パナソニックホールディングスが発表した2025年度(2025年4月~2026年3月)連結業績は、売上高が前年比4.8%減の8兆487億円、営業利益は同44.6%減の2364億円、調整後営業利益は同4.2%減の4474億円、税引前利益は同45.9%減の2631億円、当期純利益は同45.6%減の2089億円と、減収減益となった。
2025年度は減収減益、米関税も影響
パナソニックホールディングスの和仁古 明グループCFOは、「コネクト、エレクトリックワークス、エナジー、インダストリーは増収となったものの、HVAC & CC、スマートライフが減収となったほか、オートモーティブの非連結化影響で245億円、米国関税影響でマイナス310億円などがあり、全体では減収になった。また、調整後営業利益は、エナジー車載電池での製造不具合対応費用としてマイナス400億円を計上するとともに、オートモーティブの非連結化影響で減益になった。オートモーティブの非連結化の影響を除くと売上高は3%の増収。調整後営業利益でもオートモーティブの影響を除くと増益になっている」と総括した。
原材料や物流費の影響は、マイナス90億円。価格改定や合理化などの影響は、450億円のプラスとなった。
セグメント別業績をみると、スマートライフの売上高は前年比5%減の1兆3742億円、調整後営業利益は140億円減の270億円。国内は白物家電のシェアアップもあり、増販の成果が出たが、、海外では中国での大型家電の需要減少、欧州でのAVCを中心にした減販が見られた。また、テレビの協業体制の強化に伴う構造改革費用があり、全体として減収減益になった。
コネクトの売上高は前年比5%増の1兆3803億円、調整後営業利益は138億円増の945億円。生成AIサーバーを含めたICT需要を捉えたプロセスオートメーションをはじめ、強い受注が続くアビオニクス、Blue Yonderが増販に貢献したという。
エレクトリックワークスの売上高は前年比4%増の1兆1606億円、調整後営業利益は159億円増の887億円となった。国内電材および海外電材が好調に推移して増収。とくに国内では蛍光灯規制を背景としたLED照明への置き換え需要が寄与した。
HVAC&CCの売上高は前年比1%減の1兆3124億円、調整後営業利益は57億円増の331億円。空質空調はA2Wが回復を継続し、ルームエアコンは国内需要が増加したものの、アジアでの天候不順の影響により全体では減収となった。コールドチェーンは、北米が減販だったものの、欧州は増販によって増収となった。
エナジーの売上高は前年比13%増の9842億円、調整後営業利益が506億円減の721億円となった。車載電池は、北米工場は増販となったが、国内工場では減販。また、原材料の価格低下見合いの価格改定や、米国関税影響もあり、減収減益となった。産業・民生は、旺盛な需要が続くデータセンター向け蓄電システムが好調で増収となった。
インダストリーの売上高は前年比8%増の1兆1673億円、調整後営業利益は432億円増の975億円。コンデンサや多層基板材料といった生成AIサーバー向けの情報通信関連製品の需要拡大が継続し、増収となった。
その他/消去・調整の売上高は6697億円、調整後営業利益が93億円減の345億円。
なお、2025年度の構造改革費用は1745億円、効果額は450億円となり、2026年度までの2年間の累計効果は1450億円になるとした。
今期はV字回復へ、世界情勢厳しいがAI関連と構造改革で
2026年度(2026年4月~2027年3月)連結業績見通しは、売上高は前年比5.6%減の7兆6000億円、営業利益は同132.6%増の5500億円、調整後営業利益は同34.1%増の6000億円、税引前利益は同109.0%増の5500億円、当期純利益は同121.6%増の4200億円と、減収増益の計画とした。
和仁古グループCFOは、「売上高は、すべてのセグメントで実質増収だが、非連結化の影響や、為替換算などにより、全体では減収の見通しになっている。調整後営業利益は、AIインフラ関連事業の増販益や構造改革効果などにより、すべてのセグメントで増益を見込む。また、中東情勢の悪化と、メモリ価格のさらなる高騰影響をリスクとしてマイナス300億円を織り込んだが、全体では増益を見込む」という。
原材料および物流費の影響は、銅や樹脂、メモリ価格の高騰などを中心に1250億円のマイナス影響を想定。価格改定や合理化などの効果は1249億円を見込んでいる。
「当面は不確実な状況が続くことが想定されるが、調整後営業利益6000億円の公表達成に向け、しっかりと動向を見極め、対応策を進めていく」と述べた。
中東情勢については、「樹脂などの高騰による利益影響」、「中東向けの出荷・販売減」、「部材の調達難による生産・販売の停滞・停止」の3点をあげ、「樹脂などの高騰については、自助努力に加えて、価格転嫁を含めてカバーをしていく。中東エリアでは売上高で1000億円規模のビジネスがあるが、ここへの影響は仕方がないと考えている。生産や販売停止の影響は現時点ではないが、注視している」と述べた。
