弁護士の年収は?主な仕事内容や役割についても解説!

弁護士は、民事事件や刑事事件などに関する問題解決のアドバイスや、法的手続きを行う法律の専門家ですが、弁護士の仕事に興味がある方でも、すべての実態を掴むことは困難です。

  • 弁護士の仕事内容は具体的にどんなものなのか
  • 収入はどれくらいなのか
  • どんな未来になるのか
  • 弁護士の役割とは何なのか
  • そもそも弁護士はどうやってなるのか
  • 司法試験の内容も詳しく知りたい

この記事では、弁護士の年収をはじめ、業務内容や将来性、司法試験の難易度といった情報など、弁護士についての情報をまとめました。

当サイトに掲載している弁護士の通信講座に関する内容と併せて、ぜひ参考にしてください。

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目次

弁護士の年収はどのくらい?

弁護士と言えば、医者と並び高給取りのイメージを持つ方は多いでしょう。

弁護士を目指している方は「弁護士の収入」が気になるところです。

司法制度の改革により、以前に比べると弁護士の年収が減少していますが、実際のところ弁護士はどのくらいの収入を得ているのでしょうか。

さらに、経験年数や勤務弁護士給与と開業弁護士所得の比較をしてみました。

調査から見る弁護士の平均年収

2013年から2015年にかけて、日本弁護士連合会と法務省、最高裁判所が共同で調査を行い、弁護士の収入額と所得額が明らかになりました。

調査によると、2015年における弁護士の収入と所得の額は以下のとおりです。

なお、弁護士の平均年収には、勤務弁護士の「給与」と開業弁護士の「所得」がすべて含まれています。

経験年数 収入 所得
1年目 543万円 317万円
2年目 654万円 391万円
3年目 831万円 444万円
4年目 946万円 472万円
5年目 1108万円 582万円
6年目 1226万円 614万円
7年目 1303万円 624万円
8年目 1472万円 721万円
9年目 1605万円 732万円
10年目 1796万円 739万円
11年目 1926万円 816万円
12年目 2076万円 884万円
13年目 1986万円 832万円

このデータをみると、収入と所得は1年目から12年目まで年々増加していく傾向にあることが分かりますが、13年目になると12年目より収入と所得も少々減少しています。

このことから今の弁護士の平均年収は、10~15年目の所得800~900万円程度がピークとなっているといえるでしょう。

ただし、これはあくまで「平均値」であり、弁護士によってそれぞれ大きな差があります。

また、この調査に回答したのは全弁護士の3~4割程度であるため、すべての弁護士の収入を反映したものではありません。

地方別の弁護士年収比較

弁護士の収入は、地域によっても大きく異なります。

各地方における法律事務所の求人情報を参考にした給与の相場は以下の通りです。

  • 東京大手弁護士事務所:給与年収1200~1500万円程度
  • 大阪大手弁護士事務所:給与年収600~1000万円程度
  • 札幌中堅弁護士事務所:給与年収600万~900万円程度
  • 福岡個人弁護士事務所:年収500~700万円程度

