「奈良の大仏」で親しまれる奈良県・東大寺で、「クリーンビーコン」を用いた観光ガイドの実証実験が行われている。

オープンプラットフォーム化でインフラ設置コストの削減も

南大門前に設置されたクリーンビーコン

実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とソフトバンクグループのリアライズ・モバイル・コミュニケーションズ、日立製作所、サイバー創研の4者が2016年11月より2017年3月末まで行う。

クリーンビーコンは、屋内照明環境下(200ルクス程度)でも発電・稼働するもので、BLE(Bluetooth LowEnergy)でビーコンIDを送出する。このビーコンを用いて、メンテナンスフリー、かつ外部電源を用いることなく構内ナビゲーションを行うことを目指す。

各社の役割としては、NEDOはクリーンビーコンの普及を目指してプロジェクトの取りまとめを行うほか、リアライズ・モバイルがプラットフォーム・アプリ開発、日立製作所がビーコンの提供、サイバー創研が標準化のガイドライン策定を行う。

BLEを用いたビーコン、センシングのニーズは高まっており、Apple「iBeacon」やGoogle「Eddystone(Physical Web)」などのプラットフォームも存在する。ただ、これらはiOSやAndroidプラットフォームの関連技術であり、例えば国内における屋内測位の経路引き継ぎなどの問題は、国内で整合性を取らなければ実運用時にユーザーの混乱を招く恐れがある。

また、BLEはその低消費電力性能から半年~1年はボタン電池1つで動作するという特徴を持つが、それでも定期的な交換が必要だったり「将来的に設置するビーコンの数が増大した場合、例えば数千個のビーコン交換を行う必要が出ると、その作業だけで相当のコストがかかる」(リアライズ・モバイル担当者)。

雨ざらしの環境に設置されたクリーンビーコン(左)。ビーコン圏内に到着するとアプリに通知(中)、開くと動画が再生できる(右)

これらの課題解決の方策として行われたのが今回の実証実験だ。