バッテリーセルの健康状態が細かく表示できるモバイルバッテリーが登場。「機器とケーブルをつなぐだけで使えるのだから、表示パネルなど不要」という考えもあります。しかし、モバイルバッテリーの発火事故が増えている昨今、バッテリーの充電回数や劣化度、温度などが目に見えると安心感は明らかに違いました。劣化が進んで事故が起きやすくなる前に処分する目安にもなり、バッテリーの“見える化”のメリットは小さくないと感じました。
バッテリーセルの健康状態が表示できる液晶パネルを搭載
生活必需品になったモバイルバッテリーですが、発煙・発火事故の増加が社会問題になっています。NITEが2026年7月に発表した調査によると、モバイルバッテリーの事故は2021年の51件から2025年は192件と、約3.8倍に急増。発火事故の多発を受け、2026年4月24日から航空機内でのモバイルバッテリーの使用や充電が禁止されたほか、東急電鉄が電車内での利用を控えるよう呼びかけるなど、私たちの生活にも影響が出始めています。
このような環境の変化から、消費者のモバイルバッテリーに対する意識も「安さ」から「安心・安全」にシフト。モバイルバッテリー各社も、価格の安さではなく安全性の高さを訴求した製品を続々と発表しています。
USBケーブルや充電器などを手がけるUGREENは、本体にカラー液晶を搭載してバッテリーの“見える化”機能を追加したモバイルバッテリーの新製品「Nexode Wavy 45w」を発表。波打つデザインの本体は、10,000mAhの容量ながら大きさは109×69×18mm、重さは約211gと薄型コンパクトに仕上げています。出力端子はUSB Type-C、USB Type-A端子に加え、ストラップを兼ねたUSB Type-Cケーブルも備え、ケーブルを別途持ち歩かなくても充電できます。
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本体は波形のデザインがアクセントとなっている。上部にはストラップ代わりに使えるUSB Type-Cケーブルを内蔵。本体上部の黒い部分の右半分にカラー液晶を搭載しており、さまざまなバッテリー情報が表示できる。液晶表示はやや暗い
一見するとカジュアルな印象のNexode Wavyですが、最大のアピールポイントは安全。最新の半固体電池ではなく一般的なリチウムイオン電池を採用しつつ、「信頼性の高いバッテリーセルの採用」「安全設計」「見える化」の3点で、より安全に、より安心して使えることをアピールします。
バッテリーセルは、アップルやサムスン電子などが自社製品で採用する中国ATL社製を採用。そのうえで、電圧や温度の異常を検知すると充電を停止したり、過充電や過放電を防ぐバッテリー管理機能を搭載するほか、外装も難燃性の素材を採用。品質の高いバッテリーセルを採用しつつ、強固な保護機能で安全性を引き上げています。
最大の特徴が、バッテリー本体にカラー表示パネルを搭載して「見える化」を図っていること。表示できるのは以下の情報で、バッテリーの残量や出力を表示できるモバイルバッテリーは珍しくないものの、健康状態やメーカー名、異常発生履歴なども細かく確認できるのは珍しいといえます。
- バッテリー残量、利用可能時間、現在の出力
- ポート別の出力
- バッテリーの健康状態、充電サイクル数
- バッテリーセルの温度
- バッテリーセルの電圧
- バッテリーセルのメーカー名、型番、シリアルナンバー
- 過去の異常発生履歴(異常が発生した場合のみ)
普段、これらの情報をわざわざ確認しなくても使えますが、いろいろな情報が可視化されるのは安心できます。特に、バッテリーの温度や劣化度が確認できれば、異常をいち早く検知できたり、買い替えの目安にもなります。
過去の異常発生履歴は、側面のボタンを5回連続クリックすると表示できます。万が一異常が発生した場合、この情報をもとにメーカーに問い合わせができ、よりスムーズに原因究明や返金・交換の処理が進められるでしょう。
ポート数は充実しているが、同時充電は速度がガクンと落ちる
安全性や見える化のメリットは高いものの、モバイルバッテリーとしての性能は標準的。USB Type-Cの最大出力は45Wで、スマホも内蔵のケーブルを使って高速に充電できます。スマートリングやイヤホンなど、小さな電流で充電する機器でスリープモードにならないトリクル充電にも対応します。
注意したいのが、2台以上の機器を同時に充電しようとすると、途端に充電速度が落ちること。2台または3台の機器を接続すると、合計で最大15Wの充電に落ちてしまいます。複数の機器を充電したい場合も、まずはスマホなど急ぎで充電したい機器だけを接続する必要があります。
4つの残量表示LEDだけのモバイルバッテリーには戻れない
Nexode Wavy 45wの実売価格は7,980円前後。同容量のモバイルバッテリーよりはいくぶん割高ですが、表示パネルで劣化の度合いや異常の兆候に気づくことができ、使用中止や買い替えの判断材料が得られるメリットを考えれば納得できます。一度使うと、4つの残量表示LEDしか搭載しないモバイルバッテリーがまるでブラックボックスのように感じ、どこか不安に感じるほどです。
シリーズには、倍の20,000mAh容量の「Nexode Wavy 55w」(実売価格は9,980円前後)もラインナップします。見える化機能などの機能は10,000mAhモデルと同一ですが、バッテリーセルがEVでおなじみのBYD製になるのが相違点です。本体の厚みは3cm、重さは約375gとかなりズッシリくるので、普段使いしたいならNexode Wavy 45wの方がよさそうです。