金額だけで見ると、都会になればなるほど弁護士収入が高額になる傾向にあります。

ただし、地方の個人弁護士事務所などは給与が少なくても、個人事件をたくさん取り扱うことにより申告所得が高額になる場合も少なくありません。

開業弁護士の年収

開業弁護士の場合、年収は「売上」や「収入」から必要経費を差し引いたものが「所得」となります。

個人によって大きく差があるものの、大体1,000~1,500万円程度が平均値となるでしょう。

ただ、同じ開業弁護士の中でも年収300万円以下の方もいます。

逆に、年収1億円を超える方もいるため、開業弁護士の中でも格差は激しいと言えるでしょう。

また、1日のほとんどを仕事に費やして、休日も返上して仕事に取り組む開業弁護士も多く、労働時間がとても長くなっている傾向があります

こういった事情を知ると、所得の平均値だけに着目しても実態を計り難いと言えるでしょう。

つまり、所得額だけではなく、仕事への満足度や全体のワークライフバランス、心体的ストレスなどを総合的に判断して、自分にとって適切な収入を判断することが重要です。

勤務弁護士の年収

勤務弁護士の場合、地方か都会か、また大手か中堅か個人の弁護士事務所かで、大きく給与が異なります。

また、勤務弁護士であっても個人事件をこなせばその分収入が上がるため、年収や所得も増加するのが特徴です。

これを前提に大体の概算を見ていきましょう。

東京の大手弁護士事務所の場合
  • 給与額が高額
  • 初年度から年収1000万円を超え
  • 勤続年数を重ねれば重ねるほど給与増加
  • パートナーとなる頃には年収3000万円を超えているのではないかと予想できる
中堅やそれ以下の弁護士事務所の場合
  • 給与額は事務所によってさまざま
  • 中堅弁護士事務所で初年度から年収700~800万円以上
  • 年収300万円程度で弁護士を雇用しようとする事務所もある
東京以外の都会事務所の場合
  • 大手か中堅、個人かで多少給与額が異なる
  • 渉外系の事務所は給与額が高くなる傾向にある
  • その他事務所はあまり変わりはない
  • 大体、年収500~700万円程度で始まるところが多い
  • 300万円程度で弁護士を雇用しようとする事務所もある

そもそも弁護士って何をするのか?

弁護士の仕事は、被疑者の代理人として法廷で争っていたり芸能人の不祥事に尽力していたりなど、テレビドラマやニュースなどのメディアの影響により、そういった仕事内容の印象をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

しかし、弁護士の表に出ている仕事はほんの一握りにしかすぎず、多岐にわたります。

弁護士を目指すなら、その役割やどんな仕事があるのかを再度知っておく必要があるでしょう。

弁護士を目指しているわけではないといった方でも、例えば勤務先からの不当解雇退職代行不倫の慰謝料請求など、弁護士の力を借りる時がいつか来るかもしれません。

日々の生活においても、法的措置をとらなければならない事案が発生する可能性は誰にでもあります。

そういったときに、弁護士の仕事にどういったものがあるのかを知っておくだけでも自身の動き方が大きく変わるのではないでしょうか

そこで、弁護士の役割や仕事内容などを解説していきます。

弁護士の役割とは

弁護士は、超難関と言われる司法試験を突破した、国家資格を持つ法律の専門家であり、法律の相談や依頼人の代理人として相手方との交渉、裁判で争うことが主な仕事です。

日本は「法治国家」として、多くの人々が快適で安全・安心に暮らし、円滑な経済活動を行うために様々な法律が整備されることで国家が運営されています。

しかし、それぞれの権利や利害関係などは複雑に絡み合っているため、望もうが望むまいが、誰にでも法的トラブルに巻き込まれる可能性は考えられるでしょう。

そうした問題が発生したときに、法的知識を駆使して問題解決にあたるのが弁護士です。

取り扱う案件は、大きく民事事件と刑事事件の2種類に分けられ、民事事件と刑事事件は、どちらも依頼人の利益を守ることに違いはありません。

弁護士法において「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」とされています。

このことから、弁護士はまさに社会正義のために働く職業といえるでしょう。

ちなみに、弁護士バッジと呼ばれる弁護士の身分を象徴する弁護士記章は向日葵がモチーフです。

向日葵の花言葉は色や形状によって違いはあるものの、全体として「崇拝」「愛慕」「あなただけを見ている」などがあります。

そして向日葵の花は、太陽に向かって咲いていることから「自由」と「正義」を象徴していると言われています。

しかし、向日葵の花言葉に「自由」と「正義」はありません。

つまり、太陽に向かって咲いていることが「自由」と「正義」を表すのではなく、向日葵が向かう太陽こそが「正義」ということではないでしょうか。

また、弁護士バッジの中心部には天秤が描かれており、天秤は左右が水平になったときに同じ重量であることを示す道具であることから、「公正と平等」を表しているとされています。

古くから現在に至るまで、ギリシャ神話の女神「テミス」とローマ神話の正義の女神「ユースティティア」が剣と天秤を持っていたことから司法裁判の象徴となりました。

弁護士の仕事内容

法律は、人々の自由や権利などを守るために存在しています。

お互いの権利と権利がぶつかったときに、権利の範囲を調整するという機能を有していますが、法律は六法をはじめとして膨大な量であり、その内容も極めて複雑です。

一般人が理解するのはとても難しいのですが、そんなときに弁護士は活躍します。

弁護士は、法律の専門家として人々の生活をサポートするとともに、不正が行われることのないよう誰もが安心して暮らせる世の中を構築していくことが役割です。

法律相談や代理人業務だけでなく、人権を守るための啓蒙活動を行ったり、企業や地域公共団体の顧問になったり、講演会を開催したりと、弁護士が活躍するフィールドは多岐にわたります。

