Intel(Photo15)

  • Photo15: 大原家来訪3日目。後ろに見える毛玉ボールでしばらく遊んだ後で何かを主張中。この後猫じゃらしで遊んでるところを捕まり、家猫化。

Intelのプロセスに関しては、実は昨年の記事から大して変化が無い。違いとしては

  • Intel 7を採用したAlder Lakeは問題なく量産出荷が始まっている
  • 改良型Intel 7(Intel 7+?)を採用したRaptor Lakeも無問題。
  • なのだけど、そのIntel 7を使ったSapphire Rapidsの出荷は2023年にずれた(米国時間の1月10日に発表会が行われる事がアナウンスされた)。

といったあたり。次はEUV露光を利用したIntel 4を利用したMeteor Lakeが今年出荷される筈なのだが、今現在においてもそのIntel 4の動向がさっぱり見えないのがかなり不安要素ではある。IEDM 2022における説明(Photo16)では、既にIntel 4の量産は可能とされているが、HVM(High Volume Manufacturing)ではなく単にManufacturingとある辺りは、まだ量産ではなくESの製造が出来るようになった、というレベルの可能性が非常に高い。現時点ではMeteor Lakeが2023年のいつ出荷されるのかに関する情報が一切無いので何とも言い難いものがあるのだが、実はDesktop向けのMeteor Lake(Meteor Lake-S)がキャンセルされた(その代わりRaptor Lake Refreshが投入される)という噂が出て来ているあたり、Tiger Lakeと同じような扱いで終わる可能性もある。そして、何でTiger LakeがDesktopに行かなかったのかという事を考えると、Intel 4の特性がMobileには利用できてもまだDesktopには不適当という可能性もある。この辺はもう少し待たないと情報が入ってこないだろう。

  • Photo16: これはIEDMのPlenary Keynoteにおけるスライドから。ちなみに2025年以降のロードマップも今のところ不明のままである。

ただIntel 4の動向に関しては異様に堅い報道管制が敷かれており、ES品のリークにしても1.2GHz動作とかいう、プラットフォーム検証用のものしか流れてないあたりは、そもそもプロセスそのものが結構苦闘している可能性が否定できない。なにしろ同社にとって初のEUVプロセスである。ちょっと古い話だが、IntelがD1XにEUVステッパーを導入したのは2020年頃とみられる。ただこの時期CEOだったBob Swan氏は、Foundry Businessやこの先の微細化に関して確たる戦略を示せずにおり、この辺りが明確になったのは2021年にPat Gelsinger氏がCEOになってからである。仮にこの時点でEUVの利用に関してGoサインが改めて出て、そこから習熟の為にEUVをフル稼働させたとしても、TSMCが費やしたと言われる100万枚のTest Waferを製造するのに2年ではちょっと足りない気がする。正直言えば、現状の状況だと2024~2025年あたりにEUVを利用した量産ならば現実的だと思うが、2023年中はかなり敷居が高い様に思われる(いやSamsung並みに、Yieldが20~30%で妥協するならまた話は別だろうが)。Intel 4のHVMが可能になる時期が2023年中に来るかどうか、は同社のIDM 2.0戦略の要の部分だけに、相当本腰を入れて取り組んでいるであろうとは思うのだが。

で、Intel 4がオンスケジュールで行けば、Intel 3もまぁそう大きく遅れしないだろう(逆に言えば、Intel 4が遅れたらそのままIntel 3も遅れることになる)。ただその次のIntel 20Aは、先行しているSamsungがこれだけ難航している事を考えると、これも2024年前半というのはかなり楽観的というか、無茶な気がしなくもない。全体的に1~2年ほど遅れそうな予感がする(そしてそれを覆すだけの情報が今のところ聞こえない)というのがIntelの現在のロードマップである。