HDDは、フラッシュメモリと比べてディスク上にデータが分散して存在する際のランダムアクセス性能が劣る。特にOSのデータは、小さな容量のファイルがディスク上に無数に散乱した状態となることから、ブート時には相応の時間がかかる。Vaulter Diskは、OSのデータをすべて格納していることから、起動時間の高速化が可能となる。同社が測定した結果では、HDD単体でOSを起動した場合44秒かかったのに対し、Vaulter Diskを採用した場合、これが29秒に短縮された。
OSの起動時間が短縮される効果などを考慮するとVaulter Diskは、IntelのTurboMemoryと似通った点が多い。両者とも接続はPCI Expressで行われ、HDDを使用するといった点も同様である。ただし、「IntelのTurboMemoryはキャッシュ用途であるため初回起動などではHDD単体の時と変わらぬ時間をかける必要がある。Vaulter DiskはOSそのものを格納しているため常に高速な起動が可能だ。加えてHDDインタフェースとVaulter Disk PCIeインタフェースが平行して読み書きを行うため高速なパフォーマンスを実現する」(同)という。また、TurboMemoryはIntel製のチップセットにしか対応していないが、Vaulter Diskは基本的にどのチップセット、CPUであっても対応が可能である。販売方法の違いも興味深い。IntelのTurboMemoryはユーザーが自由に搭載することが可能であるが、ドライバが必要となる。一方のVaulter DiskはOEMメーカーが出荷時に組み込むもので、小売りは予定されていない。
Vaulter Diskは、容量が12GBの製品と16GBの製品がラインナップされている。気になる製品化のスケジュールだが、すでに生産段階に入っており、OEMメーカーに対して2008年の上期中に出荷される予定だ。なお、使用されているNAND型フラッシュメモリはSLCで、同社の56nmプロセスが用いられている。