弁護士の仕事はたくさんあるものの基本的には民事事件と刑事事件に大きく分けられるでしょう。

民事事件をどのように解決するかということや、刑事事件の被告人に対してどのような刑罰を科すかということも、すべて法律に基づいて行われます。

民事事件と刑事事件の違いや、それぞれの特徴を解説していきましょう。

民事事件に関する業務

民事事件は、一般人が生活する中の身の回りで起こる様々なトラブルに関する事件です。

民事事件の主な相談内容

  • 貸したお金を返してくれない
  • 離婚や相続で揉めた
  • 不倫の慰謝料請求
  • 会社から解雇を言い渡された
  • 交通事故に遭った
  • 医療ミスが疑われる

案件の種類は多岐にわたり、民事事件における弁護士の業務は、問題の深刻度合いに応じてさまざまです。

法律についての助言だけで解決する場合もあれば、代理人として書面を作成したり、相手方と交渉をしたりすることもあるほか、話し合いでの解決が困難であれば、最終的には訴訟を起こして、裁判にて法的手段での決着を図ります。

民事裁判の重要ポイントは、まず依頼人の希望を聴取することです。

次に事実関係を調査し、依頼人に有利となる証言や書類などを集め、そして裁判で依頼人の弁護を行います。

テレビドラマなどでは、よく法廷で熱弁をふるうシーンが演出されていますが、実際の民事裁判はもっと事務的で、証拠集めなどの準備作業が大半です。

裁判によっては、訴状を提出して次回の期日を決めるだけで、10分程度で閉廷となることも珍しくありません。

刑事事件に関する業務

刑事事件は、警察が介入する法上の犯罪が対象となる事件です。

刑事事件の主な相談内容

  • 暴行
  • 傷害
  • 器物破損
  • 窃盗
  • 詐欺
  • 脅迫
  • わいせつ
  • 賭博

刑事事件における弁護士は、被告人や被疑者の代理人となり、事件の調査や検察官を相手に弁護活動を行うことが仕事です。

弁護士といえば、世間的に刑事事件を担当しているようなイメージが強いのではないでしょうか。

しかし、実は刑事事件を手掛ける弁護士はあまり多くありません。

これは、警察官や検察官が事件関係者などを強制的に調べられる強い権限を持っている一方で、弁護士には捜査権が与えられていないことに起因しており、事件の調査や証拠集めを行う難しさが影響しています。

また、知り合いに刑事事件を得意とする弁護士が都合良くいるような被疑者や被告人は多くありません。

金銭的余力に乏しい方も少なくないため、裁判所が選定した「国選弁護人」に頼るケースが目立ちますが、そもそも憲法には「誰もが公平に裁判を受ける権利がある」と記されています。

罪の重さに対して不当な量刑が課されたり、冤罪をかけられたりすることを防ぐため、弁護士の役割は極めて重要です。

それに民事事件と比較すると、法廷で発言する機会も多くなります。

つまり、刑事事件を扱う弁護士が少ないからといって、民事事件より仕事のやりがいがないというわけではありません。

さらに、近年では裁判員裁判制度が導入され、法律知識を持たない一般人に対しても、裁判の争点や被告人の言い分などをわかりやすく伝える力が求められるようになっています。

