日立グローバルライフソリューションズは1月16日、従来からの「らくに冷凍」「おいしく保存」といった機能に加え、新たな訴求ポイントとして「霜つきを抑える」を謳う「らくうま!ひろin冷凍プラス」採用の冷蔵庫新製品4タイプ8機種を発表しました。同日には新製品を紹介するメディアセミナーも開催されましたので、その様子をレポートします。
大容量/使いやすさなどに加え、「鮮度よく保存」も重視
メディアセミナーで説明にあたったのは、同社 ホームソリューション事業部 プロダクトイノベーション推進本部 商品企画部 冷蔵庫グループ 主任の兼坂尚宏氏。同氏はまず、製品開発の前提となる市場ニーズについて、共働き世帯の増加や環境意識の高まりといった背景から、まとめ買い・作り置きに対応できる大容量と、家事効率を上げられる使いやすさ、食品ロスを減らせる管理しやすさ、省エネ・節電といった価値が冷蔵庫に求められると紹介しました。そして同社としては、「鮮度がよい状態で保存できる」ということも重視していきたいと言います。
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ホームソリューション事業部 プロダクトイノベーション推進本部 商品企画部 冷蔵庫グループ 主任 兼坂尚宏氏
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現在の社会背景と、そこから見える冷蔵庫の提供価値
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ユーザー調査でも、大容量と使いやすさを重視する声が多い
そういったニーズを踏まえて発売されるのが、今回の新製品です。「GZCタイプ」はガラスドアを採用して真空氷温ルームを装備した、スタイリッシュなプレミアムモデルといった位置づけ。「HXCCタイプ」はガラスドアに冷蔵庫カメラを装備、「HXCタイプ」はガラスドアだが冷蔵庫カメラは非搭載。「HWCタイプ」は鋼板ドアのモデルとなっている。製品の詳細については、発表時のニュース記事(HXCC/HXC/HWC各タイプ、GZCタイプ)も合わせてご参照ください。
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2025年発売の新機種のラインアップ。タイプとしては4タイプですが、「HXCCタイプ」「HXCタイプ」「HWCタイプ」は共通するところが多くあります
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HXCCタイプのおすすめポイント。HXCタイプとの相違点は冷蔵庫カメラの有無。HWCタイプとはそれに加えてドアの素材が違ってきます
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GZCタイプは、海外で展開して好評を博しているプレミアムモデルを国内でも展開しようというもの。ガラスドアの色調も、「HXCCタイプ」「HXCタイプ」とは差をつけています
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GZCタイプの製品ポイント。デザイン、ドアのタッチパネル、真空氷温ルーム、電動引き出し(冷凍室下段/野菜室)といった点が「HXCCタイプ」などとの相違点になります
「霜ブロック」の訴求が加わった「らくうま!ひろin冷凍プラス」
今回発表された新製品群で、共通して訴求されているのが「らくうま!ひろin冷凍プラスです。
日立の冷蔵庫ではこれまで、1段目に大型アルミトレイを搭載した3段ケース、肉のうまみ・野菜のビタミンCを守る「デリシャス冷凍」といった特徴を備えた冷凍室を、「らくうま!ひろin冷凍」として訴求してきました。今回からは、それに霜つきを抑制する「霜ブロック」の訴求が加わり、呼称にも「プラス」が付け加えられています。
この「霜ブロック」のしくみを解説する前に、まず冷凍室内の食品に霜がついてしまうメカニズムを確認していきましょう。
冷凍室に食品を入れて閉めると、いったん上昇した冷凍室内の空気の温度が下がっていきますが、食品はその冷凍室内の冷気によって冷やされ、また冷気が届きにくい箇所もあるため、基本的に食品の温度は冷凍室内の空気の温度よりも高い状態が続いて周囲の冷気との間に温度差が生じます。この温度差があると食品内の水分が昇華(蒸発)するため、食品は乾燥し、庫内の空気が水分を含むようになります。
そして食品の出し入れなどで冷凍室が開けられると、今度は冷凍室内の空気の温度が上がり、冷凍室内の空気より食品表面のほうが温度が低い状態になります。すると、空気中の水分が食品の表面に接したときに凝集して付着するようになります。これが凍結したものが霜です。
この霜のできるメカニズムを考えると、冷凍室に食品を入れてから、冷気で食品の周囲をまんべんなく包み込み、食品の温度を下げて冷凍室内の空気と食品の温度差を小さくすることで昇華を抑えると、霜つきを防止できることになります。これが、「らくうま!ひろin冷凍プラス」の霜つき防止のしくみです。具体的には、冷凍室下段の1段目と2段目の間、2段目と3段目の間に冷気を流す構造にすることで、食品の上下を冷気が包むようにして食品を冷やし、温度差を小さくしています。
ただこの構造自体は、今回の新製品で初めて採用されたわけではありません。日立の冷蔵庫は従来モデルでも冷蔵室用の冷却器/ファンと冷凍室・野菜室用の冷却器・ファンを独立させており、同じように冷凍室下段の各トレイの間に冷気を流す構造になっています。それが今回、あらためて「霜ブロック」としてこの点を訴求するようになったのは、この構造が霜の抑制に役立っていることが確認されたからということです。
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メディアセミナーの会場にはカットモデルが用意されており、内部の構造を見ることができました。その仕組み上、3段目の大物ケースの下には冷気が流れていないため、霜ブロックが働くのは1段目の薄物ケースと2段目の小物ケースだけになります
会場では、約1カ月間冷凍保存した冷凍うどん/アイスバーで霜の付き具合を確認することができました。下がその写真です。
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左は霜ブロックが働かない3段目で冷凍保存したアイスバー、右は霜ブロックが働く1段目で冷凍保存したアイスバー。1段目で冷凍保存したものはほとんど霜がついていません
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同じく冷凍うどんのサンプル。左は霜ブロックが働かない3段目で、右は霜ブロックが働く1段目で冷凍保存したものです
ひと目見て、霜のつき具合に差があるのがわかります。冷凍した食品に霜がつくということは、食品から水分が抜けてしまい、乾燥してしまっているということ。「鮮度よく保存する」を目指す日立としては、ぜひとも改善したいポイントだったでしょう。調査では冷凍スペースの困りごととして「霜つき」を挙げる人は約4割おり、ユーザーにとっても気になるポイントだったようです。