KDDIと東日本旅客鉄道(JR東日本)は5月20日、JR山手線の車両内を5Gミリ波エリアにする実証に成功したと発表した。車両全体の約97%が、1Gbps級の高速通信が可能なエリアになったという。

  • 車両の金属がミリ波の遮蔽物となる鉄道車両においても、車両内を5Gミリ波エリアにする実証にKDDIと東日本旅客鉄道(JR東日本)が成功した(実証は車両基地内に留め置かれている山手線車両で実施)

    車両の金属がミリ波の遮蔽物となる鉄道車両においても、車両内を5Gミリ波エリアにする実証にKDDIと東日本旅客鉄道(JR東日本)が成功した(実証は車両基地内に留め置かれている山手線車両で実施)

今回の実証は、JR東日本の東京総合車両センターに留置された山手線車両で実施した。屋外の基地局から送られたミリ波を、窓ガラスに取り付けた「ガラスアンテナ」で受信し、アンプで増幅。その後、誘電体導波路を通して車内へ伝送し、漏洩アンテナやロッドアンテナを使って再放射する仕組みを採用した。KDDIによると、屋外基地局のミリ波を車両内へ引き込み、再放射する取り組みは国内初としている。

  • 屋外基地局からのミリ波を、窓ガラスに取り付けたガラスアンテナで受信し、車両内に再放射する仕組み

    屋外基地局からのミリ波を、窓ガラスに取り付けたガラスアンテナで受信し、車両内に再放射する仕組み

  • AGCが開発したガラスアンテナは透明度も高く目立たない

    AGCが開発したガラスアンテナは透明度も高く目立たない

  • 再放射用のアンテナはこのように車両内に設置した

    再放射用のアンテナはこのように車両内に設置した

鉄道車両のような金属主体の空間は、28GHz帯を使うミリ波にとって電波が届きにくい場所となるが、今回の実証で通信速度1Gbpsを達成可能な通信エリアが、車両全体の約40%から約97%に改善。車両の金属による電波の減衰によって離散的だったエリアが、車両内のほぼ全域に拡大したことが確認できたという。

  • 通常の状態と比べ、再放射の仕組みを整えた今回の実証は車両内のミリ波エリアが大幅に拡大した

    通常の状態と比べ、再放射の仕組みを整えた今回の実証は車両内のミリ波エリアが大幅に拡大した

ミリ波は高速・大容量通信が実現できる一方、電波の直進性が強く遮蔽物に弱い特性を持つ。駅ホームや駅周辺はミリ波エリアの整備が進みつつあるが、車両の金属がミリ波の遮蔽物となる鉄道車両のように、既設のミリ波基地局や中継器の活用だけではエリア化が困難な場所が存在する。今回の実証で得られた知見に基づき、あらゆる屋内環境へミリ波の活用を広げていくとしている。