日産自動車が発表した新型「リーフ」は、一充電走行距離がなんと最大702km(WLTCモード)に達している。600km台ではなく700km超となっているところからは、なんとなく日産の意地のようなものを感じる。どうやって700kmの大台に乗せたのか、プロトタイプ試乗会で開発陣に聞いてきた。
空力ボディはクラストップレベルのCd値0.26
新型リーフの遠藤慶至チーフ・プロダクトスペシャリストによると、目指したのは「もうこれまでのEVとは時代が違う、全ての性能を磨き上げた最新EV」であるとのこと。そのためにはトップレベルの空力・熱マネジメントが必要だったという。さらに、ナビとリンクしたバッテリーコンディショニング技術の貢献も大きいとした。
試乗会にお目見えした新型リーフ「B7」が搭載するのは、最高出力160kW(218PS)/最大トルク355Nmを発生するEVパワートレインと容量78kWhのリチウムイオンバッテリーだ。パワートレインはモーター、インバーター、減速機を一体化した「3-in-1」構造。この組み合わせで、一充電走行可能距離(WLTCモード)を最大702km(B7 Xグレード)まで伸ばすことに成功した。
技術的な説明をしてくれたのは、磯部博樹チーフ・ビークル・エンジニアだ。
まず、電費を大きく左右するのがボディの空気抵抗だ。新型リーフでは、これまで2世代にわたって採用してきたハッチバックボディから、滑らかな面を持つファストバックスタイルのクロスオーバーEVへと変えることで、空力性能を磨き上げた。Cd値はクラストップレベルの0.26だ。
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徹底した風洞実験で作り込んだフロント部。バンパー下にはシーリング性を高めたグリルシャッターを備える。空気抵抗の少ないホイールに取り付けたのは、ダンロップタイヤの「e-スポーツマックス」(235/45R19サイズ)
ボディサイドには同社初の格納式ドアハンドルを採用。ホイールはブレーキの冷却性能とバランスを取りつつ設計したフラットデザインとした。
滑らかなラインを持つ屋根部分は、1,550mmの低い全高をキープしながら快適な室内空間を実現する日産初の「熱反射式調光パノラミックガラスルーフ」を採用。リアには「Ⅱ」と「三」のパターンをあしらった「3Dホログラム式コンビネーションランプ」を搭載し、薄く軽く仕上げつつ滑らかな面を出すことで空力性能を高めた。
空気を整流するため、車体下部ではフラット化をさらに推し進めた。新型では通常の底面だけでなく、ジャッキポイントやサスペンションのリンク部にまでカバーを装着。これで下側の面積の95%以上が50mm以内の凹凸に収まり、より速く空気が流れるようになったという。
バッテリーマネジメントに注力、ナビとのリンクも
EVは暑さ、寒さに弱く、空調を使うと航続距離が大きく落ちてしまう……という声をよく耳にする。これに対応するため、新型リーフでは空調システム、バッテリー、パワートレインというクルマの熱冷システムを全て連結した「統合熱マネジメントシステム」を採用した。いわば、“もったいない精神”でクルマから出る熱をフル活用しようという発想である。
具体的には、モーターやバッテリーが発生する熱(これまでは捨てていた)を空調に使ったり、コンプレッサーの代わりにラジエーターを使ってバッテリーを冷やしたり、といった感じだ。
さらに、ナビ(Google搭載のNissanConnectインフォテインメントシステム)と連動し、ルート情報からバッテリーへの負荷を予測して、走行中に無駄に温めたり冷やしたりしない制御を行うことで最適なバッテリー温度に自動調整する「ナビリンクバッテリーコンディショニング」機能も効果があった。これにより、1年を通してバッテリーの温度を適温に保つことができるので、暑い、寒いといった環境や登り下り、市街地、高速道路などの走行状態に大きく左右されることなく、一定以上の航続距離がキープできるようになったのだという。
“メカロス”を減らす対応は?
磯部氏によると、700kmという一充電走行距離は最初から目標値として掲げており、容易ではなかったものの、その目標には到達しやすかったのだという。なぜかというと、リーフはすでに3代目まで進化してきたので、EVの航続距離延長に関係するパラメーターの洗い出しが進んでいて、それらに対して何をするか、どこを潰せばいいのかという点が、ロジックとしてわかっていたからだ。
具体的にはバッテリーの搭載効率を上げたり、トータルの銅の配線の長さをより短くしたり(抵抗値を少なくするため)、モーターのコイルの巻き方を小さくしたりなどの工夫を重ねた。
さらに、メカロス(機械的な損失)を減らすため、オイルを使用するギアの油のかき上げのシミュレーションを行なって(オイルは流体なので、解析が難しいらしい)、ギアの配置と油面の高さを最も効率の良いところに持っていくといったような、涙ぐましい(?)努力もあったそうだ。
そして、最後の最後はタイヤの空気圧。米国仕様の300マイル、日本仕様の700kmという目標値を達成するため、操縦安定性とのバランスを測りながら、細かにタイヤの空気圧を調整したのだという。
単純に距離を伸ばすだけならバッテリーを多く積めばいいわけだが、フラッグシップEVの「アリア」とは違って、リーフは価格や走行性能とのバランスを取る必要がある。そこから割り出したのが、今回の78kWhという容量だった。
試乗会には新型リーフのアクセサリー装着車やスポーティーな「AUTECH」(オーテック)バージョンが早くも姿を見せていた。気が早いかもしれないが、4WDバージョンや「NISMO」バージョンの登場にも期待したくなる。
リーフ「B7」は10月17日から各ディーラーでの注文受付が始まり、2026年1月からデリバリーが始まる予定だ。















































