市場独占による高価格が海賊版蔓延の要因?

トマト花園に関するあるレポートは、以下のように赤裸々に語っている。

「トマト花園版Windows XPの使用者は私の周りでは30%強おり、正規版Windows XP、あるいはOEM版Windows(販売時にPC本体にプリインストールされたもの)の使用者は双方を足しても25%に及ばない」。

海賊版と正規/OEM版のこの差は、正規版Windows XPが中国人の習性に適合していない可能性を示唆している。市場とは非常に正直なもので、使いやすさを追求して改良された海賊版がその後またたく間に市場を席巻し、普及度を高めたというのが実態だ。

Microsoftの市場独占を警戒する多くの国が、これまで幾度もその独占状態を打破しようと試みたが、解決には至らなかった。中国の場合、長きにわたるWindows OSの独占状態が海賊版業界を短期間に膨張させてしまったという見方もある。

「トマト花園は確かに海賊版であり違法と言わざるを得ないが、いったい中国で誰がソフトウェアのために1,500元(2万2,500円)も出すのだろうか? もし10元(150円)程度の正規版が存在し、5元(75円)の海賊版と比べてどちらを買うかと言われたら、その時は迷わず正規版を選ぶだろうが」。

巷で聞いたこの声は、中国人のホンネを言い表している。

高価格の商品は買える人にしか買えないのであり、一般庶民からすると全く非現実的な話なのだ。海賊版撲滅は確かに政府が打ち出している重要な政策であるが、同時に市場独占が原因と言われる高価格を改善しない限り、前者の解決も難しいだろう。

Microsoftは今回トマト花園の摘発を機に、海賊版サイトに対する態度を明確にした。結果としてその他数多くの海賊版サイトも一時的に身を潜めた。だが、またすぐに何らかの抜け道を見つけ出し、第2のトマト花園が台頭することだろう。

中国においても法令遵守という意識は日に日に高まりつつあり、正規版を意識的に買い求める人もいる。しかし、海賊版ソフトウェアの消滅に至るまでには程遠い状況である。