内田洋行は、2026年度(2025年8月~2026年7月)の連結業績を発表。売上高は前年比26.3%増の4257億円、営業利益は同28.4%増の156億円、経常利益は同27.8%増の同167億円、当期純利益は同27.1%増の124億円となり、すべての項目で、期初計画を上回り、過去最高実績を大幅に更新した。

  • 内田洋行 2026年度(2025年8月~2026年7月)の連結業績

    内田洋行 2026年度(2025年8月~2026年7月)の連結業績

  • ここまでの業績推移。売上、利益ともに過去最高の実績を大きく更新している

    ここまでの業績推移。売上、利益ともに過去最高の実績を大きく更新している

好調な業績の背景には、GIGAスクール、Windows 10のEOS、自治体システム標準化の3つの特需が重なったことが大きく影響している。

生徒1人1台のPCを整備する「GIGAスクール構想第二期」では前回を上回る導入実績を達成し、「Windows10からの更新対応」では、単なる端末の入れ替えだけでなく、ITサービス関連需要獲得。さらに、「自治体情報システム標準化対応」についても、2026年度分の案件を着実に実施した成果があがっているという。

内田洋行の大久保昇社長は、「2026年度は、特需の重なりが、業績に大きく影響した1年だった。5年前の2021年度(2021年6月期)にも、GIGAスクールによる特需、Windows 7からの更新需要、流通業を中心にした軽減税率対応システムへの更改という3つの特需があったが、その際に、特需が終わったあとに、それらが剥落するということでなく、ベースラインと呼ぶ特需以外の事業を底上げすることに努めてきた。特需によって獲得した顧客数を増加させてきたこと、特需にも対応できる量を取り扱える力がついた結果、今回の特需が重なった際にも、着実に需要を獲得できたこと、同時にベースラインのアップにもつなげることができた」と総括した。

  • 内田洋行の大久保昇社長

    内田洋行の大久保昇社長

たとえば、子会社のウチダエスコでは、2020年に、PCのキッティングを行う大規模拠点「ESCO 船橋ベイサイト」を開設し、GIGAスクール需要などに対応してきたが、2025年には、1665坪だった施設を、2620坪にまで増床し、最大で月産6万台(従来は月2万台)まで対応できる体制を整えた。

これにより、GIGAスクール需要への対応では、5年前に比べても多くの需要を獲得。さいたま市では、iPadを約10万台導入するとともに、5年間の運用保守契約を獲得したほか、京都市および京都府の共同調達でも合計で18万台のiPadの受注を獲得している。

さらに、Windows10のサポート終了に伴う更新需要でも、導入支援サービスを強化し、ESCO 船橋ベイサイトを活用した調達、在庫、キッティングだけでなく、データ移行や、周辺システムおよび機器の整備も行っている。

「5年前との比較では、GIGAスクール需要の伸び率よりも、Windowsのサポート終了特需の伸び率の方が高かった」という。

  • Windows 10のEOS需要では、キッティング拠点の強化を進めていたことが功奏

    Windows 10のEOS需要では、キッティング拠点の強化を進めていたことが功奏

  • GIGAスクールでも、5年前に比べても多くの需要を獲得

    GIGAスクールでも、5年前に比べても多くの需要を獲得

また、自治体システム標準化では、全国30システムの基幹系システムの更新需要を獲得したほか、高い実績を持つ福祉系システムでの標準化対応を行ったという。

「自治体システム標準化は、2026年3月までに整備が完了する予定であったが、デジタル庁の発表によると、56.8%の団体で遅延しているという。内田洋行が受注している案件でも、半数以上の自治体が来期以降に延伸している。むしろ、大型案件が残っている。だが、福祉系システムの大半では、移行が着実に完了している」という。

  • 自治体システム標準化は自治体のスケジュールが遅延。来期以降にも大型案件が残っている状況

    自治体システム標準化は自治体のスケジュールが遅延。来期以降にも大型案件が残っている状況

セグメント別業績は、公共関連事業の売上高が前年比73.6%増の1610億円、営業利益は71.2%増の89億円。「売上高、営業利益ともに大幅伸長し、想定を大きく超える実績になった」と自己評価した。

  • 上記の要因が重なった結果、公共関連事業のセグメントは想定を大きく超える実績に

    上記の要因が重なった結果、公共関連事業のセグメントは想定を大きく超える実績に

「GIGAスクール構想と自治体システム標準化の特需によるプラス影響に加えて、教育ネットワーク統合案件の獲得も貢献している。6年前には150万台しかなかった教育端末が、現在では、900万人の児童および生徒、100万人の教職員が接続するネットワーク環境の整備が求められている。とくに、教員が利用する端末やネットワークは、生徒の成績などの機微情報を扱うため、端末だけでなく、ネットワークセキュリティに対する関心が高まり、ゼロトラストを前提にした環境整備が進められている。内田洋行はこの領域での知見を持っており、学校現場の深い理解と、ゼロトラストの実績を組み合わせることで、大型案件を獲得している」という。

東京都府中市では、ゼロトラストと統合ID認証による高度なセキュリティ環境を構築し、2万1000人規模の次世代校務DX基盤を実現するなど、内田洋行が2021年以降に手掛けたゼロトラストネットワークに関する教育分野への導入実績は、50件以上にのぼるという。

