日産自動車の新型「キックス」を購入する場合、多少の予算オーバーには目をつぶってでも最上級グレードの「G」を選ぶべきなのか、それとも「X」グレードで十分なのか。さまざまな角度から検討してきたが、比べれば比べるほど悩ましい問題だ。
新型「キックス」の写真を一気に見る
いろんな観点で比べてみると…
ここまで4回にわたり、新型キックスの「X」と「G」を比較してきた。
快適装備。
装備表を見比べ、価格差の理由を探ってきた。
本音をいえば、比較記事の作成を始める前は「最後には『おすすめはXです』、あるいは『Gを選ぶべきです』と結論を書くだろう」と思っていた。
ところが、いざ書き終えてみると、そう簡単には答えを出せなくなってしまった。
理由は単純だ。
XにもGにも、「これならこちらを選びたい」と思わせるだけの魅力があったからである。
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新型「キックス」は「X シンプルパッケージ」「X」「X+」「G」の4グレード展開。それぞれで2WDと4WD(e-4ORCE)が選べる。2WDで比べるとXは325.93万円、Gは389.84万円で約64万円の価格差がある
「Xで十分」とは割り切れない理由
最初は「Xで十分」という気持ちだった。
プロパイロットをはじめとする先進安全装備は充実しているし、見た目も決してGに見劣りするものではないからだ。
17インチタイヤなら乗り心地や維持費の面でもメリットがある。
価格差を考えれば、「Xで十分」というのが率直な印象だった。
実際、多くの人に勧めるならXだろう。
ところが、Gについて調べるほど考えが変わっていった
19インチホイール。
インテリアのプレミアムファブリックとゴールド加飾。
BOSEサウンドシステム。
運転席パワーシート。
個別に見れば「なくても困らない装備」といえるかもしれない。
だが、それらが1台のクルマに積み重なると、印象は大きく変わる。
Gは「装備が多いグレード」ではなく、「毎日乗ることを少し豊かにしてくれるグレード」なのだと感じるようになった。
満足感を追求するなら「G」か?
性能だけで選ぶなら、Xは非常に合理的だ。
価格と装備、安全性能のバランスは見事といっていい。
ところが、毎朝駐車場でクルマを見て、「やっぱりこのデザインが好きだ」と思えたり、ドアを開けた瞬間に「この内装、いいな」と感じたりする満足感は、スペック表には載っていない。
弊誌では腕時計の記事も掲載しているが、それによく似ている。
時刻を知るだけなら、どんな時計でも間に合う。
それでも、人は文字盤の仕上げやケースの磨き方、ブレスレットの着け心地に魅力を感じ、お気に入りの1本を選ぶ。
クルマも、きっと同じなのだ。
「価格差」ではなく、「満足感の差」と考えると見え方が変わる
今回、何度も価格差について考えた。
決して小さな金額ではない。
だからこそ、「その差額を払う価値があるのか」という視点で見てきた。
そして最後にたどり着いた答えは、価格差ではなく「満足感の差」だった。
毎日乗るクルマだからこそ、内装の質感やオーディオ、ホイールデザインといった要素は、少しずつオーナーの気持ちに影響していく。
逆に、「その差額があるなら旅行へ行きたい」「維持費を抑えたい」という考え方も、もちろん正しい。
どちらが正解という話ではない。
自分が何に価値を感じるかで、答えは変わる。
結局、私なら……
では、自分ならどちらを買うのか。
コストパフォーマンスを考えれば、やはりXは魅力的だ。
一方で、「長く乗るなら、Gを選んでおけば後悔しないかもしれない」という気持ちも拭えない。
もし販売店へ行くことがあれば、おそらく私はXとGの運転席を何度も座り比べ、外へ出てホイールを見比べ、また車内へと戻るだろう。
そして最後まで悩んだ末に、どちらか1台を選ぶはずだ。
それほど、この2つのグレードは絶妙なバランスで作り分けられている。
「クルマ選びで迷う」という時間は、決して悪いものではない。
装備表を見比べ、試乗し、家族と相談し、「自分にはどちらが合っているだろう」と考える。
その時間もまた、クルマを買う楽しさの一部なのだろう。
もし価格を最優先するなら、迷わずXを。
もし5年後、10年後も「このクルマを選んでよかった」と思いたいなら、一度はGにも心を動かされてみてほしい。
結局、最後まで決めきれなかった理由は、新型キックスというクルマが、それだけ魅力的にグレードを作り分けている証拠なのだと思う。
編集部のひと言
比較すればするほど、それぞれに選ぶ理由が見えてきます。もしかすると、この"決められない"という感覚こそが、日産のグレード戦略の巧みさなのかもしれません。










































