◆ POV-Ray V3.8.2 Beta2(グラフ12)

POV-Ray V3.8.2 Beta2
Persistence of Vision Raytracer Pty. Ltd
http://www.povray.org/

  • グラフ12

POV-Rayの結果もやはりCineBenchに近いもので、Single Thread(One CPU)だと18%ほどの性能向上に留まるのが、All Thread(All CPU)だと37%もの性能向上が見られる。Single Threadでの性能がIntelのいう15%を超えているのは、メモリがDDR5-5600動作だから、という部分もあるだろう(逆にAll Threadで37%と言うのは、CPUからのメモリアクセス要求でメモリコントローラが飽和し、ここがボトルネックになっているためと思われる)。

◆ Stable Diffusion UI v2.28(グラフ13)

Stable Diffusion UI v2.28
cmdr2
https://github.com/cmdr2/stable-diffusion-ui

  • グラフ13

今回利用したv2.28では、画面構成が少し変わった(CPUの利用に関する設定が、右上に新設されたSettingsに移動した)他、大幅に性能が向上した。以前試したv2.07 BetaではCore i9-12900Kで457.87secほど掛かっていた処理が、今回は150.78secと、おおよそ3倍の高速化が実現しているからだ。まぁ以前はBeta扱いだったから仕方ないが、そんな訳で結果の互換性はまるでない。

それはともかくとして処理時間を見ると、150.78sec→118.72secと27%ほどCore i9-13900Kが高速である。マルチスレッド動作が効果的な処理には、Raptor Lakeは効果的という一例と言えるだろう。

◆ TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.23.25(グラフ14)

TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.23.25
ペガシス
http://tmpgenc.pegasys-inc.com/ja/product/tvmw7.html

  • グラフ14

こちらも結果(グラフ14)を見れば説明は要らない。21fps程度の処理性能が30fpsまで伸びている訳で、E-Coreをフルに活用しているのが効果的という事になる。まぁ逆に言えば全コアをフルに動かせるくらいThreadを多数生成するアプリケーションでないとこの性能は出ない、というのは1StreamだとCore i9-13900Kでも23fps程度まで性能が落ちる事からも明白である。フルに性能を発揮できるアプリケーションを選ぶ、というのは判っている事ではあるが、それを改めて数字の形で示したと言える。

◆ Intel oneAPI Math Kernel Library Benchmarks Suite 2022.0.2_92(グラフ15)

Intel oneAPI Math Kernel Library Benchmarks Suite 2022.0.2_92
Intel
https://www.intel.com/content/www/us/en/developer/articles/technical/onemkl-benchmarks-suite.html

久々のIntel謹製Linpackである。AMD製CPUでは動作しないのでRyzen 7000シリーズのレビューでは外したのだが、今回はIntel同士の比較なので入れてみた。

  • グラフ15

結果は御覧の通りで、Core i9-12900Kは659GFlops程度、対してCore i9-13900Kは900GFlopsと37%もの性能の伸びを示している。これは要するにそれだけE-Coreをフルにブン回している、という事の裏返しではあるのだが。

◆ 3DMark v2.24.7509(グラフ16~19)

3DMark v2.24.7509
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

今年3月にUL BenchmarksはSpeed Wayという新しいベンチマークを追加する事をアナウンスしたが、10月12日にこれを実装したv2.24がリリースされた。ということで結果にはこのSpeed Wayの結果が含まれている。

  • グラフ16

  • グラフ17

  • グラフ18

  • グラフ19

さて3DMark Score(グラフ16)を見ると、まぁ3Dだから当たり前だが基本それほど性能差が無い。その中で唯一NightRaidのみはCPU性能が比較的大きく出やすいということで差があるが、あとは誤差の範囲であるとして良いかと思う。先にPCMark 10の結果でCore i9-12900Kがやや優勢だったFireStrikeも、結果を見ると確かに微妙にCore i9-12900Kがスコアが上になっている。

Graphics Testの結果(グラフ17)も同じである。興味深いのは、FireStrikeだけでなくFireStrike Extreme/UltraもやはりCore i9-12900Kの方が僅かにスコアが上な事だ。どうもFireStrikeはAlder Lakeの方が相性が良いらしい。

もっともCPU Test(グラフ18)ではFireStrikeであってもCore i9-13900Kが圧倒しているわけで、これはまぁ当然である。ただその組み合わせであるCombined Test(グラフ19)ではまたもやCore i9-12900Kの方が明確にスコアが上(これが恐らくPCMark 10で逆転した主要因だろう)で、こういう相性というのがあり得る事が示されたのは興味深いことである。もう少し他の組み合わせでの結果も見て確認したいところだ。