刑事事件と民事事件とでは求められるスキルが違うといえるでしょう

弁護士の仕事の流れ

激務であると言われている弁護士は、実際どんな生活を過ごしているか気になる方も多いのではないでしょうか。

同じ弁護士の中でも、法律事務所に勤務している方や企業に勤務している方など働く環境によっても1日の流れは異なります。

法律事務所に勤務する弁護士の1日

9:00 出勤
大体9:00~10:00の間に始業を開始するところが一般的です。

9:30 確認事項をチェック
1日のスケジュールやメール、書類や文書を確認します。

10:00 法律相談
個人依頼者や企業など顧問先の法律相談に応じます。

11:00 裁判所へ出廷
裁判は、午前中は9~12時の間、午後は13~17時の間に開廷されます。

12:30 昼食
昼食の時間は決まっておらず、自分で時間を調節しながら食事をするタイミングを見つけます。

13:30 打ち合わせ
事務所内の打ち合わせはもちろん、依頼者や企業とも行います。

15:00 電話対応や事務仕事
対応しきれていない電話や急な依頼の書類作成に追われることも多々あります。

17:00 法律相談
夕方以降になると、終業後の会社員などの法律相談が増える傾向にあります。

18:00 調査・起案や書類整理
依頼に対しての調査や起案もしなければなりません。

20:00 帰宅
仕事が早く片付けばすぐに帰宅する日もあります。
また、依頼者や付き合いなどで食事をすることもあります。

弁護士の仕事は、依頼者から悩みやトラブルの法律相談を受け付けるところからスタートです。

依頼者の要望、問題の内容や原因、相手方の主張などを整理して、まずは依頼者側だけで解決できるよう法的なアドバイスを行いますが、それだけでは事態を収拾することが困難であると判断される場合、弁護士は依頼人と代理人契約を結び、その後は相手方と示談交渉を行ったり、最終的には裁判を起こして法廷で争ったりします。

すぐに相手方と和解が成立することもあれば、何年もかけて高等裁判所や最高裁判所で争うケースまでさまざまです。

問題が解決したり裁判が結審したりすると、依頼人から弁護士報酬を受領して弁護士の一連の業務は完了となります。

とはいえ、今回ご紹介した弁護士の1日のスケジュールはほんの一例に過ぎません。

弁護士の1日は規則的とはいえず、日によっては夜遅くまで依頼者への対応や書類作成に追われることもあります。

このことから、弁護士の1日はかなり変則的かつ激務ともいわれているのが特徴です。

企業に勤務する弁護士の1日

企業に勤務する弁護士は、大手企業や外資系企業の法務部に勤務するのが一般的です。

一般社員と同様に正社員として雇用されるため、有給休暇も与えられます。

企業に勤務する弁護士は、法律事務所で働いている弁護士よりも外出することが少なく、デスクワークが中心です。

1日に行う仕事内容は、企業の経営などに関する法的書類の作成や契約書の作成や確認、社内規約の整備などを行います。

行政庁に勤務する弁護士の1日

官公庁や各自治体などで勤務する行政庁に勤める弁護士は公務員として勤務し、他の職員と同様の勤務時間、休日が与えられます。

行政庁内弁護士は公務員として扱われるため、規則的に勤務できるでしょう。

また仕事内容としては、行政に関する業務を行っています。

他職員や市町村からの法律相談、コンプライアンスの構築、職員研修などの実施も行政庁に勤務する弁護士の仕事です。

弁護士になるには

弁護士の業務は、激務であると解説しました。

そもそも、弁護士とは誰でもなれるわけではないことは説明するまでもなく、弁護士資格は数ある国家資格の中でも、医者に並んで最高峰の資格と言っても過言ではありません。

弁護士資格を取得するだけでも一筋縄ではないため、ここでは弁護士になるまでの道のりについて解説していきます。

司法試験の受験資格を得る

弁護士になるには、国家試験である司法試験に合格し、その後に約1年間の司法修習を修了する必要があります。

しかし、司法試験の受験にはそもそも受験資格が必要です。

  • 法科大学院課程を修了すること(2023年からは法科大学院の最終学年で司法試験を受験が可能)
  • 司法試験予備試験に合格すること

上記のどちらか一方を満たす方でないと受験できません。

引用:日本弁護士連合会ホームページ

法科大学院に進学して、司法試験合格を目指すのが一般的でしょう。

しかし、大学在学中や法科大学院在学中に予備試験を受験して弁護士資格取得にかかる時間を短縮する方もいます。

とはいえ、働く社会人なら予備試験ルートを選択する方が賢明です。

それに、司法試験の受験資格は取得してから5年間に限られているうえ、受験回数も3回までという点には注意する必要があります。

その点を踏まえて、それぞれのルートの特徴をみていきましょう。

法科大学院修了ルート

それに、司法試験の受験資格を得るための法科大学院での学習期間は、大学で専攻していた学部によって決められています。

法科大学院での学習期間
法学部卒業生:「既修者コース」2年間
※入学試験内容は、法律科目・小論文・面接
法学部以外の卒業生:「未修者コース」3年間
※入学試験内容は法律科目が含まれず、小論文・面接のみ

