2007年5月3日にIntelは、ニューヨークのMarriott Financial Centerにおいてアナリストミーティングを開催し、同社の方向性について説明を行った。IDF(Intel Developer Forum)は、IntelのCPUなどを使ってPCやサーバを開発するエンジニアや企業向けの情報提供の場であるが、アナリストミーティングは、銀行や投資会社などのアナリスト向けの情報提供の場である。従って、どちらも今後の製品ロードマップや特徴について述べるのであるが、IDFではこんなに素晴らしい製品なので使ってくださいという観点で述べられるのに対して、アナリストミーティングでは、こういう素晴らしい製品を出し、利益を上げ続けられる素晴らしい会社ですよという観点で説明が行われると言う点が異なっている。また、IDFはユーザの企業の多い場所で開催されるが、アナリストミーティングは金融の中心であるニューヨークで行われるという点も、当然ではあるが、相違点である。

Intelという会社

Intelという会社名は多くの人が知っているが、どのような会社かというとそれほどは知られてないのではないかと思う。ここで、同社の資料をもとにIntelという会社を概観してみよう。

Intelの今年の1-3月期の売り上げは$8,852M($1=120円換算で、約1兆600億円)である。その内の$7,100M程度がマイクロプロセサ(とチップセット)の売り上げであるので、殆どの売り上げがマイクロプロセサであると言って良い。

出典:Intel 2007 Spring Analyst MeetingでのAndy Bryant CFOの発表資料

この辺は、大方の理解と余り違わないと思うが、売り上げを地域別に見ると、米国、南米地域が20%、ヨーロッパが19%、日本が11%で、なんと、50%がアジア、パシフィック地域である。日本も含めると、なんと61%の売り上げを、中国などを中心とするアジアと太平洋周辺の国で上げているのである。1996年には42%を米国、南米、28%をヨーロッパで売り上げていたのであるから、この10年間で大きくビジネスの場が変っている。

2006年にはおおよそ4兆円($35,382M)の売り上げで約6800億円($5,652M)の営業利益を上げているが、2004年、2005年の営業利益に較べると半減ということで、大リストラを開始し、昨年には8400人を削減し、今年の前半には、さらに2100人を削減する計画である。なお、削減前の従業員は約10万人であり、10人に1人をリストラすることになる。

出典:Intel 2007 Spring Analyst MeetingのStacy Smith Assistant CFOの発表資料

この図に見られるように、リストラ対象は、大部分がマーケティングと人事(Human Resources)部門である。これにより、2006年度には$2Bの費用を削減し、今年は更に$1Bの費用削減を上積みする。日本でも不況で赤字の会社でのリストラは珍しく無くなって来たが、7000億円近くも儲かっている会社が1万人の首を切るというのはちょっと考えられない。やはり、米国では、経営者は株主のために働いているというのが徹底しており、株主の利益=株価の上昇であるので、コスト削減による利益増で株価が上がるとなれば、儲かっていてもリストラをやるのである。