サムスン電子は7月22日(現地時間)、英ロンドンで新製品発表イベント「Galaxy Unpacked」を開催し、折りたたみスマートフォンの最新モデル「Galaxy Z Fold8 Ultra」「Galaxy Z Fold8」「Galaxy Z Flip8」を発表しました。発売日はいずれも8月7日で、日本でも同日からNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリアを含む、複数の販路から販売されます。同時に、スマートウォッチの新モデル「Galaxy Watch9」「Galaxy Watch Ultra2」も登場しています。

  • 左からGalaxy Z Fold8 Ultra、Galaxy Z Fold8、Galaxy Z Flip8。手前にはGalaxy Watch Ultra2とGalaxy Watch9

    左からGalaxy Z Fold8 Ultra、Galaxy Z Fold8、Galaxy Z Flip8。手前にはGalaxy Watch Ultra2とGalaxy Watch9

TM Roh氏「年内に8億台のデバイスにAIを展開する」

イベントに登壇したサムスン電子モバイル部門トップのTM Roh氏が、まず口にしたのがAIについてです。「多くの人のAI体験はスマートフォンから始まります。それは、単に常に手元にあるからというだけでなく、スマートフォンが他のどのデバイスよりもユーザー自身を深く理解しているからです」と話し、年内に8億台のデバイスにAIを展開すると明かしました。

  • AI体験の起点としてのスマートフォンの重要性を語るTM Roh氏

    AI体験の起点としてのスマートフォンの重要性を語るTM Roh氏

サムスンは、2019年から折りたたみスマートフォンを手がけるパイオニアで、横折りのGalaxy Z Foldシリーズ、縦折りのGalaxy Z Flipシリーズを展開してきました。8世代目となる今回、そこに新たな製品が加わり、「Galaxy Z Fold8 Ultra」「Galaxy Z Fold8」「Galaxy Z Flip8」の3機種へとラインナップが広がりました。

従来のZ Foldシリーズの後継機は「Z Fold8 Ultra」となり、代わって無印の「Z Fold8」として、カバーディスプレイ約5.5インチ、開くと約7.6インチのワイドなメインディスプレイが利用できる、新しい折りたたみスマートフォンが投入されています。メインディスプレイのアスペクト比は4:3で、写真や動画、ゲーム、コミックなどのコンテンツを全画面で表示し、高い没入感を味わえるのが特徴です。

  • 新しい画角とサイズ感を打ち出したZ Fold8。薄いので幅広でも持ちやすい

    新しい画角とサイズ感を打ち出したZ Fold8。薄いので幅広でも持ちやすい

  • 開くと約7.6インチのメインディスプレイは4:3比率で、これまでよりもワイドになった

    開くと約7.6インチのメインディスプレイは4:3比率で、これまでよりもワイドになった

今回発表された3つの折りたたみスマートフォンに共通するのは、さらに進んだ薄さ、軽さと、パワフルな使い勝手です。Z Fold8 Ultraは、開いたときの厚さが約4.1mm、閉じたときが約8.9mmで、重さ約215g。Z Fold8は、横折りの折りたたみスマホとしては世界最軽量となる、重さ約201gです。Z Flip8も開いたとき、閉じたときの厚さが約6.1mmと13.1mm、重さは約180gと、前モデルよりも薄く軽くなっています。

Z Fold8 UltraとZ Fold8は、新開発の「Flex Titanium」構造を採用。チタン合金フィルムとチタンプレートを組み合わせることで、薄型化、軽量化と剛性を両立させ、折り目もさらに目立ちにくくなっています。ピーク輝度は3000nitをサポートするほか、反射防止処理も施され、太陽光下でも画面が見やすくなっています。

