iPhone 18シリーズが発売された9月、同シリーズがAVSに対応していることについて書いた(記事はこちら)。AVSはAdjustable Voltage Supplyの頭文字をとったもので、世界標準の充電規格USB PD(Power Delivery)において、出力電圧を一定範囲内で調整することができるようにするオプションだ。だが、最新のUSB PD 3.2規格において、27Wを超える充電器ではAVS対応が必須となっている。これまでのオプションだったPPSほど細かい電圧制御を行わないが、その代わり規格としてより高出力領域での運用が考慮されている。

サードパーティ各社が続々と対応というほどでもないのだが、少しずつ対応製品も出てきている。アクセサリ大手のベルキンからも「UltraCharge 75W GaN 充電器 ZSP」(WCA017)が発売された。同社ご自慢のZero-Standby Power(ZSP)対応の製品で、コンセントに挿しっぱなしにしてあるときの待機電力が0.005W未満に抑えられている。現行製品の中で本命中の本命というべき製品だといえる。(製品情報※英語ページと、日本語のプレスリリース)

  • ベルキンの「UltraCharge 75W GaN 充電器 ZSP」(WCA017)

    ベルキンの「UltraCharge 75W GaN 充電器 ZSP」(WCA017)

  • キューブ型で軽くてコンパクト。持ち運びはまったく苦にならない。それでいてハイスペックなのだ

75Wという大電力に対応しながら、キューブ型のコンパクトなボディは実測で85gしかない。ECサイトやニュース系の情報では110gとされているが、これはパッケージ込みの重量だということが製品を入手してみてわかった。

USB PD 3.2対応で、従来のPPSとAVSの両対応、さらに地球に優しいZSPで、パソコンからスマホ、イヤホン、ヘッドフォンまでオールマイティに使える75Wというのは心強い。カバンの中にひとつ忍ばせておけば大きな負担なく大きな安心が手に入る。価格的にも3,170円とリーズナブルだ。現行の充電器において、間違いなくベストバイと呼べる存在だ。

コンパクトなアダプタは使用時に熱くなりすぎる心配があるが、この製品はデュアルフローの放熱設計と、伝導性の高いヒートシンクが功を奏して、それほど熱くならないのがいい。

モバイル機器をいろいろと持ち歩いていると、出先での利用でバッテリ切れを起こす心配が絶えない。そんな場合に備えてのモバイルバッテリなのだが、今は、モバイルバッテリを使った機器の充電は、飛行機内はもちろん、電車での移動中なども禁止の方向にあるので、ACが使える環境にあるときに素早く、そして1%でもたくさん充電しておき、やっかいなバッテリ切れを回避するというのが賢いモバイラーというものだ。

災害、天災など、万が一に備えてモバイルバッテリは使っても使わなくても移動時に携行するのは安心の材料のひとつとして重要なポジションにあるが、日常の実使用においては、ACアダプタを使う方向に世の中は動いている。そんなトレンドに応じて、充電に使う機器には、コンパクトであっても急速充電や大電力対応が求められるようになってきているというわけだ。

さらには、充電に使うケーブルにも気を配りたい。

まず、急速充電等に使えるケーブルは両端がUSB-Cでなければならない。さらに、特に明示されていない限り、伝送できる電力は60W以下だ。この製品のようにアダプタが75Wに対応していても60Wケーブルを使うと、規格として60W超の電力は流れない仕組みになっている。もし、少しでも大きな電力が必要な場合には、100W以上に対応するケーブルを使わなければならない。ただ、多くの電子機器は60Wで充電ができれば、よほどの処理をさせない限り、アイドル時に消費量を上回る補充ができるなどで、利用中のバッテリ消費は最小限に抑えられるはずだ。

当たり前の話だが大電力対応のケーブルは太くて取り回しにくい。60W対応のケーブルであれば、そのバリエーションは豊富で、長いもの、短いもの、やわらかいもの、固くて丈夫なもの、カラフルなものなどよりどりみどりだ。自分のモバイルライフに最適なケーブルを探し出すのもカンタンだ。もっともUSBの規格は難解だ。60Wケーブルの多くは、データ通信が低速だったり、映像伝送に対応していないといったワナもある。充電だけと割り切るなら別だが、接続するデバイスの機能や用途によってはそのあたりのスペックにも注目し、最適のケーブルを選びたいものだ。