電気製品の多くは、プラスチックで形成されているほか、電子材料では溶剤を使用するなど、ナフサ不足の影響を懸念しており、代替材料の採用や、代替地域からの調達なども進めているという。
2026年度のセグメント別の業績見通しでは、スマートライフの売上高は前年比3%減の1兆3350億円、調整後営業利益は480億円増の750億円。日本およびアジアでの増販により、中国などの減販をカバー。前年度の構造改革による一時費用の反動に加えて、構造改革の効果の刈り取りが大きく寄与して増益を見込んでいる。
コネクトの売上高は前年比2%減の1兆3500億円、調整後営業利益は5億円増の950億円。Blue YonderによるSCMソフトウェアのほか、アビオニクス、FAの需要拡大を見込んでいるが、メモリ不足による航空機やPCのサプライチェーンへの影響を注視しているという。 なお、Blue Yonderの2026年度見通しは、スタンドアローンでの売上高が前年比1億400万ドル増加の15億5100万ドル、調整後EBITDAは1400万ドル増の2億8700万ドル、調整後営業利益は2600万ドル増の3000万ドルを見込む。
「Blue Yonderは継続的な戦略投資を進めており、2026年度は、新たに開発したコグニティブソリューションの導入に向けた施策を強化することになる」という。
エレクトリックワークスの売上高は前年並の1兆1550億円、調整後営業利益は33億円増の920億円とした。電材において、日本では非住宅着工減などでの需要減が見込まれるが、インドをはじめとする海外ではGDP成長を背景に需要増が継続すると見ている。
HVAC&CCの売上高は前年比4%増の1兆3600億円、調整後営業利益は269億円増の600億円。空質空調ではA2Wの需要回復が継続するほか、ルームエアコンは日本での省エネ規制前の前倒し需要で販売の増加を想定。アジアでも需要回復を見込んでいる。コールドチェーンは、北米を中心に堅調な需要を見込んでいる。
エナジーの売上高は前年比39%増の1兆3720億円、調整後営業利益が1009億円増の1730億円となった。そのうち車載電池は、米国EV市場は前年並で推移するが、EVメーカーからの需要は、前年を上回る水準を想定しているという。顧客車両生産の回復に伴う北米工場の増販を見込んでいる。また、産業・民生では、分散型電源システムの需要が引き続き大きく拡大する見込みだという。これにあわせて、中期的な目標を修正した。
和仁古グループCFOは、「データセンター向け蓄電システムの売上高は2028年度の売上高として、8000億円を目標としていたが、想定を上回る引き合いがあり、8000億円への到達を1年前倒しにし、2027年度とする。また、2028年度は、2025年度比で約3倍となる9500億円にターゲットを引き上げる」とし、「急増する需要に対応すべく、スピード感をもって増産準備を進める。国内では、車載電池工場のセルラインの改造を終えて、2026年4月から、データセンター向けのセル出荷を開始した。また、カンザス工場の車載電池用の生産能力をデータセンター向けに転換することを含めて、スピーディに意思決定を行い、能力増強を進める」という。
さらに、インダストリーとの連携により、スーパーキャパシタをモジュール化したCBU(Capacitor Backup Unit)の量産を2026年度からスタートする計画であり、「生産能力の増強と新たなソリューションの開発を同時に進め、トップシェアを堅持しながら、さらなる事業成長につなげていく」と述べた。
インダストリーの売上高は前年比3%減の1兆1300億円、調整後営業利益は125億円増の1100億円。AIサーバーを中心に、情報通信インフラ需要の拡大を見込んでいる。
これまでは、生成AIアクセラレータなどの「AI半導体周辺」だけの情報を開示していたが、今回から、サーバー、ストレージなどのAI発展を支える「インフラ領域」、ADASやロボティクスなどのAI技術進化が波及する「エッジ領域」も開示。2028年度には、これらを含めた領域の売上高規模として4300億円とすることを発表した。これは、2025年度の売上高2300億円に対して、約2倍の規模となる。また、インフラ領域では2028年度の売上高で約2倍、エッジ領域では2028年度以降に事業拡大を本格化させる考えも示した。
また、これらの成長を支えるために生産能力を増強。電子材料は、タイのアユタヤ工場の新棟建設に加えて、中国の蘇州工場および広州工場でもライン増設を開始。導電性コンデンサも、国内外の複数拠点で生産能力の増強を進める。
なお、2025年度の構造改革の取り組みについても説明。ハウジングソリューションズと車載事業のフィコサ、パナソニックコネクトのセキュリティシステム事業の譲渡が完了し、2025年度第4四半期には、エレクトリックワークス社の電動工具事業を、マキタに全株式を譲渡することを発表。新たにインダストリー社の車載用モーターおよび車載用冷却ファンモーター事業をミネベアミツミに全株式を譲渡することを発表した。
和仁古グループCFOは、「ポートフォリオマネジメントは、今後も継続的に推進していくことになる」と述べた。











