米国商務省は10月15日(米国時間)、「Ross商務省長官が、重要な新興技術に関する(米国の輸出管理)戦略を支援する商取引を明確化する」と題する発表を行い、最先端半導体やEUVソグラフィに関連した技術など6項目の重要な新興技術(Critical and Emerging Technologies)を輸出管理項目に加えたと発表した。

米国商務省産業安全保障局(Bureau of Industry and Security:BIS)が今回輸出規制に追加した6項目とは

  1. 3Dプリンティング(Additive Manufacturing)とコンピュータ数値制御を組み合わせた装置
  2. EUVマスク製造向けの計算科学を応用したリソグラフィソフトウェア
  3. 5nm集積回路を製造するためのウェハを加工し完成させるための技術
  4. コンピュータ上の認証を回避して生データを抽出するデジタルフォレンジック(コンピュータなどの電子機器に残る記録を収集・分析し、その法的な証拠性を明らかにする)装置
  5. 通信ハンドオーバーインタフェースを介して電気通信サービスプロバイダーが取得した通信やメタデータを監視・解析するためのソフトウェア
  6. 準弾道飛行体

これらの輸出規制は、2018年に定めた米国輸出管理改革法(ECRA:Export Control Reform Act)に沿ったものだが、その後次々と軍事転用可能な新興技術が生まれており、すでに31項目の輸出規制を発表してきたが、今回は4回目の指定で、これにより合計37項目が指定されたことになる。

米国は、このような輸出規制は、国家の安全保障を守り、米国の技術的なリーダーシップを維持するために重要な施策と位置づけているが、科学技術の進歩が速く、項目指定が後手となっている感がある。なお、米国輸出管理改革法は米国からの輸出だけではなく、日本からの再輸出も規制対象となっているので日本企業も注意が必要である。