を促す制度整備と社会的コンセンサス形成」、「市場の健全な発展を通じたクラウド基盤の整備・充実」の三位一体の政策の必要性を提言している。

イノベーションの創出の具体例としては、「データ利活用のためのプラットフォームの形成と海外展開支援」、「スマートグリッドなどの社会インフラの高度化・効率化」、「気象衛星や監視カメラによる公共機関のデータの公開」などがある。

制度整備の具体例としては、「政府調達基準のクラウド対応」、「コンテナ型データセンタ設置」、「クラウドサービスの見える化・監査制度の整備」、「匿名化に関する管理・運用手続き・ルールの国際協調」などがある。

基盤整備としては、「高信頼化、環境負荷低減に関する技術開発・標準化」、「産業構造改革」、「データセンタの立地環境整備」、「人材育成」への取り組みが行われる。

また同報告書では、2020年までにクラウドコンピューティングの活用により累計40兆円超の新市場を創出するとともに、同期間の潜在GDP成長率を0.3%押し上げるものと推計されている。加えて、クラウドコンピューティングによって情報処理に関わるCO2排出を1990年度比で約7%のCO2排出量の削減が期待できるとしている。

クラウドコンピューティング普及に向けた取り組みのロードマップ 資料:経済産業省