こんにちは、eスポーツライターの小川です。
皆さんは「ポケモン対戦」と聞いて何を思い浮かべますか?「通信ケーブルを繋いで、友達と対戦!」が頭に浮かんだら、筆者と同世代でしょう。
あれから30年、そんなポケモン対戦が、今では正式な競技になっています。
これが試合中の様子です。
パシフィコ横浜のホール全体を埋めつくすほどの観客が、ポケモンバトルを観戦しています。メガユキメノコが「あまごい」をするだけで、対戦者は天を仰ぎ、会場は熱狂に包まれます。
(何を言ってるか分からなくてもこの記事は読めますので、安心してください)
ここまでポケモン対戦が盛り上がっているのは、いまに始まった話ではありません。
初の公式大会である「ポケモンワールドチャンピオンシップス2009」の前後から、少しずつ醸成されてきたゲームカルチャーです。
また、今回の盛り上がりについては特筆すべき点があります。
2026年4月8日に株式会社ポケモンからリリースされたばかりの新作ゲーム『Pokémon Champions(ポケモンチャンピオンズ)』の存在です。
ポケモンバトルをすべての人へ。
そんなテーマを引っ提げて、ついに開発された、バトル特化のポケモンゲームです。
これまでのポケモンバトルは、ストーリー、図鑑集め、育成を含む、通常のゲームに内包されていた要素なので、ポケモンの対戦だけを楽しみたいプレイヤーにとっては、待望の1本といえます。
ちなみに筆者も『ポケモンチャンピオンズ』を待ち望んでいた、ファンの1人です。
仕事柄いろんなゲームを浅く広くプレイしなければならないのですが、『ポケモンチャンピオンズ』については、ついつい両部門(シングル・ダブル)でマスターランクになるまで遊んでしまいました。
6月17日にスマートフォン(iOS・Android)向けにもリリースされるので楽しみです。
この『ポケモンチャンピオンズ』の登場によって、ポケモン対戦がより身近なものになり、参加と観戦がより活発になっているといえるでしょう。
ということでレポートに戻りましょう。
「ポケモンジャパンチャンピオンシップス2026」のゲーム部門は年齢別に「ジュニアカテゴリ」「シニアカテゴリ」「マスターカテゴリ」の3部門があります。
なので、名誉ある『ポケモンチャンピオンズ』の初代王者は3名誕生しました。
マスターカテゴリで優勝したオオニシヒロシ選手は、これまでも何度も「ポケモンジャパンチャンピオンシップス」本戦への出場経験のある強豪プレイヤーです。
今回は、悲願ともいえる決勝の舞台、そして優勝。
昨年も世界大会の権利を獲得するほどの実力者です。YouTubeでの配信活動も積極的に行っている、まさに『ポケモンチャンピオンズ』の初代王者にふさわしいプレイヤーといえます。
【オオニシ選手の優勝コメント】
ここまで来れると思っていなくて、優勝できて本当に嬉しいです。
ニョロトノに「アンコール」をして「まもる」成功の30%を引き当てたとき、今までやってきてよかったと思いました。
僕よりも強いひと、僕より頑張っているひと、いろんな人たちに支えられてきました。
一緒に頑張ったけど、この舞台には立てなかった友達もいて、そういう人たちの想いも受け取って「優勝しかない」と思っていたので、とても良かったです。
みんなの応援とアドバイスのおかげでここに立てているので…本当にありがとう。
会場ではゲーム部門のほか、ポケモンユナイト部門、ポケモンGO部門、カードゲーム部門の計4つの部門が実施されました。
好成績をおさめたプレイヤーたちには、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコにて実施される世界大会『ポケモンワールドチャンピオンシップス2026』(2026年8月28日~30日)の出場権が与えられます。
会場は対戦ばかりではなく、フォトスポットや体験系のブースもあって、ふらりと遊びに来れるイベントになっていました。
新作ボドゲの「ポケモン シュシュシュ!」などが体験できるポケモンボドゲくらぶのブースもありました。家族連れの行列ができていました。
ポケモンGOで知り合って、ご結婚に至ったというご家族の姿もありました。
ポケモン好きの親御さんと一緒にお子さんが、ポケモンイベントを楽しんでいる姿を見ていると、30周年という時の流れを実感します。
最後に決勝戦の内容に触れておきましょう。
ところで、皆さんはポケモン対戦にAIが用いられているのをご存知でしたか?
実は、2024年からポケモン対戦の観戦環境では、ポケモンバトルに特化したAIである「Pokémon Battle Scope(ポケモンバトルスコープ)」(以下、PBS)が導入されています。
開発したのは、AIを搭載した日本将棋連盟公認の将棋ゲームアプリ『将棋ウォーズ』で知られるHEROZ株式会社。「ポケモン竜王戦2024」から公式大会を中心に活用されていて、今回の「ポケモンジャパンチャンピオンシップス2026」ではポケモンチャンピオンズ向けにアップデートされたものが実装されていました。
いわゆる将棋における「評価値」のようなものです。
これは筆者の解釈ですが「大局的な視点から最終的な勝敗を予測するツール」というよりも「現在の局面において、ターンが終わったとき、どちらが優勢になっているかを予想するツール」という印象を受けました。
なので「普通のプレイヤーが普通のワザ候補の中から撃ち合ったときの結果予測」として見るのが良さそうです。
何はともあれ、ポケモンバトルの初心者でも「評価値が急に変わった!これは予想だにしないことが起こった!」という感覚で観戦を楽しめるツールといえるでしょう。
実際、最終局面において、オオニシ選手側のワザの候補に「アンコール」という選択肢をAIは出力していませんでした。
また、評価値もほぼ互角の値を出しています。
ただ、このあとオオニシ選手はAIが示していない選択肢である「アンコール」を選択して、アライ選手のポケモンに「まもる」しかできない状態にします。
「まもる」というのは、そのターンは一切の攻撃を受けなくなる(ただし、連続で使用すると失敗しやすくなる)ワザです。
アライ選手の「はめつのうた」で3ターン後にオオニシ選手のポケモンはすべて戦闘不能になってしまう状況なので、オオニシ選手としては少しでも攻撃をしたい場面のはずです。
ただし、ここでのオオニシ選手の作戦はアライ選手に「まもる」を連続で使用させて、最終ターンの総攻撃時に「まもる」の失敗を狙うという高度なものでした。
結果、オオニシ選手の機転を効かせた作戦は見事に成功しました。
ここでAIの形勢判断も、99%のオオニシ選手の勝利という評価値を出力します。
ポケモンバトルは不確定な要素が多く、勝利の予測が難しいゲームですが、PBSはかなりの精度で形勢判断をしていたように思えます。
そんなAIの形成判断をも打ち破り、オオニシ選手はAIの用意した選択肢以外で勝利を掴みました。
オオニシ選手、本当におめでとうございます!
世界大会「ポケモンワールドチャンピオンシップス2026」での活躍を応援しています。





















