Unboxingに続き、Raptor Lakeの性能の速報版として、Preview記事をお届けしたい。「Previewなのかよ」と突っ込みが入りそうであるが、今回はご容赦いただきたい。私事で恐縮なのだが、取材の出張が続いたり、機材手配のスケジュールだったりで、ベンチマークを始めたのは実に10月17日なのである。流石にこの期間でRaptor Lakeの複数モデルとその競合製品のベンチマークをフルに取れなかったので、今回はRaptor Lakeベースの「Core i9-13900K」 vs Alder Lakeベースの「Core i9-12900K」の比較のみに留めさせていただいた。追って、Core i5-13600KやZen 4ベースのRyzen 7000シリーズの性能も含めた完全版を掲載するので、もう少々お時間を頂きたい。

  • Raptor Lakeこと第13世代Coreを試す(速報版) - Core i9-13900Kの実性能をベンチマークテスト

    まずは速報版にて、Core i9-13900Kの性能テストの結果をお届けする

ということでまずは今回の評価機材のご紹介を。既にCore i9-13900KのパッケージはUnboxingでご紹介しているので割愛するとして、まずはRaptor Lake、きちんとWindows 11で認識された(Photo01~03)。メモリはCorsairのDominator Platinum RGBを利用している(Photo04)。

  • Photo01: L2が合計32MB、L3が36MB。性能向上に繋がるのは間違いないが、ちょっとちぐはぐな容量になっている印象はある。

  • Photo02: 今回Core i9-13900KはDDR5-5600のOC状態で動作させた。

  • Photo03: Windowsからもきちんと認識された。遂に合計32 Threadである。

  • Photo04: XMPだとDDR5-5600だが、JEDECだとDDR5-4800どまりであった。

マザーボードはASUSよりROG Maximus Z790 Heroを借用して利用した(Photo05~13)。実は当初、手持ちのASUS Prime Z690-Aを使ってテストを行う予定だった。実際出張前に試しにBIOS Updateを掛けた後で装着するとちゃんと動作した(Photo14)からだ。実際この状態でWindowsやアプリケーション、ベンチマーク類のインストールは完全に行えた。ところが実際にベンチマークを開始すると落ちる落ちる。それもアプリケーションやベンチマークが止まるのではなくリセットが掛かって再起動ばかりである。「これはやっぱりZ690ではまずかったか?」と考えてROG Maximus Z790 Heroに入れ替えたものの、現象は一切変わらず。メモリのOC動作がまずかったか? とDDR5-4800に戻しても相変わらずリセットの嵐。結果から言うと悪いのは電源。Alder LakeベースのCore i9-12900Kは問題なく動作した1000W電源(ANTEC TPQ-1000:これの前モデルなので、流石に古かった)が原因だった。もう少し新しいATX12V電源に切り替えるとちゃんと動作したからだ。要するにAlder Lakeと比べてRaptor Lakeでは電源に要求する性能(おそらくは応答性)が厳しいことがあり、今回のような古いATX12V電源ではリクエストが来てからそれに合わせて供給電力を増やすのが間に合わず、電源不足からリセットに陥ったものと思われる。まぁ2007年発売の電源を使ってるのが悪い、と言われればその通りであるが、Alder Lakeは問題なく動く電源がRaptor Lakeでは駄目、とは思わなかった。ちなみに試しに電源を変えてみると、Prime Z690-Aでも問題なくRaptor Lakeでベンチマークが動くことは確認できたが、折角開封して環境を移してしまったので、今回はROG Maximus Z790 Heroのままでテストを行った。

  • Photo05: パッケージはいつものROGらしい構成。そろそろ名前が限界になってきたのか、遂にチップセットの型番が入るように。

  • Photo06: PCIeスロットは3本。NVMe SSDはCPUソケット脇に1つ、PCIeスロットの間に2つ。

  • Photo07: 裏面はフルカバード。なので結構重量がある。

  • Photo08: CPU周辺。VRMは20-way。

  • Photo09: ATX12Vの8pin補助電源コネクタは当然の様に2つ並んでいる。

  • Photo10: 20pin電源コネクタの脇にも6pinコネクタが。

  • Photo11: バックパネル。映像出力はHDMIのみ。Ethernetも2.5Gのみ。ただUSB Type-Cが3ポートに増えた。

  • Photo12: SATAを挟むようにUSBコネクタ(ケース内配線用)が並び、その右にはQ-Release(ワンプッシュでGPUカードを取り外せるスイッチ)が。

  • Photo13: 下端にはUSB 2とファンコネクタが並ぶ。

  • Photo14: これは単に装着して起動確認をしただけなので、Memory Clockが4000MHzとかになっている。

その他の環境は表1に示す通りである。Core i9-12900Kに関しては定格がDDR5-4800ということで、メモリもこちらに落としている。

■表1
CPU Core i9-13900K Core i9-12900K
M/B ASUS ROG Maximus Z790 Hero
BIOS Version 0219
Memory Corsair Dominator Platinum RGB 16GB×2
DDR5-4800 CL42/DDR5-5600 CL40
Video NVIDIA GeForce RTX 3080 Ti Founder Edition
GeForce Driver 517.48 DCH WHQL
Storage Seagate FireCuda 520 512GB(M.2/PCIe 4.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 11 Pro 日本語版 22H2 Build 22621.674

