ASUSから新作Chromebookが発売された。「ASUS Chromebook Flip C436FA」は、14型ボディに第10世代Intel Coreプロセッサを搭載したハイエンド帯の2-in-1 Chromebookだ。その性能もさることながら、ホワイトとクロームの配色、シャープなスクエアデザインで、オトナが「試してみたい」と思わせる製品に仕上がっている。
Core i7のChromebookは新境地を切り開くか
Chromebookは、GoogleのChrome OSを搭載したクラムシェルあるいは2-in-1のノートパソコンだ。スマートホン用OSのAndroidと同様、動作が軽快でアプリの起動時間も速い。ネットワークに接続して使用するクラウド運用が前提という特徴もある。
2020年は日本国内においてChromebookが躍進した年と言える。文部科学省が推進するGIGAスクール構想などの後押しもあり、とくに教育分野においてここ数年Chromebookのシェアは急増している。ただしASUS Chromebook Flip C436FAは、よくある教育分野向けパソコンとは少し違う。
日本市場で販売されているChromebookを見ると、MediaTekのARM Cortex系CPUやIntel Celeron系CPUを搭載する製品が安いと2万円台からあり、GIGAスクール構想ではこうしたコスト重視の製品が採用されがちだ。Chromebookはほかのパソコン用OSと比べると動作が軽く、ハードウェアに求められるスペック要件が低いという要因もあるだろう。
一方のASUS Chromebook Flip C436FAは10万円を超える、Chromebookとしてはかなり高額な部類に入る製品だ。スペックの違いでいくつかのモデルが展開されるが、今回試す評価機はCPUがIntel Core i7-10510U、メモリ容量が16GB、SSDがM.2で容量512GB。WindowsのノートPCだったとしても上位クラスといえるスペックだ。
■Chromebook Flip C436FA(評価機 C436FA-E10162)の主な仕様 | |
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プロセッサ | Intel Core i7-10510U(4コア8スレッド、定格1.8GHz、ターボ4.9GHz、TDP15W) |
メモリ | LPDDR3-2133 16GB |
ストレージ | M.2 SSD 512GB(PCI Express 3.0 x2、NVMe対応) |
ディスプレイ | 14型1920×1080ドット、光沢、タッチ、ペン対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics |
ネットワーク | Wi-Fi 6(2,4Gbps、Bluetooth 5.0機能含む) |
インタフェース | USB 3.2 Gen1 Type-C(映像出力対応、USB PD対応)×2、オーディオコンボ×1、microSDカードリーダー×1 |
バッテリ駆動時間 | 最大11.8時間 |
サイズ | 319.5×205.3×13.76mm |
重量 | 1.15kg |
OS | Chrome OS(85.0.4183.131/64bit) |
価格 | 154,364円(税別) |
Windows 10が快適に動作するハードウェアにChromebookをのせたらどうなるのだろうか。WindowsノートPCもここ数年はストレージの進化、とくにM.2 SSDによってレスポンスが高速化された。ハイブリッド スリープ機能によって液晶パネルを開けばすぐに作業が再開できるようになってきた。一方、C436FAは、Androidスマートホンがそうであるように、一瞬という時間すら感じないほどに再開できる。
ウィンドウを開いたりファイルを開いたりといった、普段のちょっとした動作も非常にサクサク快適だ。個々の動作はあくまでコンマ数秒の違いで、人によっては気にならないかもしれない。ただし、C436FAと普通のWindowsノートPC、2台を並べて比較すれば明確に速さの違いに気付く。そして快適だと思う。これを仕事に使ってみたらどうなるだろうかと想像してしまう。
コストを度外視したデザインと機能性
C436FAは液晶天板がホワイト(エアロジェルホワイト)、パネル面はブラックでツライチ、キーボード側本体はシルバー、そしてヒンジや本体排気口部分はクロームという配色だ。天板のホワイトは特殊な塗装を用いており、普通に見れば純白だが、特定の角度から光を当てるとブルー~パープルに見える。貝に見られる真珠層のようなものだろうか。そして角は丸めているがシャープなボディ。どの角度から見ても上質なデザインだ。
液晶ディスプレイは14型だ。その上で本体サイズは319.5×205.3×13.7mm。ベゼルの幅を見ると、左右は当然として上部もそうとう薄い。いわゆる狭額縁ベゼルの採用によって画面占有率85%を実現している。解像度は1920×1080ドット。2-in-1としてタブレットモードでの利用も想定されるためグレアコートで視野角も178°と広い。その上で、色味に関してはsRGB比100%。この部分の品質も手を抜いていない。
厚みは13.7mmと薄く、1.15kgと軽量だ。タブレットモードにした際、もちろん単体タブレットと比べれば厚く、重いことは当然だが、違和感は小さいように感じる。
一部のモデルには4,096段階の筆圧検知対応のタブレットペン「ASUS USI Pen」が付属する。お絵かきはもちろん、電子サイン、デザイン分野の校正など用途は幅広い。そしてペンはマグネットによって本体側面に装着することができる。
インタフェースは左右のみ。そしてUSBに関してはType-Cのみだ。USB Type-C端子は左右側面のヒンジ寄りに各1つ。この2つのUSB Type-Cは、データ転送のほかに充電(USB PD)と映像出力に対応している。そのほかには左側面にヘッドホン/マイクコンボ端子、ボリューム調節、電源ボタンが、右側面にmicroSDカードスロットがある。microSDカードスロットはカメラやスマートホンからデータの転送をしたり、本体ストレージを補ったりといった活用方法がある。そして先に紹介したとおり、ASUS USI Penの装着場所でもある。
周囲のWindows PCとの連係を考えると、外付けHDDやプリンタなどとの接続にせめて1つでもUSB Type-A端子があればよかったのにと思う。ただし、Chromebook自体がクラウド前提であり、これにのっとるならばストレージもプリントもクラウドないしはワイヤレスネットワーク経由というのがスマートなのかもしれない。
充電アダプタはUSB-C充電に対応した45Wのものになる。製品付属のものとしてはかなり小型と言えるだろう。持ち運びでかばんに収めても気にならないサイズと重量だ。ただしケーブルは直付けであり、プラグは収納できないタイプだった。
なお、ChromebookのキーボードはPC/Macとは配列から大きく異なる。C436FAのキーボードは、左CapsLock/Shift/Ctrl/Altが大きくて指はこびはかなりゆったりとしている印象だ。キーはストロークが1.2mmとされるがやや浅く感じた。そして押下時にプチっとした感触の反発力だ。一方、タッチパッドは面積もまずまず広く操作性はよい。