シャープマーケティングジャパンは大日本印刷(DNP)と連携し、国立工芸館(石川・金沢市)に設置している8K対応「デジタル鑑賞システム」向けの2つのコンテンツを新たに制作。同館1階の「工芸とであう」において4月5日に公開した。

  • 3Dデジタル化した「霙青磁牡丹彫文花瓶」(左)と「鶉四分一打出水滴」(右)の表示イメージ

  • 国立工芸館内に設置された8Kインタラクティブミュージアム

同館では第一弾コンテンツとして、同館所蔵作品の川喜田半泥子(かわきたはんでいし)作の「志野茶碗 赤不動」(1949年)の高精細画像を用意し、多くの来場者が体験したという。

今回、新たに制作したのは、青磁の独特な光沢と緻密な彫りが特徴的という、陶芸家・板谷波山(いたやはざん)による「霙青磁牡丹彫文花瓶(みぞれせいじぼたんちょうもんかびん)」と、銅と銀の合金で造形して金の装飾を施した、金工家・桂盛行(かつらもりゆき)による「鶉四分一打出水滴(うずらしぶいちうちだしすいてき)」の2作品。いずれも東京国立近代美術館が所蔵している。

  • 3Dデジタル化した「霙青磁牡丹彫文花瓶」の拡大表示イメージ

  • 3Dデジタル化した「鶉四分一打出水滴」の拡大表示イメージ

今回、国立工芸館を運営する国立美術館の監修のもとで3DCG化。デジタル化にあたり、DNP独自の撮影技法・ノウハウやカラーマネージメント技術を活用し、作品の質感などを忠実に再現したという。見る角度によって表情を変える細かな素材、技法、仕上げの違いを再現するため、高解像度な複数の写真画像から忠実な絵柄・質感並びに3D形状を作成するフォトグラメトリ手法を駆使して制作している。

来館者は、鑑賞システムの70V型の8Kタッチディスプレイ上で、高精細に再現された豊かな質感や技術の妙などを、自由に拡大・縮小したり回転したりしながら、じっくり鑑賞できるという。鑑賞ポイントや作者の紹介をテキストで表示する仕組みも備えており、日本語のほか、英語や中国語(簡体字・繁体字)、韓国語に対応する。

国立工芸館は国立で唯一、工芸を専門とする美術館で、所在地は石川県金沢市出羽町3-2。同館に設置されているデジタル鑑賞システムは、シャープが開発した「8Kインタラクティブミュージアム」を採用したもので、間近で見たり、直接手に取ったりすることが難しい貴重な美術品や工芸品などの高精細画像を、8K対応タッチディスプレイで体感できる。