ペンタックス「K-7」は、頑丈なマグネシウム合金ボディに多機能を詰め込んだミドルクラスのデジタル一眼レフだ。従来機「K20D」から防塵・防滴性を受け継ぎ、さらにマイナス10度の耐低温性を実現。ファインダーやシャッター、AF、連写、画質などのあらゆる基本性能も向上した。そのK-7をレビューしよう。ボディの推定市場価格は13万円前後。現在の市場価格はマイコミジャーナル価格情報をご覧いただきたい。

K-7に標準ズーム「DA18-55mm F3.5-5.6AL WR」を装着

視野率100%のガラスファインダー採用

デジタル一眼レフ機は、どこのメーカーの製品でも、クラスや価格帯にほぼ比例してボディが大きく重くなる。低価格のエントリー機は小型軽量だが、高性能になるほど、また中級や上級向けになるほど携帯性が損なわれてしまう。だがそもそも、ボディのサイズと重量は、写真のスキルとは関係ないはず。多機能を駆使したいが、と同時に携帯性も重視したい、そんな要求を満たす製品はこれまでほとんどなかった。

ペンタックスの新しい最上位機「K-7」は、中級以上のユーザーを満足させる多機能と高性能を持ちながら、約670gの軽量ボディを実現した。同社のエントリー機「K-m」に比較すると、およそ一回り大きく重いとはいえ、プリズム製のファインダーを搭載し、秒間5コマ以上の高速連写に対応したカメラでは軽量の部類だ。サイズ的にも最小クラスである。

ホールド性に優れた大きなグリップと、押しやすい位置にあるシャッターボタン。測光と同時に、上部の表示パネルにはバックライトが点灯。不要ならバックライトOFFも可能

従来機「K20D」から引き続き、雨滴や砂ぼこりの影響を受けない防塵・防滴構造のボディ。加えて-10度の耐寒動作保証も備える。悪条件でもカメラに気兼ねなく撮影可能だ

外装は、フルブラックのマグネシウム合金を採用する。ペンタプリズム部には、フィルム時代の一眼レフ機「LX」をほうふつさせるやや角張った形状を取り入れ、シャープで引き締まったイメージを与えている。最近流行の曲線的なデザインとは対照的で、いかにもカメラらしい精悍なスタイルといってもいい。

その一方で、グリップ部には深く滑らかなくぼみを設け、左右の指が当たる部分にはラバー素材を張りつけることで、手にぴったりとフィットする心地よさと、安定したホールド感を生んでいる。大げさに言えば、手にした瞬間に撮影意欲を高めてくれるデザインだ

視野率約100%のファインダーにも注目したい。視野率100%とは、ファインダーから見える範囲と実際に写る像との間にズレがないという意味。かつてはプロ機の証しと言われ、最近でもキヤノン「EOS-1D」シリーズやニコン「D3」シリーズ、「D300」、ソニー「α900」などの上級機のみが実現している。厳密な構図で撮るのに役立つ仕様だ。

最大効果4段分のボディ内手ぶれ補正機構「SR」を内蔵する。従来機では背面にあった手ぶれ補正スイッチは省かれ、補正ON/OFFの切り替えはメニューから行う

ペンタックスKAF2マウントで、電源は専用のリチウムイオン充電池。CIPA準拠のバッテリー寿命は、ストロボ50%発光で約740枚、ストロボ発光なしで約980枚

記録メディアはSD/SDHCカード。その下にはケーブルレリーズ端子があり、反対側面の端子カバー内には、HDMI、USB、AV出力、DC入力の各端子を装備する

ファインダーの広さについては、倍率0.92倍で、特に広いというほどではない。またファインダーの明るさはやや暗め。薄暗い室内撮影では、他機の明るいファインダーを見慣れた目には少々見えにくい印象も受けるが、ピントはむしろ見やすくし、ぼけの度合いも確認しやすい。

AFは、9点のクロスセンサーと2点のラインセンサーによる11点測距に対応する。AFアルゴリズムの改良とセンサーの刷新によって、合焦スピードは従来機よりも高速化した。キットレンズなど、超音波モーターによるAF駆動(SDM)に対応していないレンズでは、ジージーと鳴る駆動音が結構うるさいが、スピード面にストレスはなく、多少暗いシーンでもてきぱきとピントが合う。シャッターの動作音と振動が従来機よりも低減したことと相まって、撮影の操作感は軽快で気持ちがいい。

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