  • Flex Titanium構造の分解展示。会場にはほかにもサムスンの最新ディプレイ技術が展示されていた

    Flex Titanium構造の分解展示。会場にはほかにもサムスンの最新ディプレイ技術が展示されていた

  • 左が前モデルのZ Fold7で、右が反射防止処理がされているZ Fold8 Ultra。Z Fold8 Ultraでは、照明の映り込みがだいぶ軽減されている

    左が前モデルのZ Fold7で、右が反射防止処理がされているZ Fold8 Ultra。Z Fold8 Ultraでは、照明の映り込みがだいぶ軽減されている

3機種とも、Galaxy Zシリーズとして初のシリコンカーボンバッテリーを採用していて、薄さ、軽さを追求しながらも、Z Fold8 Ultraには5000mAh、Z Fold8には4800mAh、Z Flip8には4300mAhのバッテリーが搭載されています。

Z Fold8 Ultraではカメラも強化され、超広角カメラが前モデルの1200万画素から5000万画素にアップグレードされています。一方、Z Fold8のカメラは望遠を省き、超広角、広角ともに5000万画素のデュアル構成になっています。

  • Z Fold8 Ultraでは、超広角カメラの画素数とF値が向上。AI写真編集機能も充実している

    Z Fold8 Ultraでは、超広角カメラの画素数とF値が向上。AI写真編集機能も充実している

折りたたみスマートフォン向けに進化したGalaxy AI

3機種で利用可能なGalaxy AIも、折りたたみスマートフォンでより使いやすい形へと進化しています。メッセージの内容から次のアクションを提案してくれる「Now Nudge」では、メッセージアプリからシームレスに2画面に移行し、メッセージを確認しながらタスクがこなせます。たとえば、メッセージの内容に予定が含まれていたら、カレンダーへの登録を促すポップアップが表示され、タップするとカレンダーアプリが別ウィンドウで起動。予定をダイレクトに登録できるようになっています。

  • 「Now Nudge」のデモ。メッセージ画面からシームレスにカレンダーを2画面表示し、予定を追加できる

    「Now Nudge」のデモ。メッセージ画面からシームレスにカレンダーを2画面表示し、予定を追加できる

またZ Flip8では、カバーディスプレイでさまざまなアプリが使用できるようになりました。カバーディスプレイに必要な情報をタイムリーに提示できる「Now Brief」の機能も向上。また、Googleの「Gemini」に音声で指示するだけで、アプリ内の操作までAIが代行する「オートメーション」機能の進捗も、カバーディスプレイでチェックできます。この機能は現在、米国、韓国で先行して提供されていますが、今年の9月末までには日本でも利用可能になる予定です。

  • 音声で指示し、カバーディスプレイで「オートメーション」の進捗状態を確認できる

    音声で指示し、カバーディスプレイで「オートメーション」の進捗状態を確認できる

「未然に防ぐ」健康管理を目指すGalaxy Watchも登場

スマートウォッチの「Galaxy Watch9」「Galaxy Watch Ultra2」でも、健康機能が大きくアップデートされました。体調の変化を検知して対処する従来の観点から一歩進め、不調を「未然に防ぐ」予防的な健康管理をコンセプトに掲げています。心疾患リスクを示す「心臓の健康スコア」や「バイタルサイン」「フィットネス指数」といった新たな指標が追加されています。

  • Galaxy Watchの新しい健康指標。バイタルサインをまとめてチェックできる

    Galaxy Watchの新しい健康指標。バイタルサインをまとめてチェックできる

上位モデルのWatch Ultra2は、スマートウォッチでは世界初となる最大5000nitディスプレイを搭載。バッテリー駆動時間は最大60時間となり、防水・防塵性能もIP69K・10ATMとGalaxy Watch史上最高レベルになっています。ダイビング機器メーカーのマレスと共同開発したダイビングコンピューター機能も提供される予定で、ほかにも水分補給のタイミングを教えてくれるトレイルランモードなど、アウトドア向け機能が強化されています。

より良いAI体験に向けてGoogle、Qualcommとの連携を強化

発表会には、Google Senior Vice President, Platforms & DevicesのRick Osterloh氏もゲストとして登壇し、両社が「Gemini」を軸に連携を深めていることが改めて紹介されました。あわせて、両者がアイウェアブランドのGentle Monster、Warby Parkerと開発を進めるAIスマートグラスもお披露目されました。ディスプレイを持たず、音声とカメラでGeminiとつながるもので、今秋にはコレクションとして展開される予定です。

