米AMDが10月29日(現地時間)に公開したグラフィックス製品向け最新ドライバ「AMD Radeon Software Adrenalin 25.10.2」以降において、RDNA 1 / RDNA 2アーキテクチャを採用している製品向けドライバで最新ゲームタイトルへのDay 0対応を行わなくなるとしていた。しかし今回、ユーザーからの反発を受けて正式に撤回されたようだ。海外テック系媒体が相次いで報じている。
RDNA 1 / RDNA 2シリーズを採用する製品では最新ゲームへの対応が行われなくなるという声明に対し、ユーザーが反発したという内容。AMD Software Adrenalin Edition 25.10.2の公開を受けて、独PCGHはAMDにサポートの継続について質問した。AMDは「最新GPU向けの新技術の最適化と提供に注力するため、Radeon RX 5000シリーズおよびRX 6000シリーズ(RDNA 1およびRDNA 2)ではメンテナンスモードに移行します」と回答した。
これを受けて同シリーズ製品ユーザーは反発。続く声明としてAMDは米Tom's Hardwareに対し、「新機能の追加、バグ修正、ゲームの最適化は、メンテナンスモードブランチにおいて、市場のニーズに応じて継続的に提供されます」と述べた。この“市場のニーズに応じて”という不明瞭な言及に対し、ユーザーの反応はさらに紛糾。
最終的にAMDは11月2日(現地時間)、同社公式ブログを更新する形で、「RDNA 1およびRDNA 2アーキテクチャのサポートはこれで終わりではありません。Radeon RX 5000シリーズおよびRX 6000シリーズGPUは、今後も最新ゲームタイトルの対応、安定性の向上とゲーム最適化、セキュリティパッチとバグ修正サポートを継続します」と声明を発表した。最新製品とはドライバのブランチを分けつつサポートを継続していくと明言し、『Call of Duty: Black Ops 7』や『バイオハザード レクイエム』のような最新タイトルへの対応も行われるという。
ちなみに、Radeon RX 7900シリーズ製品で搭載していたUSB-C端子からの給電機能も当初無効化するとしていたが、これはリリースノートの誤記だったようだ。米TechPowerUpは同機能が正常に動作していることを確認し、声明の中でAMDは「必要なユーザーは前のドライバに巻き戻すよう案内していた記載を削除しました。25.10.2でもUSB-C経由での給電機能を継続して利用できます」と述べている。
ユーザーの強い反応招いた背景には、AMDはRDNA 4を採用するRadeon RX 9000シリーズ以外にも、内蔵グラフィックスとして旧世代のRDNAシリーズを継続的に投入し続けていることも要因として挙げられる。
例えば、Microsoft XboxとのコラボレーションでASUSが発売したばかりの「ROG Xbox Ally」が搭載するRyzen Z2 AにもRDNA 2グラフィックスが統合されており、今回の一件でいきなり新ゲームへの対応が打ち切られる懸念があった。今年ついにGeForce GTX 1080 Tiのサポートを打ち切ったNVIDIAとは単純に比較できないものの、現行製品として展開されているシリーズのサポート期間としては短すぎると捉えられたのかもしれない。
なお、Intelは第14世代CoreシリーズまでのiGPU向けドライバを早くもレガシーサポートに移行済み。ゲーム用途に利用されることはほとんどないため、特に反発もなかったようだ。

