TSMCは2022年後半に3nmプロセス(N3)を用いた量産を開始する計画だが、その最初のチップはAppleだけではなく、Intelも含まれると、Nikkei Asiaをはじめ、欧米の複数のメディアが報じている。

TSMCの3nmプロセスは2021年後半より台南ファブにてリスク生産を開始する予定で、計画は順調に進んでいるという。ただし、Apple iPhoneの2022年モデルにはN3での量産が間に合わないため、4nmプロセス(N4)が採用される見込みで、N3が最初に採用されるApple製品はiPadの最新モデルになる可能性が高いという。一方、Intelは、TSMCとPCおよびサーバ向けCPUの製造委託を行う方向で交渉中とされており、TSMCの3nmプロセスの最初の顧客になることを狙っているようだという。

「N3」は「N5」と比べ、消費電力とトランジスタ数が同じ状況であれば性能が10%~15%向上、同じ動作周波数であれば最大30%の消費電力削減、最大70%のロジック密度向上、最大20%のSRAM密度向上が実現される見通しで、スマートフォンとハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)の両方のアプリケーションを最初からサポートするように設計されており、高性能と高密度の両方が実現されるとTSMCでは説明している。

Intelは3月、クライアントPCおよびハイエンドサーバー用プロセッサ(開発コード名はMeteor LakeおよびGranite Rapids)を、自社の7nmプロセスで2023年より製造すると発表している。TSMCへの製造委託で時間を稼ぎつつ、EUVリソグラフィを導入して自社内部の開発・製造体制を立て直そうという試みとみられる。なお、Intelは、6月末に、自社の10nmプロセスで製造される次世代Xeonスケーラブルプロセッサ(Sapphire Rapids)の量産・出荷予定を2021年内から2022年第1四半期に延期したことを明らかにしており、プロセスの微細化に起因する製造の問題解決がいまだ道半ばではないかとの憶測が広がっている。