PC1,000万台にインストールされたトマト花園版

「トマト花園」という名称は、その名のとおり「トマト」に由来している。ある韓国のドラマで、劇中の男性がある女性に好意を抱いており、その女性を家まで送るシーンがある。そこで彼は彼女にトマトをプレゼントする。そのシーンで彼は「トマトは外見も中身も同じように赤くて変わらないよね。表裏がないということだ。僕たちもそうありたいね」と彼女に言うのだ。

洪磊氏は、このドラマを見てからトマト花園版XPの開発の着想を得、そのままサイトの名前にも使ったと言われている。

同氏が作成したトマト花園版XPは、Windows XPのロゴやデスクトップ画面、ボタンなどに若干の装飾を加えた上で、Microsoftの正規版検証プログラムを取り去り、正規版に組み込まれてはいるが常用されていない機能をアンインストールするなどのカスタマイズを実施し、OSの動作を加速させた。さらに、システムがインストールされた後に実用的なツールが集まるよう設計されている。

市場では、パソコンマニアやパソコン専門店、海賊版ソフトウェアの製造元などを中心にトマト花園版XPが非常に多く出回っており、事実上Microsoftの正規版OSに次いで最も普及しているXPバージョンとなっている。ある専門家によると、トマト花園版XPがインストールされたパソコンは1,000万台を超えているという。

知的財産保護の国策も影響

トマト花園版XPの製作者が逮捕されたというニュースを受け、同じくWindows XPの改造バージョン製作に携わっていた関係者たちが、表立った行動を避けるようになった。トマト花園のようなWindows XP改造バージョンは他にも、「深度版」「雨林木風版」「電脳公司装機版」「鉑金花園版」「夢ト家園」「極速工作室版」「諾徳尓版」「永航技術版」など枚挙にいとまがないほど存在するが、これらの提供サイトのうち一部は事件後閲覧できなくなってしまっている。

さらに、これらのサイトで公開されていたMicrosoft正規版の検証システムをいかに回避するか、などといった情報も削除されている。このような現象が起こっている理由として、警察側の聴取を受けているからか、単に身を潜めたいからかは定かでない。

中国国内には、トマト花園に同情的な声もある。「トマト花園はWindows XPの中国での普及に大きな役割を果たした。今まさにWindows XPが市場から引き上げようという時に、Microsoftが行動を起こした理由がわからない。さんざん使い古しておきながら見せしめにするとは」。

一方、「近年中国は知的所有権保護を強化する一連の政策を打ち出している。仮に、権利侵害行為があるのであれば調査を受けるのは当然。Microsoftがこの一件を後押ししているとしても、それは彼らの正当な権利」との見方もある。

BSA(Business Software Alliance)中国代表の職員が9月21日に国内メディアに証言したところによると、BSAは「権利人の委託を受け、トマト花園が知的所有権の侵害を行っているとして著作権局と公安部に報告した」という。

BSAは中国語では商業軟件聯盟といい、1988年に成立。世界80カ国と地域に下部組織が設けられている。中国代表処は1997年に設立、海賊版ソフトウェアの摘発を行うためのホットラインを設け、「ソフトウェア資産の管理と著作権保護」をテーマに掲げて活動を行っている。

BSAにはMicrosoftのほか、Adobe Systems、CA、SAP、趨勢科技などのソフトウェア企業及びPCメーカーなどが加入している。ある資料によると、BSAが海賊版ソフト製造企業に課した罰金による2007年からの収入は8,000万ドルを超え、その9割がMicrosoftに関連するものだという。このことから、BSAをMicrosoftの海賊版ソフトウェア対策の「代弁者」とみることもできるだろう。