実は多くの消費者は袋ラーメンが5パック入りであることを「多い」と考えている、よってご要望にお応えして3パックにしてやった。
約2年前、そのような趣旨のことをいう袋ラーメンのCMが物議を醸した。
未だかつて袋ラーメンの5パック入りを多いと思ったことはない、「1回で全部食う」というテーマなら確かに5パックは多いが、それなら3パックも多いだろう。
CM内では3人に1人は5パック入りを多いと思っている、という根拠が挙げられていたが、3人のうち2人の意思が無視されているのも気になる。
もちろん3人に2人が5パックのままで良いと答えたとは限らない、意外に7パック派もいたかもしれないが、多分「そんなこと考えたこともなかった派」が最大勢力な気がする。
だがこのCMが物議を醸したのは、パック数の問題ではなく、どうせ3パックになったことにより1パックあたりの単価を上げた実質値上げにも関わらず、その点には触れず「狭小住宅にしか住めないお前らが『5パックだと部屋が狭い』というから3パックにしてやったぞ」と、ありもしない需要に応えた風の恩着せがましいCMでごまかそうとしたことが消費者の逆鱗に触れたのだ。
以上が物価高で気が立ちまくった人間の被害妄想であり、3パックのラ王も5パック時と単価の変更はなく、ついでに内容量が減ったというわけでもない、本当に5パックを3パックにしただけだったのだ。
そして「みんな5パックを多いと思っていた」もあながち間違いではなく、3パックにしてから売上は上がり競合とのシェアも逆転したそうだ。
みんなそこまで5食パックを多いと思っていたことに驚愕だが、私も405円の豚バラより、それより若干量が少なくても398円の豚バラを買いがちなので「量よりパッと見安い方を選ぶ」という真理はありそうだ。
ならばラ王のCMはどうすれば良かったのか、邪推で炎上するぐらいなら「単価と内容量は変わってません」と広瀬アリスが聞かれてもないことを突然言いだすべきだったというなら、やはり社会全体が殺気立ちすぎと言えるが、こちらとて「白菜1000円」を見て正気を保てというのも無理がある。
だが、確かに国民は物価高にイラついているし、ポテトチップスの袋を開けるたびに「俺は窒素を買ったのか?」という寂寥感に襲われる。
しかし、これが生産者やメーカーのせいとまでは思っていない、苦渋の決断で値上げや商品のシェイプアップをすると言われたら、仕方ないとしか言えない。
「時代に負けない」威勢のよさが逆に反感を買ったシャウエッセン広告
ここで、素直に値上げや実質値上げをゲロれば良かったのに、持って回った言い方をしたことにより逆に批判されたものもある。
それが「シャウエッセン」だ。
10月4日にシャウエッセンの公式Xが「明日。大切なお知らせがあります。隠さず、正直に話します。時代に負けてたまるか。」と投稿した。
非常に意味深である、だが時代の流れに関するお知らせならおそらく値上げだろう、消費者が一番嫌うのは値段を据え置きにしてこっそり内容量を減らす「ステルス値上げ」だ、値上げや量を減らすなら先に宣言してしまった方がいい。
しかし投稿は「時代に負けてたまるか。」という力強い言葉で締めくくられており、これは「反骨」の可能性もある。
実際、多くの企業が値上げに踏み切る中、あえて値下げするところもある。
ローソンなどは、手巻きおにぎり類を10%値下げしているし、さらに期間限定ではあるが「あえての増量」を仕掛けてくることもある。
先日はローソン51周年記念だからといって51%増量という短絡的な増やし方をしてくれていたし、他のコンビニも「いつも減らされている分この期間で取り返してくれ」と、たまに狂った増量キャンペーンを行っている。
わざわざ前日予告を出してくるぐらいだから、シャウの字もあえての増量でバナナ大のシャウエッセンを出してくる可能性がある。
だが、翌日発表されたのは「内容量の削減」であり、今まで117g×2パックだったものが1パック107gになるという清々しいまでの実質値上げであった。 ただ、シャウエッセン側は商品をリニューアルし1本あたりの重量を増やし、肉感、食べ応えを強化していくとアピールしている。
しかし総重量が減っているのに1本あたりの重量を増やすということは単純に「本数が減る」ということであり、6本が5本の奇数になったら分けづらいという新たな批判に繋がってしまっていた。
この発表に対して「負けとるやないか」というツッコミが相次いだが、消費者は決して値上げや内容減少自体に怒っているわけではない。
物価や燃料の高騰が厳しくそうせざるを得なかったと素直に発表し、その分肉感で勝負すると、そこはかとなくエロいことを言えば消費者は納得し、これも政治や戦争が悪いと怒りをもっとデカいところに向けたはずである。
それを、むしろ良くなったかのような無理のある言い方をしてしまったため、不都合な部分をごまかしているように見えてしまったのかもしれない。
やはり後退するなら清々しく、切腹するなら貫通させて介錯の脛に刺さるレベルで潔くした方がいい、ということだ。
ちなみに私はこの騒動に対し「お前ら結構シャウエッセン買ってるんだな」という、一段低みの見物をしていた。
元々シャウエッセンはウインナー類の中では高級な方なので、私は今まで自力購入したことがない。
もし、シャウエッセンを買っている人間自体が少なかったらここまで騒ぎにはなっていなかっただろう。
そういう意味では日本の家庭にはまだ余裕があり、シャウエッセンニュースがスルーされるようになった時、本当に日本は貧しくなったと言えるのかもしれない。
