2025年9月25~28日の4日間、千葉・幕張メッセにて「東京ゲームショウ2025(TGS2025)」が開催されました。25・26日はビジネスデイ、27・28日が一般公開日でした。本記事では、TGS2025全体の様子を振り返ります。
2025年も昨年同様に1~11ホール、イベントホール、会議棟すべてをフル活用しての開催です。ただ、それでもスペースが足りなくなるのは必至となる過去最大の出展社数、コマ数を誇りました。
コスプレエリアは9~11ホールの駐車場と建物裏の公道を封鎖して実施。インディーコーナーの優秀な作品を展示するスペースは9~11ホールのホワイエを使っていました。
当然、1~11ホールもギチギチに使っており、会期中はどこも混雑していました。まあ、簡単に会場は移せないでしょうけど、そろそろ本気で開催地の移転は考えた方が良いかもしれません。
チケット完売、幕張メッセを埋め尽くしたTGS2025
TGS2025からは、運営の一部が変わったこともあり、多少変化があったイベントでした。これまで会期中に発表していた日本ゲーム大賞は会期の2日前の23日に発表され、フューチャー部門のみ会期中に発表されました。
さらに一般公開日のチケットが完売だったにもかかわらず、昨年より来場者数が少なくなったのは、来場者数の制限を設けていたということでしょう。TGS2026はビジネスデイ2日、一般公開日3日の5日体制になると発表され、さらに変化していく可能性があります。
今回のTGSはブースが立体的な装飾で飾られ、より豪華になったという印象です。まさにお祭り感があり、ブースでゲームの試遊などをしなくても見ているだけで高揚感がありました。
セガ/アトラスブースやCom2uSブースの試遊台やElectronic Arts(EA)ブースの『バトルフィールド6』の対戦台などは、ひな壇のように段差ができており、多くの来場者がプレイしている様子が見て取れ、盛況感を出していました。
バトルロイヤル系シューティングゲームのeスポーツ大会やテレビ番組のクイズ大会の会場のようで、見栄えの良い作りで、通路から観ていても多くの人がプレイしている様子がわかり、それだけで思わず自分もプレイしたくなります。
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コナミブースは全面がLEDディスプレイで覆われ、流れる映像によって行く度に違う印象を与えていました。さらにブースの角には『桃太郎電鉄2』のコーナーがあり、祭りの櫓が組まれており、奥には縁日の屋台が展開されていました
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GRYPHILINEブースは『アークナイツ:エンドフィールド』の集成工業システムを再現した工場ラインを展示。テーマパークの待機列で見られるようなオブジェで。ベルトコンベアで物資が運ばれています。スペースを取った思い切った展示でした
超強力な“目玉タイトル”は不在? 全体的には粒ぞろい
さて、肝心の出展ブースやタイトルについてですが、今年ははっきり言って、超強力な“目玉タイトル”はなかったのではないかな? と感じました。
カプコンは市場最大のコマ数でブースを出展し、おそらく『バイオハザード レクイエム』と『鬼武者 Way of the Sword』がイチオシタイトル。確かに人気タイトルですが、『モンスターハンター』シリーズと比べると引きの弱さは感じてしまいます。
セガ/アトラスブースは、目玉タイトルで完全新作なのは『ソニックレーシング クロスワールド』くらい。このタイトルもTGS開催日にリリースなので、先行プレイとしての魅力は薄め。セガ、アトラス両ブースとも、リメイクやリマスター作品が中心で、目新しさに欠けたのは残念でした。
スクウェア・エニックスは『ドラゴンクエストI・II』、コナミは『桃太郎電鉄2』、コーエーテクモは『仁王3』『ゼルダ無双 封印戦記』、バンダイナムコは『リトルナイトメア3』、『ワンス・アポン・ア 塊魂』など、ちょっと弱めな感じもしました。
とはいえ全体的には粒ぞろいだったので、TGSに来場するには十分な動機にはなると思います。
コンパニオンさんは「コスプレ」率が高かった!