  • サムスンがGoogle、Gentle Monsterと開発するグラス。カメラを搭載し、Geminiと話せる

    サムスンがGoogle、Gentle Monsterと開発するグラス。カメラを搭載し、Geminiと話せる

  • 「Gemini notebook」が、サムスンの新製品にプリインストールされることも紹介された

    「Gemini notebook」が、サムスンの新製品にプリインストールされることも紹介された

続いて、Qualcomm President & CEOのCristiano Amon氏もゲストとして登壇。Z Foldシリーズには、Galaxy向けに最適化された同社のSoC「Snapdragon 8 Elite Gen 5 for Galaxy」が、Watch Ultra2には同社が3月のMWCで発表したウェアラブル向けチップセット「Snapdragon Wear Elite」がそれぞれ搭載されていると紹介しました。「エージェンティックAIの時代に向けて、サムスン、Google、クアルコムが結集し、モバイルを再構築する」と語りました。

  • Watch Ultra2に搭載の「Snapdragon Wear Elite」を紹介するCristiano Amon CEO

    Watch Ultra2に搭載の「Snapdragon Wear Elite」を紹介するCristiano Amon CEO

折りたたみスマートフォンで気になるのは故障時の対応ですが、MX事業部門COOのWon-Joon Choi氏は、世界各地で修理サービスや優先サポートが受けられる保証プログラムの拡充について紹介。また、Android、iOSのプラットフォームを越えてファイルを共有できる「クイック共有」の対応強化にも言及しました。乗り換え時にQRコードを読み込むだけで、パスワードなどもまとめて移行できるようになった「スマートスイッチ」についても紹介し、乗り換えのしやすさをアピールしました。

  • 乗り換えがスムーズにできる「スマートスイッチ」を紹介するWon-Joon Choi氏

    乗り換えがスムーズにできる「スマートスイッチ」を紹介するWon-Joon Choi氏

国内4キャリアの担当者が新しい折りたたみに期待すること

現地発表会には、日本から4キャリアの担当者も参加。それぞれサムスンの新製品への期待を語りました。

今回初めてZ Foldシリーズを扱う、楽天モバイル デバイスビジネス部の塚本直史氏、内田有喜氏は「ハイエンド端末を求めるお客様の声が強まっており、Sシリーズに続いて自然な流れでZ Foldシリーズをラインナップに加えました」と説明。NTTドコモ プロダクトマーケティング本部 プロダクトクリエーション部長兼プロダクト戦略部長の大井達郎氏は、新登場のZ Fold8について「これだけ個性の違う端末が揃った。使い方がはっきり変わる分、お客様への提案もしやすくなる」とコメントしました。

KDDI取締役執行役員 パーソナルコア事業本部長兼コア事業推進本部長の佐々木正見氏は「Fold8は、これまでのZ FoldとZ Flip、それぞれの良い部分を煮詰めたようなサイズ」と話し、「ミリ波と組み合わせれば、大画面とAIをストレスなく楽しめる」と、ミリ波対応であることを評価。ソフトバンク モバイル事業推進本部 執行役員本部長の郷司雅通氏は「想像以上のサイズが出てきた。これが実際の数字にどうつながるかの勝負になる」と話していました。

  • 発表会場には、写真映えする折りたたみスマートフォンのアートウォールも設置されていた

    発表会場には、写真映えする折りたたみスマートフォンのアートウォールも設置されていた

無印の「Z Fold」の名を新モデルに付けたことから読み取れるのは、サムスンがこのサイズを、折りたたみのスタンダードに据えようとしている、ということです。各キャリアの担当者がZ Fold8に寄せる期待も大きく、今回の製品が折りたたみスマホの普及に向けた、試金石のひとつになるのは間違いないと思います。いよいよiPhoneでも……との噂もあるなか、サムスン第3の折りたたみスマートフォンが市場にどう受け入れられるのか、注目したいです。