• 「ボドゲ化する日本」と「マダミス×生成AI」の問題、過去最大規模のボドゲフェス【ゲームマーケット2026秋】

私たちの日常は「ボードゲーム」のようなものです。

仕事における「作業」や「プロセス」は生成AIに代替され、いまや人間がやることは、起点となる「人を集める」、便宜的な「コミュニケーションする」、終点となる「決断する」の部分のみ。

テクノロジーの発展により、私たちの世界はボドゲ化しています。

また(今に始まったことではないですが)職場・学校だけでなく、家庭、SNSにおいても、全員が何かしらの「役割」が与えられています。

これすなわち、私たちは、朝起きたときから、マーダーミステリーや人狼の世界にいるようなものでしょう。

さて、仰々しい導入で始まりましたが、ここからはゆるーいレポです。

今回も国内最大規模のアナログゲーム、ボードゲームの総合イベント「ゲームマーケット2026秋」(2026年10月17日~18日)に遊びにきました。

過去最大規模(最多出展者数1,400ブース超)となった当イベントでは、多種多様なボドゲとの出会いが待っていました。

数々の個性的なボドゲと出会うなかで、(前述した)生成AIとSNSの時代に「斬新なアイデア」で応答した、1つのボドゲを発見したので、会場レポとともに紹介します。

今回も株式会社ポケモンが大規模ブース「ポケモンボドゲくらぶ」を出展していました。

「ポケモンごいた」「プラコロ」などのお馴染みのボドゲが体験できるなか、今回は発表されたばかりの新作ボドゲの姿も。

人狼風の推理・バトルゲーム「お前、もしかしてロケット団?」(2026年11月12日発売予定)です。

先行販売がされていたのですが、両日ともに午前中に完売してしまったとのこと。

ゲームに使用するカードたち。ポケモンごとに固有の特性やワザが設定されています。

比較的シンプルなゲームが並ぶ「ポケモンボドゲくらぶ」のボドゲですが、今回の新作はわりとしっかりとした骨太なゲーム性にみえました。

今回もピカチュウが遊びに来てくれた。かわいい。

グリーティングの待機列は、各ボドゲの展示を楽しめる親切な導線になっていました。

人気FPSゲーム『Apex Legends』を原作とした卓上ミニチュアバトルゲーム『APEX Legends: ボードゲーム 日本語版』がついに日本上陸(※台湾発のボドゲ出版社Dexker Gamesによる、日本語版へのローカライズ)。

「世界で最も優れたビデオゲームをテーブルトップで再現する」というテーブルトップゲームスタジオ、Glass Cannon Unpluggedが、2年以上の歳月をかけて開発した「ヒーローシューティングゲームのゲームテーブルでの再現」です。

武器だけでなく、アタッチメントやヘルメットも再現されていて凄い。

主催のアークライトゲームズは、大規模な物販&体験ブースを出展。

『マジカル・アスリート』などの先行販売を5点、『シャウティング・ポーカー』などの新作3点を引っ提げ、賑やかなブースを展開していました。

新作の中でも『シャウティング・ポーカー』は「声が大きい人が得をする」という斬新な切り口。

昨今のポーカーブームに乗っかるだけでなく、静かにポーカーフェイスで楽しむポーカーというゲーム性に逆転の発想をぶつけて、パーティゲームに昇華させているのが面白いところです。

今回のアークライトゲームズのブースは、開放感のあるボドゲカフェのような世界観で、とても居心地が良かったです。

特に、先行販売の『マジカル・アスリート』のテーブルからは、常に一般参加者たちの笑顔で溢れていました。(※時間があれば混ざりたかった)

最後に、筆者が衝撃をうけたボドゲを紹介します。

「そろそろ撤収するか」と帰り支度をしていたところ、魅力的なキャッチコピーにつられて、あるブースへ。

育てるボドゲ……?

てっきり、ゲーム内の自キャラを育てるボドゲなのかと思っていたのですが、どうやらボドゲそのものが変わっていくという、ありそうでなかったアイデアです。

その名は、『ソレソコ』。

4象限マトリクスのようなカードに「自分はここに貼る!」とシールを貼って、みんなでコミュニケーションをしながら「誰がどこに貼ったのか」を当てるゲームです。

面白いのは、過去にプレイした人たちのシールも蓄積されていくので、貼る方も当てる方も、(同じカードでも)遊ぶたびにゲーム体験が変わっていくところ。

デザインも可愛らしく、昨今のモロ生成AIな感じの、厚塗りのゴテゴテしたものとは異なる、水墨画テイストのデザインに癒されます。(※落とした水滴の如く、噂話が広がっていくのをイメージしているような気がする)

制作サークル「はねのけぶとん」のデザイナーさんが作ったとのこと。

※これは展示用のちょっと大きいバージョン(実物はこれをコンパクトにしたカードタイプ)

筆者が刺さったのは、まずゲーム性がシンプルであること(ルール説明がほぼ不要)なのと、シンプルさと連動した可愛らしい世界観とデザイン。

「価値観共有ゲーム」とのことで、コミュニケーションを促す、トーク系のボドゲの1つではありますが、その枠に収まらない、革新的なゲームです。

一般的なボドゲは(日常やSNSなどの)外部と切断して、クローズドな世界に入ることで、没入感や世界観を作りますが、このボドゲはその逆です。

既に貼られているシールは、いわば世間の噂やSNSでの評判や「外部」そのもの。

これまで切り離してきた「外部」をあえて取り入れる発想、また、これまでのボドゲがデザイン空間として取り入れられなかった「外部」を、シンプルな発想で巻き込んだゲームデザインに感服しました。

「過去の軌跡が1枚のアートになる」というフレーバーも素敵で、いまやネガティブな側面が強くなってきた世間の噂やSNSでの評判に対して、「まあ批判や文句も含めて、一度きりの人生(アート)の1つの要素か」と新たな人生観を与えてくれるボドゲでした。

筆者は詳しくないのですが、マダミス界隈では「生成AIの活用」が物議を呼んでいるようです。

また前回のゲムマでは、生成AI画像をキービジュアルに用いたマダミス作品が目立ったようで「世界の構築が重要なマダミスにおいて、キャラへの愛着が薄れるのはいかがなものか。没入感を阻害するのでは。」とのアレルギー反応もありました。

その点、今回のゲムマでは、生成AIをキービジュアルに用いたマダミス作品は控えめだったように思えます。

来るたびに雰囲気が変わり、時代を反映しているゲームマーケット。次の開催も楽しみです。