さらに、政府が大学を対象に進める理系人材の育成に向けた学部新設や、学科改編の動きが約2年前から本格化しており、「コンサルティングから環境構築までを手がけるこれまで培ってきたノウハウを生かし、大型案件を獲得している」という。

女子大学に設置された総合情報科学部の案件では、VR・ARスタジオを設置し、撮影機材や3Dプリンター、3Dスキャナー、レーザー加工機、講義収録・配信システム、AV機器などを一括納入。別の大学のデジタル共創学科の創設にあわせては、解体や内装工事から、什器備品、AV設備の納入、ICT関連ネットワーク機器、GPUサーバーなどのトータル提案を行ったという。

  • 教育ネットワーク統合案件も旺盛

    教育ネットワーク統合案件も旺盛

  • 大学が理系人材育成を拡充する流れもプラスに

    大学が理系人材育成を拡充する流れもプラスに

情報関連事業の売上高は前年比11.3%増の2044億円、営業利益は同6.5%減の42億円となった。

  • 情報関連事業で売上増も減益となった要因に、半導体不足の影響が挙げられる

    情報関連事業で売上増も減益となった要因に、半導体不足の影響が挙げられる

売上高は初めて2000億円を突破したが、減益となった理由については、半導体不足の影響があり、中小企業向けSI案件で、サーバーやPCが揃わず、商談が半年から1年遅延したことが影響したと説明。「大手企業向けには、クラウドの提案が可能であり、引き続き伸長した。また、業界唯一といえる大規模拠点でのオフィスナビゲーション管理が行えるSmart Office Navigatorの導入も進んだ」という。

Smart Office Navigatorは、KDDIグループが東京・高輪ゲートウェイの新本社に納入。1万3000人が勤務する環境において、約600カ所の会議室管理と、530台の会議デバイスを導入し、多様な働き方を支えるICT環境を構築したという。

また、クラウド型会議室運用支援サービスであるSmart Roomsの契約数が増加。国内640社、2万室以上で利用され、国内トップシェアを獲得。日経225企業の45%が採用しているという。

  • Smart Office Navigatorの大規模拠点への導入

    Smart Office Navigatorの大規模拠点への導入

  • 会議室運用支援のSmart Roomsでも契約数が増加

    会議室運用支援のSmart Roomsでも契約数が増加

オフィス関連事業の売上高は前年比0.4%減の591億円、営業利益は同7.3%増の21億円。売上高は、前年度の大型案件の反動があったものの、微減に留めて過去最高水準を維持。営業利益は過去最高を更新した。

「オフィス関連事業に、情報関連事業が連動するという案件が増加し、これがベースラインの引き上げにつながっている」という。

また、人材の確保や定着の向上を目的とした働きやすいオフィス環境を整備する動きが継続。シェアオフィスやレンタルオフィス分野では、ハイグレードな大型案件需要が拡大し、この領域でも多くの案件を獲得したという。さらに、公共施設案件でも、福祉分野での大型案件の獲得や、庁舎案件の獲得も堅調に推移したという。

  • オフィス関連事業は過去最高益。さらに、オフィス投資は今後も引き続き拡大基調だという

    オフィス関連事業は過去最高益。さらに、オフィス投資は今後も引き続き拡大基調だという

一方、2027年度(2026年8月~2027年7月)の連結業績見通しは、売上高は前年比6.0%減の4000億円、営業利益は同4.0%減の150億円、経常利益は同4.6%減の160億円、当期純利益は同15.9%減の105億円を見込んでいる。

2027年度は、3カ年の中期経営計画の最終年度となるが、当初計画では売上高3400億円、営業利益115億円を掲げていたのにくらべると、これを大幅に上回る目標に置き換えている。

  • 2027年度(2026年8月~2027年7月)の連結業績見通し

    2027年度(2026年8月~2027年7月)の連結業績見通し

  • 業績推移。特需の反動はあるが、過去最高の近い業績を見通している

    業績推移。特需の反動はあるが、過去最高の近い業績を見通している

  • 中期経営計画の目標数字も、大幅に上回る目標に更新している

    中期経営計画の目標数字も、大幅に上回る目標に更新している

「2027年度は、自治体システム標準化など、一部の特需は残るが、GIGAスクールの特需の反動だけでも、売上高で500~600億円の減少が見込まれる。だが、ベースラインの増大によって業績を下支えするため、減収減益の計画でもほぼ横ばいに近く、過去最高に近い水準を維持することになる。中期経営計画の当初目標値を大きく上回ることになる」とした。

2027年度は、オフィス関連事業、情報関連事業など、大手企業向けを中心とした民需ビジネスの拡大を想定しているほか、子会社であるウチダスペクトラムと、内田洋行の情報関連事業を共同で推進する体制を整え、ライセンスビジネスとハードウェアビジネスを連携した提案を強化するという。

また、「内田洋行は、116年の歴史を持つ企業である。蓄積してきたノウハウを生かすだけでなく、12年前から事業ごとの敷居を低くして、事業の組み換えが進みやすいようにしてきたことで、その成果が生まれている。また、人をどう生かすかという観点と、ICTの活用という点から、働き方変革と学び方変革への取り組みを掲げ、人とデータの時代における提案力をつけてきた。社会構造変化で社会ニーズが大きく変わることに対応してきた成果が生かせる」と述べた。