日産自動車の新型「キックス」で東京~御殿場間を往復してきた。200km近くの距離をじっくり乗ってみると、このクルマの真の実力がわかってきた。

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    日産の新型「キックス」に試乗!

日産「キックス」の写真を一気に見る

新型キックスってどんなクルマ?

日産自動車の小型クロスオーバーSUVである「キックス」(KICKS)が、2026年6月にフルモデルチェンジした。新型は2代目となる。海外にはガソリンエンジン車があるが、日本ではハイブリッド「e-POWER」のみでの販売だ。

グレードは「X シンプルパッケージ」「X」「X+」「G」の4種類。各グレードで2WDと4WDが選べる。価格は299.97万円~424.82万円だ。試乗したのは「X e-4ORCE」グレードで、価格は359.92万円。

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    「X シンプルパッケージ」「X」「X+」のフロントバンパー、サイドシル、リアバンパーには、スニーカーソールから着想を得たディンプル(ポリゴン)パターンを採用

e-POWERは日産独自のハイブリッドシステムだ。駆動はモーターのみで行い、ガソリンエンジンは発電専用になる。このため、走行感覚は電気自動車(EV)に通じ、発電のためガソリンエンジンを稼働する際も、できるだけエンジンの騒音などを気づかせないように制御している。

それでも、急加速するときはエンジン騒音が耳に届くが、音質はそれほど鬱陶しいものではない。さらに急加速を続けてエンジンが回転数を上げたときは、より滑らかな音色になり、快くさえある。

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車内の作りはどうなのか

新型キックスは前型に比べ車体がやや大柄になった。全長も伸び、全幅も拡幅されて1.8mに届いた。

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    新型「キックス」のボディサイズは全長4,365mm、全幅1,800mm、全高1,615mm(4WDは1,610mm)

外観の造形では、フロントフェンダーを盛り上げたような姿となり、グリルも横幅を強調する様子になって、かなり大柄なクルマのように見える。このフロントフェンダーの造形は、運転席に座ったとき、車幅感覚を知る目安に使える。

室内は、Xグレードだとファブリックのシートになるが、「ブラック」の室内色はチャコールグレーの見栄えで、品のよい印象をもたらす。座席の寸法にはゆとりがあり、ゆったりと座れるうえ、体の保持も十分だ。運転席に座り、その居心地のよさをまず実感した。

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後席もきちんとした座席のつくりになっていて、ゆとりがある。e-POWERによる静かな走りは、後席の居心地を上等にしている。

200kmを走ってわかったキックスの実力

モーター駆動のe-POWERは、そもそもEVの技術から生まれたハイブリッドであるため、発進、そして加速も、EVと同じようにわずかなアクセル操作で期待通りに走る。力まずに加速できるので、運転していて疲れにくい。精神的な圧迫もなく、快適な移動を約束してくれる。ほかのハイブリッド車に比べ、ここが日産のe-POWERならではの利点だ。

また、EVと同じように、「e-Pedal Step」のスイッチを入れてアクセルのワンペダル操作にすると、アクセルペダルの踏み込みと戻しだけで速度調整が容易にできる。わずかにアクセルペダルを戻せば回生が働き、適度に減速すると同時に、バッテリーに充電を行う。これを上手に使うと、燃費を向上させることができる。ただし、アクセルを完全に戻しても停止まではしてくれない。

今回の試乗では、東京~御殿場間を往復した。一般道と高速道路の両方を走り、メーター上の燃費は最高で23.1km/Lと出た。走行中に数値の変化を見ていると、登り坂や下り坂の影響により、20~22km/Lあたりで推移した。

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    復路の東名高速道路 中井パーキングエリアで撮影。メーター上の燃費は22.4km/Lを表示している

X e-4ORCEのカタログ燃費は21.5km/Lとある。空調を使いながらの実走行でも、ほぼ諸元数値に近い燃費を実現でき、なおかつ条件が整えば、それ以上の好燃費を期待することも不可能ではないことがわかる。ここが、EVと同じように回生を活用できるe-POWERの優位性だ。

モーター駆動と、それに伴うワンペダル操作による回生の活用が、いかに省エネルギーになるかという証でもある。

高速道路では、積極的に運転支援機能の「プロパイロット」を利用した。速度を設定すれば、それを維持して巡行し、車線に沿ったハンドル操作を補助してくれる。前を走るクルマに近づけば、車間距離を維持するため自動的に速度調整する。車間距離の設定は4段階ある。高速道路を安心して安全に走るには、3~4コマの多めの車間距離設定がひとつの目安になるだろう。

国内外を含め、各自動車メーカーは同様の運転支援機能を装備する。そのなかでプロパイロットのよさは、作動するための操作がしやすく、機能が正確なだけでなく、使っている間の安心感が高いことだ。他車では、機能は的確に働いているのだろうが不安な気持ちの残る車種もある。それに比べてプロパイロットの安心感は格別だ。同じように、スバルの「アイサイト」も高い評価を得ている。

モーターを活用した4輪駆動(4WD)の「e-4ORCE」は、エンジンに比べ約100倍速いモーターの応答性をいかし、旋回する際に4輪の駆動力制御を緻密に行い、狙い通りの進路を進めるよう促す。作動の様子はメーター画面で確認できる。旋回時にとどまらず、車線変更などでも機能するため、ハンドル操作を伴う走行が安定し、的確になり、不安を和らげる効果をもたらす。

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全行程200km前後の試乗で、キックスは身体的にも精神的にも過度の疲労を残さず、快適に移動できた。それはあたかも、EVに近い感触だった。電動車時代にふさわしい満足度の高い小型クロスオーバーSUVである。

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