カードゲームのイベントを何年も取材してきたが、こんな光景は初めてだった。
子どもたちが、当たり前のようにディールシャッフルや横入れシャッフルをこなし、対戦が終われば、相手と試合を振り返り、感想戦を楽しんでいる。
「ポケモンカードゲーム」の30周年を記念したイベント「ポケモンカードゲーム 30th CELEBRATION EVENT」が、2026年10月25日に千葉・幕張メッセで開催されました。会場には対戦エリアやステージ、さまざまな体験コーナーが設けられ、多くのファンが30周年を祝った。
さまざまな企画が用意された会場で、今回、筆者が注目したのは「こども」たちの姿。
ポケカが30年という時間を積み重ねたことで、プレイヤーの世代交代が進んでいる。かつて子どもとしてカードに夢中になった世代が親となり、今度は自分の子どもをプレイヤーとして育てる。そんな新しい時代が訪れているのかもしれない。
ディールシャッフルも横入れシャッフルも、当たり前にこなす子どもたち
まず印象に残ったのは、子どもたちのカードの扱い方だった。
例えば、デッキを複数の束に分けて並べ替えるディールシャッフル(正確にはシャッフルではなくカードを数える行為とも言われている)や、カードの束を横から差し込む横入れシャッフル(ファローシャッフル)、どれもある程度の練度がないとスムーズには行えないシャッフルである。
多くの子どもたちは、こうした動作を自然にこなしていた。
もちろん、カードゲームを遊ぶうえでシャッフルは基本的な動作のひとつだ。しかし、長年さまざまなカードゲームの現場を見てきた筆者にとって、それが子どもたちの間でごく自然に行われている光景は新鮮だった。
さらに目を引いたのが、対戦終了後の振る舞いである。
カードゲームというのは、勝敗が決まれば、それで終わりではなく、試合後に対戦相手と対戦内容を振り返る、いわゆる「感想戦」をすることがある。自分のプレイを振り返り、相手の考えを聞き、次の対戦につなげる。
子どもたちは当然のように「感想戦」を行っている。そこには、ただカードを集めたり、好きなポケモンで遊んだりするだけではない、競技としてのカードゲームを楽しむ姿があった。
こうした振る舞いが自然に見られることには、ポケカを取り巻く環境の変化を感じずにはいられなかった。
親が監督・マネージャー、子どもが選手に
なぜ、子どもたちはここまでカードゲームに慣れ親しんでいるのだろうか。
その背景として考えられるのが、親世代の存在だ。
ポケカは1996年に誕生した。30周年を迎えた現在、当時カードに触れていた子どもたちのなかには、親となり、自分の子どもと一緒にポケカを楽しんでいる人もいるだろう。
親自身がプレイヤーであれば、カードの扱い方やルールだけでなく、デッキ構築の考え方、対戦中の判断、試合後の振り返りなど、さまざまな知識や経験を家庭のなかで伝えられる。
子どもにとっては、身近に先生がいるようなものだ。
もちろん、親が教えることだけが子どもの上達につながるわけではない。友人との対戦や大会への参加、動画などを通じた学習もあるだろう。それでも、家庭に経験豊富なプレイヤーがいることは、カードゲームを深く楽しむうえで大きな意味を持つはずだ。
この関係をスポーツに例えるなら、親が監督やマネージャーで、子どもが選手という構図に近い。
親は練習相手になり、カード選びを一緒に考え、大会への参加を支える。そして、実際に対戦の場に立つのは子ども自身だ。
かつて自分が夢中になった遊びを、今度は子どもが楽しむ。その過程で、親が積み重ねてきた経験が次の世代へと受け継がれていく。
会場で見た子どもたちの姿からは、そんな光景が想像できた。
30年の歴史が、次の世代のプレイヤーを育てる
ポケカの30周年イベントは、単にひとつのカードゲームが長く続いたことを祝う節目ではなかった。
30年という時間があれば、最初に遊んでいた子どもが大人になり、家庭を持ち、その子どもが新たなプレイヤーとして加わることもある。カードそのものの歴史だけでなく、それを楽しむ人々の人生にも、世代をまたぐつながりが生まれる。
今回のイベントでは、対戦大会だけでなく、ライブステージや体験型の企画など、さまざまな楽しみ方が用意されていた。
ポケカに本気で取り組む人も、思い出を振り返りに来た人も、これからカードに触れる人も、それぞれの形で30周年を楽しめる場だった。
ポケカの30周年は、過去を振り返る節目であると同時に、次の30年へ向けた新たなスタートでもある。幕張メッセの対戦卓で見た子どもたちの姿は、その未来を予感させるものだった。





















