GEEKOMが6月中旬から販売している小型PC「GEEKOM IT15」。Arrow LakeことIntel Core Ultra(シリーズ2)を搭載している点が特徴の製品で、小型ながら高い性能を実現しています。今回試用機を試すことができたので、かんたんにチェックしてみました。

忙しい方向けにまとめておくと、Arrow Lakeの性能はヘビーなゲーム以外で抜群に高速。ただ実勢価格が15万円前後に迫っていることを念頭に置くと、コストパフォーマンスは微妙かも。もっと安価なRyzen搭載モデルでもデイリーユースにおけるPC使用体験自体はそこまで変わらないので、モバイル用Arrow Lakeに触れてみたいユーザー向けの製品になりそうです。

  • 「GEEKOM IT15」レビュー。Arrow Lake搭載でさくさく動作、金属製外装も素敵

機材協力:GEEKOM

金属製シャーシが素敵、高級感のある見た目

さっそく製品のパッケージ・付属品からチェック。外装はビニールでシュリンクされており、輸送中の過酷な環境にもも耐えられそうです。箱は上下で半分に分かれるタイプで、スーッと持ち上がって開く凝った仕様でした。ACアダプタは最大120Wの大出力ながら薄く、持ち運んでも苦にならないと思います。ディスプレイ裏設置用のマウントプレートと、HDMIケーブルも付属していました。

  • やってきたパッケージ。シュリンクによって機密が保たれており、過酷な輸送に耐えられるよう十分な配慮が行われています

  • 本体は高密度ウレタンに保護され、天板は傷がつかないようフィルムが張り付けられていました

  • ディスプレイ裏への設置にも向くVESAマウントプレートも同梱

  • ACケーブル、ACアダプタにHDMIケーブルが付属します。プラグはアース付きの3極型なので、適当なアダプタやタップを用意しましょう

外装と付属品をチェックしたところで、本体も見ていきましょう。サイズは約12cm四方・高さ約45mmで、容量にしてわずか0.46リットルしかありません。どんなに散らかっているデスクでも設置に困ることはなさそう。金属製の側面外装にチープさは全くなく、ABS素材の天板も充実した表面加工で高い統一感を実現できています。アンテナの的確な配置により、金属外装を採用しつつ安定したワイヤレス接続が行えるとか。

  • パッケージから取り出したところ。マットな質感がいい感じ

  • フロントにはUSB 3.0に加え、オーディオ出力も用意

  • 側面にはフルサイズのSDカードを直接差し込めます。カメラをよく使う人にとっては便利

  • 反対側にはケンジントンロック。業務用の導入にも対応できます

  • 背面には豊富な端子を搭載しています

極めてコンパクトな製品であるにもかかわらず、豊富な各種ポートを過不足なく搭載して周辺機器との接続性は抜群。HDMI端子を2つ備えて一般的な環境でのデュアルモニターをサポートするほか、DP Altモードを活用してUSB-C端子からでも映像出力が可能。有線LANは2GbE、Wi-FiはIntel BE200を搭載してWi-Fi 7をサポートします。

  • 天板はツールフリーでぱきっと取り外し、ブロワーファンを眺められます

  • メモリやSSDへのアクセスは底面から。足についてるネジ4本を取り外すと……

  • ぱかりと開きます。Wi-Fiのアンテナケーブル等が回り込んでいることもなく、不注意で壊してしまう心配もありませんでした

  • ちなみに金属製の底面シャシーがM.2 SSDに接触して放熱をサポートしています

本体内部には上下からかんたんにアクセスできますが、販売構成例は32GB+1TB SSDと32GB+2TB SSDというかなり十分な仕様で用意されているので、大半の用途で増設・カスタムを行う必要はなさそう。もちろん緊急時には自力でパーツ交換を行えますが、製品には3年保証/30日交換・返品保証が付帯するので任せてしまうことも可能です。

CPUはさすがに速い。Intel Arc 140Tも上等

最後に各種ツールで性能を簡単に確認しておきましょう。セットアップ時の操作から快適そのもの、最新プロセッサIntel Core Ultra(シリーズ2)を搭載しているだけあってさくさく動作している様子がわかります。

今回の試用機はIntel Core Ultra 9 285Hを搭載しており、DDR5 32GBメモリと2TB SSDを組み合わせていました。Intel Core Ultra 9 285HはIntel CPUなのに主要タイル含む大部分をTSMCが製造している面白いプロセッサで、6個の高性能コア、8個の高効率コア、2つの低消費電力高効率コアを組み合わせてシステム全体では16コア/16スレッドとして振る舞います。

グラフィックスにはIntel Arc 140Tを統合。8つのXeコアを備え、AV1形式でのデコード・エンコードにも対応します。ちなみに昨今流行りのAI用コア、NPUも統合していますが、Int8で13 TOPSと性能はかなり控えめ。Microsoftが提唱するCopilot+ PCには準拠していません。

  • PCMark10 Extended

  • PassMark PerformanceTest 11.1

  • FF14 黄金の遺産ベンチマーク

  • 3DMark Night Raid

  • Speedometer 2.1(Microsoft Edge 137)

シンプルにCPUのシングル性能がとにかく高く、操作感に影響するさくさく感を生み出していることがわかります。ブラウザの動作速度を計測するSpeedometer 2.1(外部サイト)ではスコアが650を超えており、その辺のゲーミングPCでも太刀打ちできません。

一応3Dゲーミング性能の指標としてFF14ベンチマークも実施し、やや快適(7317)という結果に。設定や解像度次第ではPCでも展開されている重量級スマートフォンゲームなども快適にプレイできるはずです。

余談ですが、GEEKOM製品は製品ページが充実していていいなと思いました。製品のテストにあれこれ導入した後でも、公式のリカバリイメージが配布されているので初期化が容易。さらにドライバも別個に用意されており、Microsoft公式ディスクイメージからの復元でも製品を快適に利用できます。

  • OSの復元イメージがポンと置いてあるのはなかなか珍しい対応

何が何でもArrow Lakeに触ってみたいなら

ここまで「GEEKOM IT15」についてみてきた本記事。ゲームやクリエイティブ用途を含まないデイリーユースでは最強レベルの性能を備えていることがわかりましたが、お値段も15万円前後となかなかお高め。

デイリーユースではほとんど速度差は体感できないと思うので、Ryzen 7 6800Hを搭載して半額以下の「GEEKOM A6」なども用途によっては魅力的な選択肢になるはずです。最新Intel Core Ultra(シリーズ2)、Arrow Lakeプロセッサに特有の魅力を見いだせるエンスー向け製品と言えるかもしれません。