法科大学院入学試験の受験資格は、基本的には大学卒業もしくは大学卒業見込みであることが大前提です。

法学部卒業した方とそうでない方で入試内容と入学後のカリキュラムは異なるものの、学部を問わず法科大学院の試験に合格すれば入学できます。

しかし、そもそも法科大学院入試に合格することは容易ではなく、大学入試と同じように浪人して何度も受験するケースも珍しくありません。

それに、無事に法科大学院を卒業して司法試験の受験資格を得られたとしても、司法試験の受験回数である3回のうちに合格できなければ、受験資格を失ってしまいます。

つまり法科大学院修了ルートは、時間とお金をかけて司法試験受験資格を得られても、もう一度法科大学院入学からやり直しになるというリスクがあるため注意が必要です。

司法試験予備試験に合格

法科大学院へ進学する方よりもかなり少ないものの、近年では司法試験予備試験を受ける方も増加傾向にあります。

予備試験に合格すると、法科大学院を修了した方と同程度の知識があると認定され、司法試験の受験資格が手に入るため、法科大学院の入学試験以上に難易度が高いと言えるでしょう。

司法試験予備試験の特徴

  • 受験資格がなく誰でも受けられる
  • 合格率は例年3%前後で難易度が高い
  • 予備試験合格者の司法試験合格率は8割と高い
  • 過去5年間で司法試験予備試験の合格者が司法試験成績トップ
  • 予備試験は短答式、論文式、口述式の3段階で実施

法科大学院は、入試に合格した後カリキュラムを終了しなければならないため、どうしても時間とお金がかかってしまいますが、予備試験ルートは予備校等で集中的に学習し、予備試験を合格さえすれば司法試験の受験資格を取得できます。

もちろん、受験資格は5年間のうち3回までという条件は予備試験ルートでも法科大学院修了ルートでも変わりはありません。

しかし予備試験ルートは、難易度は高いものの、法科大学院に通う時間や金銭的に余裕がない方には弁護士を目指しやすい道だと言えるのではないでしょうか。

司法試験に合格

司法試験は、裁判官・検察官・弁護士になるための国家試験です。

つまり、司法試験に合格は、弁護士になるための第二関門となります。

試験日 毎年5月に実施。
合格ライン 論文式試験の各科目において、素点の25%点(公法系科目・刑事系科目は50点、民事系科目は75点、選択科目は25点)以上の成績を得た者のうち、短答式試験の得点と論文式試験の得点による総合評価の総合点780点以上の者。
合格率 令和5年度の受験者数3,082人、合格者1,403人、合格率45.52%。
試験内容 憲法民法刑法の3科目を内容とする短答式試験と、それらに民事訴訟法・刑事訴訟法・商法・行政法・選択科目を加えた8科目の論文式試験
試験受付期間 毎年2月。2週間程度。

参考:法務省:司法試験

弁護士資格を取得するためには、まず司法試験の受験資格を満たし、司法試験を受験して合格する必要があります。

そして、1年間の司法修習を修了して、その後に実施される考試にも合格しなければなりません。

また、実際に弁護士として業務を行うためには、日本弁護士会に資格を登録する必要があります。

そのために、入会金や登録料、年会費などを支払わなければなりません。

近年は司法制度改革によって司法試験合格者が増加しており、弁護士資格保有者は全国で4万人ほどです。

弁護士資格試験の難易度

弁護士になるには司法試験に合格する必要があることは解説しました。

司法試験は他の資格試験と比較しても難易度が圧倒的に高く、1年や半年で合格できる試験ではありません。

しかし、近年の合格率は30~40%程度であり、かつての旧司法試験に比べると10倍以上の合格率を推移する試験となったことから、「司法試験は簡単になった」という意見もあがるようになってきました。

そのため、2年~5年ほどの時間をかけてきちんと対策をすれば、十分合格を狙える難易度だと言えるでしょう。

弁護士になるまでの最大の難関は、やはり最高難易度を誇る司法試験の合格です。

また、合格後は1年間の研修である司法修習を受けて、最後には「二回試験」と呼ばれる試験に合格しなければ弁護士として登録できません。

ただし、この二回試験の合格率は90%以上であり、司法試験合格者であれば特別な問題がない限りはほとんど確実に合格できる試験でしょう。

二回試験の高い合格率には、ただでさえ最高峰の難易度を誇る司法試験に合格している人間を改めてふるい落とす必要がないという背景があります。

弁護士になる難易度は、司法試験の合格率とほぼ同じであるといえるため、まずは司法試験の合格を最大の目標として設定し、そこに向かって勉強することに集中しましょう。

弁護士の資格で就ける仕事は?