インディーゲームコーナーは、テーブルにモニターとPCを並べる感じの簡素なブースである代わりに、数多くの出展社が参加できるような作りになっていました。
しかし同じように簡素なイメージがあったアカデミーコーナーが、もはや企業ブースと変わらないほど豪華なブースを構えているのは印象的でした。ここ数年その傾向はあったんですが、今年はより際立った感じです。
eスポーツやGIGAスクール構想などで、よりゲームに関わる学校が注目されている証拠でもあるのではないでしょうか。
コンパニオンさんは多くのブースに居ましたが、全体的に地味な印象。昨今のコンプライアンス的というか、ジェンダー的というか、あまり扇情的な格好をすることを良しとしていないので、仕方ないところかもしれません。
その反動というか、対策というか、コンパニオンさんがゲームキャラクターのコスプレをしているブースも多く見られました。ゲームキャラクターだと、多少露出が高めでも、ゲームのキャラクターと同じ格好をしているという大義名分があるのか、結構、攻めた格好をしているコンパニオンさんのブースもありました。
タイトル単体ブースに注目、背中を覆う巨大な「デカバッグ」も
TGSと言えば、ノベルティでもらえる巨大なショッパー“デカバッグ”がお馴染みです。メーカーにしてみればデカバッグを持ち歩いて貰うだけで、どれだけの宣伝効果になるかわからないくらいです。
そのため、どのデカバッグを持ってもらえるかもメーカーにとっては重要なわけです。で、今年のTGSでそのデカバッグ戦争を制したのは、無限大ANANTAブースのデカバッグだったのではないでしょうか。
多くのデカバッグはトートバッグ的なタイプですが、無限大ANANTAブースのデカバッグはリュックタイプで、しかも背中を覆うほどの大きさ。黄緑の地に、大きなサングラスを掛けたキャラクターが描かれ、道行く人の目を奪っていました。
『無限大ANANTA』はNetEase Gamesのタイトルですが、ブースはメーカー名であるNetEase Gamesではなく、ゲームタイトル単体で出していたのも印象的。かなり大きなブースを構えており、試遊台も多く、デカバッグのインパクトと合わせて、かなりアピールできたのではないでしょうか。
ちなみにNetEase Gamesは、『無限大ANANTA』以外にも『逆水寒(Sword of Justice)』や『第五人格』など、計6タイトルのブースを出していました。
TGSでの出展は来場者から見れば、同じメーカーでも興味のあるゲームとないゲームがあります。メーカー単位の出展では逆に体験しにくいという側面もあるため、ひとつの見せ方としてはありかもしれません。
そもそも、日本ではメーカー推しというものが存在しますが、海外の国やメーカーによっては、そこまでメーカーが重要ではなくタイトル重視であるという話も聞かれます。
異業種参入で活況のインディーゲーム! 来年は一般開催日増に期待
インディーゲームコーナーも例年通り盛況でした。ここ最近では、『都市伝説解体センター』や『8番出口』『PICO PARK』『天穂のサクナヒメ』など、インディーゲームがヒットし、インディーゲーム自体に注目が集まっている感じはします。
また、『都市伝説解体センター』は集英社ゲームズがパブリッシャーとして販売をしていますが、異業種の大手がパブリッシャーとして参入しているのもトレンドといえます。
最近では流通のPARCOがパブリッシャーとしてゲーム産業に参入。もともと、流通以外にアートや演劇、音楽などのカルチャーに大きく関わっている企業だけに、ゲームも同じカルチャーとして新たな展開を見せてくれそうです。
インディーゲームはデベロッパーに注目が集まっていましたが、パブリッシャーがより確立されていくと、さらにインディーの世界が広まっていく気がします。もちろん、TGSでは集英社ゲームズやPARCO GAMESもブースを出していました。
全体を通して見ると、満足感の高いイベントだったのではないでしょうか。混雑っぷりに辟易した人も多いとは思いますが、某万博のイタリア館のように6時間待ちというほどのものもありませんでしたし。また、多少暑くはありましたが、ここ数年で考えると比較的過ごしやすい気候だったとも思います。
来年は一般日の開催日数が増えるので、もう少し快適な環境で楽しめることを期待しています。









