Analog Devicesの日本法人であるアナログ・デバイセズは2019年1月16日から18日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている、自動運転、クルマの電子化・電動化、コネクティッド・カー、軽量化など、自動車業界における先端テーマの最新技術が一堂に介する展示会「オートモーティブ ワールド 2019」において、同社が提唱している車載オーディオバス(A2B)技術ならびに車載カメラ・バス(C2B)を活用したソリューションなどのデモを行っている。
中でもA2Bは、NTTドコモなどと協力して開発したデモカーを会場内部に持ち込み、車内での実際の音響体験をすることも可能としている。ただし、こちらの体験デモについては、予約制で、3日間の会期中のスケジュールはほぼ埋まってしまっているとのことであった。
また、A2Bについては、デモカー以外にも、パートナー各社を含めたエコシステムとしてのデモも実施。こちらは、メンター・グラフィックスによるアナライザや、ホシデンやハーマンのマイク、Total Phaseのバスモニターなどをまとめたものとなっている。すでに国内メーカーによるA2Bに対する評価なども進められているとのことである。
一方のC2Bは、UTPケーブルとシールドされていないコネクタでHDビデオを実現できるカメラ・リンク技術。デモは、カメラで撮影された映像をHDMIからNTSCに変換して480iで表示したものと、HDMIからC2Bのトランシーバ、そしてレシーバへと伝送し、再びHDMI経由にて720pで表示したものとを見比べるというものとなっており、低遅延かつ高画質な映像を見ることができる。
このほか、同社ブースでは開発中の360°高精度デジタル回転角センサのデモも行われている。これは、AMR素子を2ch、TMR素子を2ch組み合わせた磁気センサで、プライマリをAMR,セカンダリをTMRとし、さらに冗長性を持たせることで、より高精度かつ高信頼な角度検出を可能とする。また、いずれもADCなども搭載しているが、AMR側ではΔΣ、TMR側ではSARとその方式も変えるなど、まったく異なるアーキテクチャを採用することで、共通要因の故障を最小限にする工夫も盛り込まれているという。
ちなみにデバイス自体は現在、ES品の段階には到達しているものの、ASIL-Dの認証取得なども含め、製品として提供できるようになるにはしばらく時間がかかる見込みだという。
加えて、同社ブースでは同社のアソシエイト・パートナーであるサクラテックが、24GHzレーダーを活用した搭乗者向けヘルスモニタリングのデモも行っている。このデモ自体に用いられているセンサモジュールは、同社とADIが2018年6月に発表した「miRadar 8」なのであるが、現在、次世代品となる「miRadar 32<<3D>>」の開発が進められているという。次世代品は、これまでの2次元での奥行きに加え、空間を立体的に捉え、その奥行きをも検出可能としたもので、RFの構成も従来の2送信×4受信から、2送信×16受信へと変更されている。現在、技術基準適合証明の取得が進められている段階で、2019年第1四半期中にはリリースできる予定だとするほか、さらにその先の16送信×16受信に対応する「miRadar 256」ならびに32送信×32受信に対応する「miRadar 1024」の開発も進められており、こちらは2019年の下期リリースを目指しているとしていた。