大瀑布を映像と音で体感。NetflixやBDの音も驚きの立体感に

このように8K放送の音を見据えた設計の8A-C22CX1ですが、8Kテレビ専用というわけではありません。8K放送で採用されている22.2ch MPEG-4 AACのみならず、Dolby AtmosやDolby TrueHDにも対応、5.1chや7.1.2chの音声信号も立体的に再生できます。しかもDolby Visionを含めた4Kパススルーに対応、8Kテレビは言うに及ばず、4Kテレビとの組み合わせもOKです。

  • 8A-C22CX1

    フロントスピーカーの背面。HDMI入出力を各1系統備え、Dolby Vision/4Kパススルーをサポート、eARCにも対応する

実機を使って最初に試聴したコンテンツは、BS8Kの番組『南米イグアス 体感! 絶景! 世界最大の滝』。ゴムボートで滝に近づくシーンで、AQUOS 8Kテレビの70V型「8T-C70CX1」の大画面がもたらす映像は、22.2chの音と相まってまさに大迫力。画面から音が聞こえるというのではなく、画面より広い空間から音が出ている印象です。高さ方向の音場表現ができているからか、上から下へ落ちる水の量を実感します。

  • 8A-C22CX1

    8K番組を8A-C22CX1と70V型 AQUOS 8Kテレビ(8T-C70CX1)の組み合わせで試聴。OPSODISの立体音響効果が加わると、8K映像にもがぜんリアリティが出てくる

銀獅子賞獲得で話題の『スパイの妻(8Kドラマ版)』は、憲兵の隊列が建物へ進むシーンがリアル。敷石を踏む音が左後方から画面中央へ移動し、画面中央の鉄扉を開ける音は少し遠くで聞こえます。イグアスの滝では音場の上下方向への広がりを特に感じましたが、このコンテンツではリスナーの左右と後方の音場もしっかり再現されていることを実感します。

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    ヘアライン仕上げの天面は、テレビの光を反射しないようデザインされている

HDMI入力はeARC対応、4K/Dolby Visionパススルーが可能なため、テレビの音も立体音響で楽しめるところがポイント。

試しにNetflixで『攻殻機動隊 SAC_2045』のワンシーンを再生したところ、Dolby AtmosとDolby Visionの入力を示すLED表示が点灯。テレビにつないだAQUOS BDで再生した『マッドマックス 怒りのデス・ロード』冒頭のシーンでは、頭上や背後などさまざまな方向から聞こえる主人公の心の声も、敵のクルマが頭上を飛び越していく様子も、Dolby Atmosらしい立体感で再生されていました。

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    前モデルではイネーブルドスピーカーがあった場所には、ウーファーが配置されている

OPSODISをオン/オフしたときの違いも検証してみました。イグアスの滝の映像でOPSODISをオフにすると、音の迫力はあるものの立体感は失われ、音場が狭まる印象です。音場が平板になり、奥行き感も薄くなります。

OPSODISには、野外で視聴しているような横方向の広がりを重視したモード1と、ホールで視聴しているような高さ方向の広がりを重視したモード2があり、コンテンツに応じて自由に選択できますが、イグアスの滝にはモード1がしっくりきました。

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    付属のリモコン。中央の3Dボタンを押すと立体音響/OPSODISのモードを変更できる

OPSODISは「22.2ch音場に最適」。サラウンド感のさらなる向上に期待

シアターバーのサラウンドというと、ビームスピーカーを採用した一部製品を除けば、バーチャルが基本。どのメーカーの製品にしても、どれだけリアルサラウンドに近づけられるか、背後に回り込むような音場を再現できるかを目標に開発されてきましたが、前述した頭部伝達関数の特性により“効き”の個人差が大きく、「結局はリアルサラウンドだよね」という評価に落ち着くことが常でした。

シャープ「8A-C22CX1」は、OPSODISの力を借りることでシアターバーによるサラウンドの可能性を追求しています。OPSODISはかつてマランツ製品に採用されたことがありましたが、最近はその名を耳にすることもなく、いわば忘れられていた技術です。

「なぜ再びOPSODISを?」という問いを開発担当者にぶつけたところ、「22.2chの音場を再現しようといろいろ試したなかで、(OPSODISによる音は)もっとも立体感・臨場感があったから」とのこと。確かに従来の「8A-C31AX1」と比べると8Kコンテンツを再生したときの音場の広さ、Dolby Atmosの再現性が改善されています。

そして、この方向性で磨きをかければさらにサラウンドの再現性が増すのでは? とも感じました。理由のひとつは、本体のデザインが従来モデルと同じということ。スピーカーユニットの位置や傾きなど筐体デザインから受ける制約はあるはずで、最適化すればクロストークキャンセルの効果改善につながるかもしれません。

シャープ製品ではOPSODIS初採用ということで、今後ノウハウの蓄積が進むことも期待できます。8K放送に限らず、ストリーミングサービスなどでマルチチャンネルコンテンツに触れる機会は今後ますます増えますから、OPSODIS採用の次モデル、次々モデルにも大いに期待したいところです。

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