テスト内容は基本的に、「Ryzen 7000 Seriesを試す(速報版)」の記事と同じである。「基本的に」と言うのは、若干バージョンが上がって新テストが追加された(3DMarkのSpeedWay)ものとか、バージョンが上がって性能が変わった(Stable Diffusion UI)ものなどもあるほか、1個テストを追加している。とはいえ殆どのテストは同じなのだが、敢えてRyzen 7000の速報版ベンチの結果は今回入れていない。というのは、今回OSをWindows 11 22H2に切り替えたためだ。こちらの記事で説明したが、Raptor LakeではIntel Thread Directorに手が入っており、これに対応するのはWindows 11 22H2である。逆に言えば、22H1と22H2ではスケジューラのアルゴリズムが変わっている可能性がある。なので、Ryzen 7000シリーズも今回の環境では結果が大きく変わる可能性を否定できない。このあたりは完全版の方でRyzen 7000シリーズを含めてデータを取り直してご紹介するので、今回はAlder Lake vs Raptor Lakeのみでご容赦いただきたい。

あと実はIntelよりSYSMark/CrossMarkでの評価も是非と言われているのだが、こちらは今回純粋に準備時間が足りなかったので見送りである。これも完全版の方で網羅する予定なのでこちらもご容赦頂きたい。

いつもの如く、グラフ中の表記は

i9-12900K:Core i9-12900K
i9-13900K:Core i9-13900K

となっている。また解像度表記も何時もの通り

2K:1920×1080pixel
2.5K:2560×1440pixel
3K:3200×1800pixel
4K:3840×2160pixel

とさせていただく。

◆ CineBench R23(グラフ1)

CineBench R23
Maxon
https://www.maxon.net/ja/cinebench

  • グラフ1

Core i9-13900KはSingle Threadの性能向上(10%程度)も凄いのだが、それよりもMulti Threadの伸び方が著しいのが判る。要するにE-Coreもフル稼働させるとここまで性能が伸びる、という判りやすい実例である。伸び率は実に47%。元々Multi-Threadでは最大41%性能が向上するとIntelは説明していたが、この数字を証明する良い例になったと思う。

◆ PCMark 10 v2.1.2574(グラフ2~7)

PCMark 10 v2.1.2574
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10

  • グラフ2

  • グラフ3

  • グラフ4

  • グラフ5

  • グラフ6

  • グラフ7

続いてはPCMark 10だが、Overall(グラフ2)で全ての項目の伸びが明白である。正直、ここまで性能差があるのはちょっとびっくりである。もっともTest Group(グラフ3)を見ると、なぜかGamingがやや落ちているが、これは3DMarkで確認するとしたい。

Essentials(グラフ4)/Productivity(グラフ5)/Digital Contents Creation(グラフ6)も、綺麗に全項目で明確に伸びがある。個別の結果を見ても、突出して何かが高速というよりは、ほぼ全テストでそれなりに伸びている(勿論OpenCLを利用する、例えばVideoConferencingEncodeGroupOclだと21.08sec vs 21.09secと性能差が皆無なものもあるが)形で、もう純粋にCPU&Memory 性能が向上した結果という感じだ。

Office 365を利用してのApplication Score(グラフ7)では、予想通りExcelの伸びが著しく、Word/PowerPoint/Edgeでの伸びはそこまで極端では無いが、それでもちゃんと性能差が出ているあたり、性能の伸びがかなりあると見て良いかと思う。

◆ Procyon v2.1.527(グラフ8~11)

Procyon v2.1.527
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/procyon

  • グラフ8

  • グラフ9

  • グラフ10

  • グラフ11

Adobe MAX Japan 2022開催に合わせてか、AdobeのCreative Suiteのメジャーバージョンアップが発生した関係で見事にProcyonがこれに引きずられて面倒な事になったが、一応最新の一つ手前バージョンで今回は実施している。

Procyonの場合、基本的には大量のデータ処理のワークロードとなる関係で、やはり何れのテストでも性能の伸びは明白である(グラフ8)。Photo Editing(グラフ9)で1割程度の性能向上、Video Editing(グラフ10)でも処理の軽いH.264/265 Export 2はともかく処理の重いExport 1ではそれなりの処理時間短縮が見て取れる。Office Productivity(グラフ11)でも、ExcelだけなくWord/PowerPoint/Outlookで明確に性能の伸びが示されているあたり、Raptor Lakeの処理性能向上は実アプリケーションのレスポンス改善とか処理速度改善に効果がある、と結論付けて良いかと思う。