名古屋大学での産学連携モビリティ講義にも協力
そしてもちろん、ダッソー・システムズの次世代人材育成に向けた取り組みは日本でも行われている。そのプログラムが、名古屋大学(名大)で開講されている産学連携講座「先進モビリティ学」だ。
名大の未来社会創造機構 モビリティ社会研究所が主催して2017年から開始した同講座は、最先端のモビリティや将来のモビリティ社会実現に向けて必要な技術・サービス・社会システムなどを体系的に学ぶもので、春学期には基礎的な講義が、秋学期には自動運転を行うロボカーの製作実習が行われる。
なおこの講座には、トヨタ自動車やヤマハ発動機などさまざまな企業が協力しており、春学期の講義では、情報学や環境学などの各分野における専門家の講義に加え、一部講義では協力企業から特別講師が登壇し、実際の市場に携わる立場から最新の情報を伝える時間が設けられているという。
その中でダッソー・システムズは“デジタルエンジニアリング”をテーマとした講義を担当。最新の業界動向や技術トレンドに加え、将来のモビリティ社会についての展望を共有するとともに、その中で必要とされるエンジニアリングツールについて説明するという。具体的には、モビリティ製造において2D図面から3Dデータ活用へのDXが求められる中で、CADやシミュレーションがどのように利用されているのか、さらには近年のトレンドになっている“モデルベースシステムズエンジニアリング”(MBSE)について語られる。
名大側からは、「自動車業界で実際に用いられている最新のテクノロジーやツールを学ぶ機会は、大学ではまずない」ことが課題だと伝えられたとのこと。そのためダッソー・システムズは、自動車のサプライチェーンにおいて横断的に用いられる3DEXPERIENCEプラットフォームを紹介しながら、できるだけ幅広い分野を、可能な限りわかりやすく取り上げているという。
「学生たちが『難しそうだな』と高いハードルを感じる講義になっても仕方ない。むしろ我々は、モビリティ業界への入り口として興味を持ってもらいやすい情報を届けたいと思っている」と語る担当者は、コロナ禍を含め6度の産学連携講座を行ってきた中で、学生たちの変化について「より真剣に話を聞いてもらえるようになっている気がする」と振り返る。その背景には恐らく、自動運転をはじめとする先進モビリティ技術が年々手に届くようになっていることがあるとのことで、絵空事のようだった将来展望が現実味を帯びるにつれ、より自分事として学べるようになっているのかもしれないと推測していた。
モビリティに関わるエコシステム全体の底上げを目指して
前例のない将来像に向かって変革が加速し続ける自動車業界。その進化を止めないためには、常に最新技術をアップデートし続ける人材が不可欠となる。
そうしたプレイヤーの育成を見据えた取り組みを幅広く提供するダッソー・システムズは、自社人材に限らず、さらには自動車製造の業界に限らず、モビリティ社会の実現を目指すあらゆる業界を全体的に成長させ続ける、その育成に力を注いでいくという。
「エコシステムのどこかが停滞するだけでも、モビリティ業界の進化はストップしてしまう。継続的に成長させていくために、関わる人材全体を底上げしていく必要がある。」
そう語る担当者は、これからのモビリティ業界に携わる人材に「チャレンジし続けること」を期待する。幅広く知識を得て、そのどこかに興味を持てるものを見つけ、そしてエネルギーをもって突き進む。そうした道を通ってこそ、イノベーションが生まれるという。 未知の領域で革新を生み出す人材は、どこに眠っているかわからない。その可能性を解放するためにも、ダッソー・システムズは、日本の大学から、そして世界のスタートアップから、モビリティ業界の先頭へと導く取り組みを続けていく。