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LeapMindとの関わり

--ただ、LeapMind以外にも多くのベンチャーがあると思うのですが、なぜLeapMindと一緒にやられることを選ばれたのでしょう?

それについては、コンピューティングの流れがあると思ってます。大きく言えば中央集権か、地方分散かの話なんです。

メインフレームの時代は中央集権型だったのが、クライアント/サーバとかオープンシステムとか言って地方分散になり、そこでPCが急速に伸びてきた。まぁ恐竜の様に頑張ったわけです。ところがこれがクラウドになった瞬間に、PCは売れなくなったんです。Intelはサーバ向けチップが沢山売れるため、余り困らなかった。そんな訳でクラウドで再び中央集権型に戻ってきました。

ところがIoTの進展により周辺側の端末台数が増えだすと、中央だけでやっているだけではレイテンシの問題とかもあって、系全体のパフォーマンスに限界が来る。そのため、何かの形でエッジ側に(処理を)持って来ないといけない。そういう、中央か地方かという触れ幅の大きな産業界の中で言うと、今まではクラウド側に寄ってきたところから、エッジ側に戻ってきた。それは工場とか車とか、リアルタイム性が要求されるアプリケーションが増えてきた事も関係してます。もしここにAIが使えるとしたら、エッジ側で処理するようにしなければいけない。

こうした大きな振れ幅の中で言えば、確かにクラウドをベースにしてAIをやられている企業も多い訳ですが、ただそれだけだと完結できない問題があり、確実にエッジ側で処理が出来る、ソリューションが必要だな、という話になってきた。

そこで、たまたまなんですが、こういった話を聞いてたらなんかLeapMindのソリューションはすごく面白そうだな、という話になったのと、LeapMindの松田さん(松田総一 CEO)と話をしている中で、LeapMindの考えているビジネスモデルそのものが、特にそれをどうやってビジネスとして展開していこうかといったところが、非常に面白かったわけです。「これ、下手をするとAI業界のArmみたいになっちゃうかもしれないな」みたいな印象を受けたわけです。グローバルに展開するときに、自分たちで固まるよりも、それこそ先程のプラットフォームのように、横展開するための可能性を物凄く持っているように見えたんですね。そこで「ならば僕がサポートをさせて貰う事で、何か有益なお手伝いが出来たら面白いな」、ということで、参加することになりましたね。

--すでにファンドなどから多くの資金を集めてスタートしているAIベンチャーとかも別に存在しているわけですが、今の話を伺ってると、何かそういった企業が「AIのMIPS」、LeapMindが「AIのArm」みたいなイメージになりますね

もしかしたら、将来はそういった感じになるかもしれないですね(笑)。今は大きい振れ幅の中で動いているので、今後のアプリケーションで使われるシーンが拡大していくにつれて、今までは「こういうソリューションでやってきた」というところから、「テクノロジーを融合させながらシステムを最適化する」という話が出てくるのかな、と感じています。

前にもお話しましたが、これからは「どういう技術でどのアプリケーションの課題を解決していくか」という、技術の目利きが出来る人たちが、商売として稼ぎを出せるようになるのではないか、と思います。昔はそういうのはシステムコンサルタントとか言う商売だったんですが、今はそれをなんと言う名前で呼ぶのが良いのか判りません。しかし、そういう時代になるだろうな、と。

昔のIntelにはアーキテクチャ・マネージャー(Architecture Manager)という職種があって、彼らはエンドユーザーにダイレクトに接触して、間接営業を仕掛ける訳です。自分たちが直接売るものはないんですが、「今度出てくるロードマップだとこういうこと出来ますよ」みたいな話をして、お客さん側の需要を作り、「なんかIntelが言ってるんだけど、今度こういうコンピュータ出てくるんだよね」といってメーカーさんに働きかけるということをやっていました。

--私の記憶だと、確かIntel 860のころにその方たちが日本でもすごく頑張って営業されていたような

はい。そのアーキテクチャ・マネージャー(Architecture Manager)って名前はあまりカッコよくなかったですよね。なんか建築現場の親父みたいな印象でしたね。AppleとかMicrosoftは、こういう職種の人たちをエヴァンジェリストと呼んでいました。まぁ、今やエヴァンジェリストも1世代前な感じですけど、多分AIでIoTをやる時には、何かそういうエヴァンジェリスト的な、課題やアプリケーションに対して「こういう技術で、こういうソリューションを持ってくれば解決しますよ」と提案できる人たちが必要になってくる。

今はまだAIが出たばかりなので、AIでやれる範囲とやれない範囲が判っているようで判ってない人が結構多い。「これはやれます」「これは統計処理でやってください」「これは普通にやってください」みたいな切り分けが出来る人があまりマーケットに居ないのかな、という認識です。その中で、そういう人たちが出てきたときに、「ここはLeapMindのソリューションが使えるけど、ここはLeapMindじゃなくてこういう手法でやってほしい。全体としてこういう系を作ってあげると、目的が達成できますよ」みたいなことまで企画が出来る人たちが必要になるんじゃないかと思ってます。

(次回は7月6日に掲載します)