GEEKOMが展開するミニPC製品の中でも、AMD Ryzenプロセッサの搭載で価格を抑えた「GEEKOM A」シリーズから、2026年モデルとして「GEEKOM A8 2026」が投入されました。一般的な用途ではなかなか活用が進まないNPUをばっさりカットしたプロセッサを採用してコストが抑えられており、16GBメモリ+1TB SSDの搭載で134,900円で販売中。記事制作時点では5,000円オフが直販ストアに適用され、129,900円で購入できます。

今回編集部に実機が送られてきたので、かんたんに試用してみました。忙しい方向けにまとめておくと、8コア16スレッドのZen 4コアCPUは普段使いに十分すぎるほど強力で、組み合わせるRDNA 3ベースのRadeon 780Mグラフィックスもとてもハイパワー。高負荷時でも静かなクーラーがとても気に入りました。

  • ミニPC「GEEKOM A8 2026」を試す。NPUばっさりカットのRyzen 7 8745HS搭載、DDR5 16GB+1TB SSD

    ミニPC「GEEKOM A8 2026」を試す。NPUばっさりカットのRyzen 7 8745HS搭載、DDR5 16GB+1TB SSD

機材協力:GEEKOM

中国限定プロセッサ? Ryzen 7 8745HS搭載

AMD Ryzenプロセッサの命名規則は複雑すぎて「Ryzen 7 8745HS」と言われてもどういう製品なのか皆目見当がつかず、Google検索でも「Ryzen 7 8845HS」という微妙に異なる製品しか出てこない始末。AMDの中国版サイトにのみ製品ページが存在しており(外部サイト)、その仕様について知ることができるようになっていました。

よく見てみると開発コードとしては「Hawk Point」シリーズに属する製品で、CPUはZen4、GPUはRDNA 3。最大54Wでの動作に対応しているモバイル向けプロセッサで、NPUが省略されている点が大きな特徴です。NPUは推論処理に特化した領域のことですが、Windowsの一般的な日常利用ではあまり活用が進んでおらず、搭載されていなくても不便に感じるシーンはほとんどなさそう。大半のユーザーにとっては、コスト面での恩恵のほうが大きいはずです。

  • タスクマネージャーの様子。NPUの項目がない

    タスクマネージャーの様子。NPUの項目がない

今回チェックするGEEKOM A8 2026では、このプロセッサに16GBメモリと1TB SSDを組み合わせてWindows 11 Proがプリインストールされていました。DDR5 16GBメモリがSO-DIMMスロットひとつに差し込まれてのシングルチャネル動作だったので、より大容量が必要な場合は相性を考慮しつつ空きスロットにもう1枚足す運用になるでしょう。個人的には8GB×2のほうが親切だったような気もします。

さらに、内蔵グラフィックスのRadeon 780Mがこの16GBという貴重なスペースを4GBも占有する点も難点。広大なマルチディスプレイ環境を使う予定がなかったり、強烈にヘビーなゲームを遊ぶ予定がない場合は2GBもあればよいでしょう。今回はBIOSの「内蔵グラフィックス>フレームバッファ」の項目で2GBに設定し、削った2GB分をDRAMへと捻出して使用してみました。

  • PassMark

    PassMark

  • Geekbench 6

    Geekbench 6

  • Geekbench AI DirectML

    Geekbench AI DirectML

  • Geekbench AI OpenVINO/CPU

    Geekbench AI OpenVINO/CPU

  • FF14

    FF14

性能は順当にミドルハイエンド製品向けのモバイルプロセッサという印象で、ブラウジングやメールの送受信等の用途で動作の緩慢さを感じることはほとんどないはず。グラフィックス面ではかなり重くなったFF14の現行ベンチマークテストで「設定変更を推奨する」と表示されていますが、比較的描画負荷が軽いWindows版スマートフォンゲームを遊ぶような用途では十分問題なくプレイできると思います。

個人的にはNPUのないプロセッサを搭載しているということで、推論性能のテスト結果が興味深く感じました。量子化するとRadeon 780Mが高速ですが、倍精度ではOpenVINOベースのCPUが圧倒。「NPUがないからAIは使えない」ことはもちろんなく、さらにプロセッサの各部位で得意な処理が異なっていることがわかります。ちなみにもしGEEKOM A8 2026でローカルLLMを無理やり構築しようとした場合、シングルチャネルで16GBしかないメモリが速度・容量ともにボトルネックになるはずです。

外装は高品質な金属製。SDカードスロットが便利

最後は手元にやってきたサンプルの様子を眺めましょう。例によって底面以外の外装は一体形成の削り出しで、継ぎ目のない見た目がとても高品質。端子を前後に満載し、映像出力からデータ転送まで不自由なく行えます。Wi-Fi 6EとBluetooth 5.2をサポートし、側面にSDカードスロットを備えます。

  • ビニールでしっかりシュリンクされていた製品。湿度の高い輸送にも耐えられる

    ビニールでしっかりシュリンクされていた製品。湿度の高い輸送にも耐えられる

  • 本体にはさらっとしたフィルムがかけられ、箱裏のスポンジで緩衝を行っていました

    本体にはさらっとしたフィルムがかけられ、箱裏のスポンジで緩衝を行っていました

  • ACアダプタに加え、モニター裏への設置用プレートとネジが付属していました

    ACアダプタに加え、モニター裏への設置用プレートとネジが付属していました

  • 箱から取り出したところ。見た目にチープな感じが全くない

    箱から取り出したところ。見た目にチープな感じが全くない

  • 側面にフルサイズSDカードスロットを搭載する。OSを書き込んだイメージを読み取り専用で用いるなどいろんな運用法がありそう

    側面にフルサイズSDカードスロットを搭載する。OSを書き込んだイメージを読み取り専用で用いるなどいろんな運用法がありそう

  • 背面端子部。HDMI端子だけで2画面出力できる点がとても親切で、そのほかUSB-C端子を活用したDisplayPort出力もサポートする

    背面端子部。HDMI端子だけで2画面出力できる点がとても親切で、そのほかUSB-C端子を活用したDisplayPort出力もサポートする

ここまでGEEKOM A8 2026についてみてきた本記事。素性の良いプロセッサの基礎性能はとても高いのですが、やはりシングルチャネルの16GBメモリの切迫感は時代柄ややつらく感じます。しかし高負荷時でも動作音はあくまで平穏で、耳につく高周波が除去された静かな排気音がとても気に入りました。PC新調への逆風がここまで強まる中、GEEKOM A8 2026からはNPUを省略してコスパを少しでも高めようとした努力が感じられます。