弁護士としての働き方には、法律事務所の他に一般企業への勤務や、行政庁への勤務があると少し記述しましたが、弁護士の勤務先として最も一般的なのは法律事務所です。

ただ、その事業規模はさまざまであり、所属弁護士の数が300~500人程に達する大手もあれば、100人未満の中堅どころ、弁護士1人で経営している小さな事務所もあります。

一例としては、5大法律事務所と呼ばれる以下の事務所が有名です。

  • 西村あさひ法律事務所
  • アンダーソン・毛利・友常法律事務所
  • TMI総合法律事務所
  • 森・濱田松本法律事務所
  • 長島・大野・常松法律事務所

法律事務所は、それぞれ事業内容が異なっており、大企業を顧客に企業法務を手掛けるところや、個人相手の離婚調停を得意とするところなど、一部の業務に特化しているケースが目立ちます。

近年では、司法試験合格者が増加していることもあり、法律事務所に就職できない方も少なくありません。

法律事務所以外では、一般企業の法務部などに就職して会社員として弁護士資格を活かす他に大学や法科大学院で教授や講師となって、教鞭をとる方などもいます。

弁護士資格取得後の進路

  • 法律事務所へ就職
  • 一般企業の法務部へ就職
  • 行政庁へ就職
  • 大学や法科大学院で講師や教授として教鞭をとる
  • 独立開業

弁護士と関連した職業

弁護士の仕事は、他の職業にも大きく影響を与える職業です。

そこで、弁護士に関連した職業をいくつかご紹介します。

  • 検察官
  • 裁判官
  • 司法書士

検察官

検察官は、検察庁に所属する国家公務員となります。

警察から送検されてきた被疑者を取り調べて、起訴するかどうかの判断を下す仕事です。

刑事裁判においては、検察官が原告であるため、被告人の代理人を務める弁護士とはよく法廷で争うことになります。

なお、一般的に検察官は検事と呼ばれることもありますが、検事という名称は全部で5つある検察官の階級名のうちのひとつです。

裁判官

裁判官は、弁護士・検察官と並ぶ三大法曹資格のひとつです。

裁判を取り仕切り、判決を下す仕事となります。

裁判官になる道は、司法試験に合格して司法修習を受けるまでは弁護士と同じです。

しかしその後、所定の審査を受けなければなりません。

審査をパスするには以下の要件が必要であり、職業に就くための難易度は弁護士を上回ります。

  • 司法試験および司法修習において極めて優秀な成績を収めること
  • 裁判官にふさわしい人格であると認められること

司法書士

司法書士の主な仕事として、クライアントから依頼を受けて、商業登記や不動産登記など法務局に申請する手続きを代行する仕事があげられます。

その他にも、弁護士と同じく人々からの法律相談に応じるというのも役割のひとつです。

また、所定の研修を修了した「認定司法書士」は、弁護士と同じように簡易訴訟において依頼者の代理人となり、法廷で争います。

司法書士と弁護士ともに法律系国家資格であることから業務内容や求められる知識は共通している部分が多いため、司法書士が法律事務所に勤めるケースもあります。

弁護士の年収:まとめ

弁護士の業務内容は年々複雑になりつつあり、業務内容も膨大です。

しかしその分やりがいがあり、近年年収が減少傾向にあるもののやはり専門性の高い職業である分、高年収が期待できます。

それに弁護士とは。数ある「先生」と呼ばれる職業の中でも、医者と並んで敬われる存在です。

それもそのはず、弁護士というのは日本最高峰の超難関司法試験に合格し、1年間の司法修習を終了してからまた二回試験に合格しなければならない、とても険しい道のりを乗り越えた選りすぐりのエリートといえます。

理系の頂点が医者なら、文系の頂点は弁護士と言っても過言ではないでしょう

ぜひ、司法試験に合格して弁護士になり、人々の役に立つ「先生」として活動していってください。

今回の内容が、弁護士へ進む道のりを切り開くきっかけになれば幸いです。

当サイトで掲載している、弁護士のおすすめ通信講座を紹介した記事もぜひ参考にしてくださいね。

司法試験・予備試験におすすめの通信講座6選と失敗しない選び方の記事はこちら

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監修者

国家資格キャリアコンサルタント

教育研修会社にて、7年間営業として、企業へのキャリア開発支援制度の導入、個人のキャリア開発に携わり、その後独立。

キャリア支援を通して、個々人の理想の働き方・生き方を考えるサポートをしている。

その一環として、マイナビニュース資格の監修を担当。

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