NECパーソナルコンピュータ(以下NEC PC)とレノボ・ジャパン(以下レノボ)は8月31日、合同でメディア向けの発表会をオンラインで実施し、両社が国内の一大サポート拠点として運用している群馬事業場について説明を行いました。なんでも新型コロナウイルス感染症の拡大によってGIGAスクール構想が大きく前倒しで進んだため、サポート体制の大幅強化を実施したとのこと。発表会では本来、オフラインでの工場見学を予定していたとのことですが、今回はオンラインでの模様をお伝えします。

GIGAスクール構想に対応するべくサポート体制を増強した群馬事業場

NEC PCからは、サービス事業本部事業本部長 小林大地氏が登壇して説明を行いました。群馬事業場は、1984年に群馬日本電気株式会社(NEC群馬)としてPCの開発や生産を主な事業として設立。その後2002年に診断・修理を主に行うサービス事業に大きく転換し、現在ではNEC PCの全製品の修理対応にあわせて、同グループであるレノボ製品の修理サービスもすべてを受け持っています。レノボ製品は2006年まで社外に修理サービスを委託していましたが、NEC PCの高度なノウハウを活用するため、日本国内のサポート・サービスを群馬事業場に統合。これによって高い透明性やコスト管理の徹底を実現したとしています。

  • およそ550名が在籍する群馬事業場。国内での修理サポートや、カスタマイズ・キッティングサービスを一手に担います

  • 現在ではNEC製PCと、レノボ製PC(タブレットなども)はすべて群馬事業場で修理サポートを提供中

また、昨年度多数のGIGAスクール案件を獲得したことによって顧客の手に渡ったデバイスが大幅に増加。これに伴ってサポート需要が大きく増えることを見越し、同社では群馬事業場の修理能力を増強しています。修理フロア「2nd Map」として、2021年10月までにピーク時最大約1.3倍の対応能力を提供するとのこと。

  • 計画中のサポート増強エリア「2nd Map」。サポート需要の拡大に対応する

レノボのCSF(Custom Fulfillment Service)への取り組み

続いて、レノボ・ジャパンからはサービスセールス事業部事業部長執行役員 上村省吾氏が登壇。同社では現在3本の柱からなる「3S」戦略を軸に事業の強化を図っており、中でもサービス&ソリューショングループに注力中。特に、エンドユーザーの手元に届く前にキッティングをある程度済ませてしまう「CSF(Custom Fulfillment Service)」が重要な役割を担っていると話します。

  • レノボが掲げる「3S」戦略。中でもサービスを主体とするカテゴリに注力中

  • レノボの独自調査では、在宅勤務の広がりによって働き方が不可逆に変化。より多様なワークスタイルが定着していく

  • 多様な働き方にあわせて、ツールであるPCも進化していく必要があると同社。今後目標としていくモダンなITでは、エンドユーザーが特別な操作をしなくても自動でキッティングが完了するゼロタッチデプロイメントを実現

  • ここでCSFというサービス提供方式が登場。PCを生産した段階で、物理的なキッティング作業を完了。エンドユーザーである従業員に直接配布し、ネットワーク経由で必要なデータをインストールする

  • CSF拠点を群馬事業場内に展開することで、柔軟に対応できるメリットがあるとのこと

群馬事業場には2020年10月にCFSサービス拠点を設置し、2021年2月から稼働を開始。2021年10月までにこれまでの2倍に拡大することを目標にしていると言います。

  • 1日修理率は2020年7月から継続して95%を達成。レノボが取り扱うモトローラ製スマートフォンの修理も行うようになりました

(オンラインで)群馬事業場を見学!

NEC PCの群馬事業場が修理対応能力を増強し、レノボのCSFサービスにおいて重要な拠点となったことを知ったところで、そんな群馬事業場を紹介していただけました。今回拝見したのは地上3階建ての工場棟。パーツや製品が混ざらないように、エリアごとにNECとレノボでしっかり別れているところが印象に残りました。

  • 拡充中の修理エリア「2nd Map」。設備の導入中とのことで、完了後はピーク時に1.3倍の修理能力を発揮します

  • システムボードを交換する様子を見せていただきました。なんと約10分で作業を完了するとのこと

  • レノボが取り扱うモトローラ製スマートフォンも群馬事業場で修理を行います。PCよりはるかに小さいパーツが多いため、細心の注意を払う必要があるとのこと。検証フローは自動化されており、PCに接続して行っていました

  • GIGAスクール構想によって教育現場にPCが持ち込まれることで、修理へのアプローチも変化。ディスプレイの割れや、ヒンジの破損、落下の衝撃で外装に大きくダメージがあるものなど、一般的な破損よりも物理破損が多いと言います

なお、2020年7月から24時間以内に修理を完了して出荷するという「1日修理率」は95%を達成中。どうしても在庫のないパーツの取り寄せが必要だったり、工場に着荷するタイミングによっては、残りの5%が1日で済まないこともあるそうです。