Oracle Database 11gを語るサーバ技術担当シニアバイスプレジデント アンディ・メンデルソン氏

12日(米国時間)に行われたOracle OpenWorld 2007の基調講演にて、Oracleのサーバ技術担当シニアバイスプレジデント アンディ・メンデルソン氏が4カ月前に発表された同社の最新データベース「Oracle Database 11g」について発表した。4年ぶりの看板商品のメジャーアップグレードだったわけだが、どうも予想されていた"11g"とは違う、新しいプロダクトのようだ。

全方位で性能改善、ユーザエクスペリエンスが11gの鍵

Oracle Database 11gは、10gで導入されたグリッド対応機能はもちろんのこと、関連している各種機能に確実な改善が加えられている。基調講演は顧客の導入事例と新機能、改善ポイントの紹介を織り混ぜて進められた。

発表内容の要点は以下の通り。

  • グリッドに移行することで500万ドル相当の経費削減が実現できた事例の紹介
  • ハードウェアベンダと協力してOracle Optimized Warehouseを導入したウェアハウスソリューションを提供していることの紹介
  • 読み込み性能はLinux FSと同等までチューニングされた
  • 書き込み性能に関してはFSの性能を凌駕している
  • 肥大化するデータベースを運用するにはILMが有効である
  • パーティショニング技術によるデータ保全機能が優れている
  • データ圧縮技術による効果的な運用が可能
  • セキュリティやアップグレード、パッチにも配慮されている

Oracle Databaseは7でひとつの地位を獲得した。そして8i、9iで確実に機能を追加し、10gでその地位を確固たるものにした。11gはさらに全方位の機能を改善するとともに、確実にユーザエクスペリエンスを向上させている。

Oracle Optimized Warehouseを導入している大手ハードウェアベンダ

11gの読み込み性能はLinux FSに匹敵、書き込みに関してはFSを凌駕している

10gに比べ11gの特徴がない?

しかし、Oracle Database 10g発表当時の熱気を知っている関係者にとって、11gはどうしてもインパクトが欠けるプロダクトになってしまったというのが正直なところだ。4年ぶりのメジャーアップグレードにもかかわらず、夕方に基調講演が設定されたことも気にかかる。11gはよくできているし、その効果は確かなものだ。しかしながら、10g発表当時のような熱さがなくなってしまったような感じがする。

Oracle Database 10gはデータベースのインフラストラクチャにグリッドを導入可能にした点で衝撃的な発表だった。これでリソースの提供やスケーラビリティ、将来性の面での懸念が一気にふっ飛んだ。Oracle Database 10gはデータベースが実現すべき機能のほとんどを実現した、パーフェクトなプロダクトのようにすら感じられたわけだ。

しかし、10gが発表されたあたりからIT市場そのものがいったん景気後退を見せはじめる。単体のデータベース販売で売上を延ばし続ける戦略に限界が見えてきた。Oracleはエンタープライズソリューションを全方位に展開していく戦略に転換し、企業買収とポートフォリオ統合を実現するソリューションの開発に心血を注いだ。そして現在がある。

ストレージにかかるコストは2年で2倍に、3年で3倍になる

管理にかかる時間や複雑性はバージョンアップを繰り返すごとに削減