ニコニコ動画が復活したそうだ。
KADOKAWAに対する大規模サイバー攻撃によりサービス停止、そこから往年の人気動画を再放送する仮サイトを爆速で立ち上げるも、そこから復旧のめどが立たず約二か月が過ぎていた。
このまま、昭和生まれダイヤルアップ育ち、銀魂ツッコミができる奴は大体友達な我々中高年の走馬灯として生きていくのか、そもそもニコニコを復活させるべきなのかという意見もあったが、めでたく復活となったようである。
さらに、配信者へのサービス停止期間中の補償が手厚いと話題になっている。
サービス停止期間中、本来なら受け取れたであろうクリエイター奨励金を補填する、とのことである。
奨励金とは、閲覧数やコメント数、閲覧者からのプレゼントに応じた収益、有料サポーターから得られる月額課金などのことだ。
「受け取れたであろう奨励金」なので、本当に停止期間中その奨励金が発生したかどうかはわからない。
私も自著の発売がコロナ全盛期にかぶった時、「本の売れ行きが悪いのはコロナで書店が休業しているからである」と強弁をふるって打ち切りを回避しようとした。
もちろんコロナがなくても売れてなかった可能性は十分にある、だがそれは誰にもわからないことだ。
だがその時出版社側が「コロナがなければ売れていたであろう冊数」を考慮して連載存続を決定してくれたかというと、多分そんなところはほとんどなく「運も実力の内」的なことを言われて終わっていた気がする。
それを考えると、発生したとは言い切れない停止期間の奨励金まで補償するというのはかなり手厚く、クリエイターに優しいニコニコをアピールし、逆にこれを機にニコニコを再度盛り上げて行こうという気概を感じる。
そもそも、ニコニコは本当にクリエイターに優しかったのか
だが、そもそも何故ニコニコは衰退してしまったのか。
そこで早速「ニコニコ 衰退 何故」という、いかにも走馬灯がニコニコしてそうな奴特有の検索をしてみたところ、第一に「高齢化」という厳しい答えが返ってきた。
先日YouTubeの映画レビュー動画でも「最近のガキはもうジブリとか知らないのかな?」という驚愕の言葉を聞いたところだ、ジブリを知らないなら当然ニコニコも知らないだろう。
ただ高齢化というのは、ニコニコユーザーのほとんどが90歳以上で、死亡によりユーザー数が減っているという意味ではない。確かにニコニコユーザーに若者はいないだろうが、まだ死ぬ年でもない。
「新規ユーザーが入らず、既存ユーザーも徐々に数が減ってきている」というコンテンツ的高齢化という意味だが、これは高齢者死亡と出生率低下により、日本の人口がうなぎ下がりなのと全く同じ現象である。
「日本の縮図」という資料的価値からしても、やはりニコニコは残すべきな気がしてきた。
では、なぜ新規ユーザーが入らず、既存ユーザーまで減っていく状態になったかというと、YouTubeなど他の動画サイトの台頭が影響しているという。
新規は最初からYouTubeなどを選び、既存ユーザーも他の動画サイトに移ってしまったということだが、流出の原因は「人気配信者のYouTube移行」と言われている。
確かに「ニコニコ箱推し」のように、プラットホームそのものが好きで動画サイトを選んでいる人もいるかもしれないが、「推しがそこで配信しているから」という理由で選んでいる人も多いはずである。
そういうユーザーは、推しが配信場所を変えれば一緒に移ってしまう。
確かに、かつてニコニコで人気を博したゲーム実況などの配信者は、現在ほとんどがYouTubeを主戦場にしているような気がする。
では、何故配信者がYouTubeに移ったかというと、おそらくこっちの方が使いやすい、そして「ウマい」と感じたからであろう。
つまり、クリエイターへの補償が手厚いと話題になったニコニコだが、そもそもの衰退原因は、クリエイターに塩だったからではないか、ということだ。
配信者としては、できるだけ多くの人間に見てもらえ、そして収益率が高いプラットフォームを選びたいところである。
UIの使いづらさ、分配金への不満から配信者がYouTubeなどに移り、一緒に視聴者も流れたのではないかということだ。
確かに現代人は2タップ以上でさっきまであったやる気を全て失いがちなところがある。私もニコニコ動画を見ようとした時「まずはログインしろ」という画面が出た時点で諦めたことが一度や二度ではない。
だがこれは使いやすさや利益の問題であり、コメントが画面に弾幕のように表示されるという、ニコニコ独自のシステムと文化はやはり唯一無二であり、同じ内容でもニコニコで見た方が遥かに面白い動画が数多く存在するのでやはり復活して良かったと思う。
あと今回、社内で一番大変だったであろうエンジニアにも何か補填してほしい。
クリエイターあっての動画投稿サイトだが、それ以前にエンジニアがいなくてはサイトは成り立たないのである。