【日米のメーカーにマイナス影響】トランプ関税が自動車部品にも適用

金型やモーターは日本からの輸入に依存

 米トランプ政権の関税政策が発動した。米国に輸入される自動車部品に対する25%の追加関税を発動したことで、日本のみならず世界中の自動車メーカーの生産体制を揺さぶっている。

「25%の関税で自動車の価格は上がる。当然、価格が上がれば売れなくなる。値上げ分を誰が負担するのかという議論になる」と自民党有力者は指摘。首相の石破茂氏も「我々は自動車や鉄、アルミニウムを含む全ての関税について協議を行っている」と譲歩しない姿勢を示す。石破氏は5月1日夜、トヨタ自動車会長の豊田章男氏と面会しており、関税への影響などについて意見を交わした可能性が高い。

 野村證券によると、2024年1―10月に米国で販売された自動車の現地生産比率はホンダが7割と最も高く、トヨタは約5割、マツダは2割と続く。三菱自動車に至っては現地生産をしていない。米国勢もフォード・モーターが約8割に対し、ゼネラル・モーターズ(GM)は約5割と差がある。

 ただ、今回の関税は完成車だけではなく、自動車部品にも課せられる。そのため、米国内で完成車を生産していても、部品を海外から輸入している場合には部品に関税が課せられる。

 前出の有力者は「金型やバッテリーなどは米国メーカーも日本から輸入している。このままでは米国の製造業も細っていく」とも語る。実際、フォードの米国内での生産車のうち約6割は輸入部品で成り立っている。そのため同社は年間2100億円の影響が出ると発表している。

 GMも09年の経営破綻を受けて韓国での生産を増強。中国依存を避けるための判断だったが、米販売のうちの5割を輸入に頼っており、関税の影響も7200億円とホンダ並み。「米国メーカーにも間違いなくマイナス影響が出る」(アナリスト)。

 トヨタでは4、5月で1800億円の影響が出るが、在庫がなくなるまでは価格を維持する。かねてより同社は「手前手前に引きつけて実需の判断をしていく」(副社長の宮崎洋一氏)という方針だったが、関税の発動を受けて国内生産300万台を死守しながら、どう販売台数を伸ばしていくかが試される。

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