Appleが最新のMacBook Proに140WのGaNパワーソリューション採用充電器を採用するなど、100W以上の急速充電器の普及が、GaNパワー半導体の成長を加速させており、その結果、2025年には急速充電器市場でGaNパワーソリューションの普及率が52%に達するとの予測をTrendForceが出している。
同社の調査によると、2020年に急速充電器の出力は55W-65Wが中心となっており、同レンジのGaN急速充電器の売り上げは、2020年のGaN急速充電器市場全体の72%を占めるほどであったという。一方、100W以上のGaN急速充電器の割合は8%ほどとなっていたというが、今後、100W以上の高出力GaN急速充電器の販売が増加していくことが予想されるという。
すでに100W以上の急速充電器のカテゴリの中でGaNパワーソリューションが占める割合は62%に達しており、NavitasとInnoscienceの2社がそのけん引役となっているという。また、こうしたGaNパワーソリューションでは、力率改善(PFC)段とLLC回路が採用されているが、PFCの周波数を向上させるためにSiCダイオードとGaNスイッチの組み合わせが進んでおり、例えばBaseusは2020年、120W GaN+SiC急速充電器をリリースしているという。
Global Power Technology、Maplesemi、onsemiといったSiCパワーデバイスサプライヤも、USB PD対応急速充電器メーカーへの出荷を増やしているほか、高速充電インタフェースが自動車の標準機能として徐々に採用数が増加していることも注目すべき点であるとTrendForceは指摘しており、そうした高出力対応の車載充電市場の台頭などもあり、急速充電器市場でGaNパワーソリューションの成長はしばらく続くものとみられるとしている。